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01 邂逅:選択

初めまして姫輝(きき)と申します。


メインストーリーを書いている途中で、ふと始まりが書きたくなった……ということでメインストーリーの前に始まりの物語をマイペースに書いて行けたらなと思います。


お付き合い頂ける方はよろしくお願いいたします。



※灰色の救済ー果てなき始まりーメインキャラ※


クヴェレの門番:リル·ループ、リラ·トープ(小鳥)

悪魔:ジール·シュヴァーツ(闇の湖 統率者)

死神:ロカ·ヴィオレット(死神の都 理事長)

天使:ライル·ブラーウ(天使の都 大天使)




 終わりも始まりも一瞬の選択で変わって行く。

 偶然、必然、運命が引き合わせた道があり、森羅万象、魂がある限り続いていく。



 ーーーーーー


「…………ここは何処だ。」


「初めまして。死神/ロカ・ヴィオレット様、天使/ライル・ブラーウ様。天界、リヒトピアの地へようこそ。」


「天界……⁇」


「はい。ボクはこの泉クヴェレの門番リル・ループ、こちらは小鳥のリラ、それから……」


「ジールだ、ジール・シュヴァーツ、悪魔だ。」


「……悪魔とな⁇」


「あん⁇ どうした⁇」


「いや、、天界という場所は悪魔も居るのかと思った次第だ。」


「ふんっ。まぁ、、そう思うわな……。」


「えぇっと、あのさ、、会話が弾んでるところ、すまないんだけど俺達は一体⁇ 死神と天使って言っていたようだけど……⁇」


「あっ。すみません‼︎ 白の魂を持っている貴方様が天使/ライル様で、赤の魂を持っているこちらが死神/ロカ様です。」


「俺が天使……」


「我は死神か。」


「リル、長々と説明するのも面倒だ。さっさとこいつらに天界の記憶をくれてやれ」


「はい。では、お2人はこちらへ」


「うん……えっと、ロカ⁇ とりあえず、俺達は言う通りにすればいいのかな⁇」


「そのようだな。どうやら我等はこれからこの地で生きて行くようだし、己の役目があるのだろう。」


「役目……か。」


「お2人共、どうかなさいましたか⁇」


「いや、なんでもない。この泉より記憶が送られてくるのか⁇」


「はい。正確にはクヴェレにボクが残した記録になります。」


「リル、君はずっとこの地に⁇」


「えぇ、と言っても自分がいつからここに居るのか覚えていないだけなんですけどね。」


「そうなんだ……⁇」


「はい。。あ、お2人共準備はよろしいですか⁇」


「あぁ。構わん。」


「俺も大丈夫だよ」



ーーーーーー







 地上から遥か彼方にある天界、そこでは死神、天使、悪魔、妖精、4つの魂の色によって暮らす地が決められていた。


 赤 魂を管理し記録する死神の都「シャーテン」

 白 魂を見守り導く天使の都「フォルモント」

 黒 悪魔の巣闇の湖「デュケルン」

 黄 妖精の暮らす天界の郷「リヒトピア」


 そしてこの魂が辿り着く場所がリヒトピアにある泉「クヴェレ」


 どんな人生であれ地を踏み生きた魂は霊界に送られ、輪廻転生を待つことが出来るのだが、ここへ辿り着く黄の魂は地を踏むことなく強制的に生命を絶たれ、傷を負い、転生する事が難しい。

 その為、この地で傷を癒したのち再び霊界へ引き渡すことになっている。


 そして滅多に転生することのない、赤、白、黒の魂は輪廻転生することなく時には何億光年もの間この地に生きる。

 死神と天使は全ての魂を記録、管理、見守り、導く。

 悪魔は気ままに地上に降りては人間と契約を交わし暮らしている。


 ここでは争いもなく、全ての魂がゆっくり過ぎる時を穏やかに暮らしていた。



 しかしーー


 いつ、誰が言い出したのだろう? 些細な一言から湧き上がった競争心が死神と天使の間に喧騒を産み「魂を巻き込む争い」に発展した。


 それは争いが起こらないことが前提として作られたこの地にとっての罪であり、死神、天使の争いを止める手立てなどありはしない。


 死神と天使は日に日に増していく争いの中で力を失い始め、一つまた一つと消えていく。


 やがて死神、天使の居なくなったリヒトピアの魂は全て消滅することとなる。



「どちらが魂を多く導けるか。なんて競うものじゃない……全ての魂が大切な生命…それなのに、転生したばかりで深い傷を負った魂までも直ぐに輪廻転生させようとするなんて……死神も天使も魂に等しく平等である存在じゃないのか⁇ なぜ、こんなにも酷いことを……どうして気付かない……なぜ争いをやめない……このままでは自分達は疎かこの地に生きる者たちが消えてしまうことに……。」


 只々嘆き、絶望し、終わりを迎えるしかないのか。

 この地に来てからクヴェレを託され、多くの魂を迎え旅立ちを見守ってきた、泉の門番リル・ループは嘆きながらも己に問い続ける。


「死神や天使が消える前に、今この地に生きる魂とクヴェレだけでも……だけどそれは、傷の癒えていない魂をまた深く傷つけてしまうことに…… それにこの短時間でリヒトピアの魂を全て、、、ボクにできるのか?」


 消滅を防ぐ為には全ての魂を霊界へ移動させるしかない。

 しかしそれを行動に起こすこともまた魂を傷つける事になる。


 様々な感情がリルの心にブレーキをかける、しかし、ここで消滅してしまっては傷を癒すどころの話ではない。

 例え、死神、天使の許可なく魂を霊界へ受け渡すことが自身の罪であっても。


 「いや……やるんだ……救う手段があるなら、そこに望みがあるのなら‼︎」


 意を決したリルは泉の前に立った。


 すると鳥が羽ばたく音と共にクヴェレをずっと一緒に護り続けてくれた小鳥のリラが肩に止まった。


「リル。リラもてつだう。」


「リラっ‼︎……いいのかい? キミも……ボクと一緒に消えてしまうかもしれない……。」


「リルとリラ、いつもいっしょ。リルのまもりたいものはリラもまもりたいもの。リラはリルのそば、はなれない、リルもリラのそば、はなれない。」


「リラ……ふふ。そっか、そうだね。ありがとう、一緒に護ろう。」


「うん。それとジールつれてきた」


「そっかジールを…………ん?ジール?……えぇっ⁈」


 リルの驚きの声がクヴェレの水面を揺らし、仄暗い雰囲気が辺りを包み込むと闇の湖デュケルンを取り仕切る悪魔ジール・シュヴァーツが姿を現した。


「よぉ。リル、久しぶりだな。ひと月戻らなかった間に、随分とオレ様好みの景色になったじゃねぇか。」


「ジール……様?……」


「ん?なんだ?」


「ホンモノ……??」


「あん?どういう意味だ?」


「いえ、あの、よくデュケルンの皆様がジール様の姿を真似てリヒトピアに来たりするので……その、、ホンモノかなぁ?っと……」


「はぁっ?あいつら、、、。ったく……しょうもないことしやがって。」


「ははっ。まぁ、いつもすぐに偽者ってバレて帰っちゃうだけで何かをする訳でもないんですけど、、それよりどうして……」


「リルひとりでなやんでた、ひとりでなんとかしようとしてた、だからリラがつれてきた、リルはひとりじゃない。リラもジールもいる。」


「まっ、オレ様はこの景色の方が好きだけどな。悪魔だけが住む天界なんて面白く無いからな、チカラを貸してやる。」


「ジールすなおじゃない、たすけたいっていえばいい、ジールはずっとリヒトピアもリルのこともしんぱいしてた。」


「はぁ⁇ったく……相変わらず口の減らない鳥だな。 リル、お前もだ。今更いちいち言わなくても伝わる仲だろ。」


「ジール様、ありがとうございます。あっ‼︎デュケルンの皆さんは大丈夫なのですか??」


「あぁ。あっちは元々、死神、天使の管轄じゃないしな。まぁ念の為、全員地上に降ろしてるから大丈夫だろ。」


「そうですか。それなら良かったです……。」


「さて……時間もねぇ事だし、さっさと終わらせようぜ。……お前の望みはなんだ?」


 その言葉を聞きリルはジールへ願いを口にした。


「リヒトピアの地に生きる全ての魂を救いたい。そしてこの泉を……このクヴェレだけでも残すことでこの地に光を取り戻したい。」


「ふ……はっはっはっはー‼︎中々欲張りだな。だが、そんな欲まみれな奴は嫌いじゃないぜ。ひとまず、今この地にいる死神、天使以外の魂をクヴェレから霊界に引き渡す。リル、手を出せ。オレ様のチカラを少しだけ分けてやろう。いいか?妖精の実体を一つ残らず探し出し魂に変換させてここへ集めろ。」


「一つ残らず……。」


「リル、キンチョーしてる?」


「大丈夫だ。オレ様のチカラがあるんだ、安心しろ。」


「ジールのじしんはどこからくる……?だけどリル、リラもいるリラはリルのみつけた、たましいをぜったいにつれてくる」


「ふっ。だとよ?リル、オレたちを、自分を信じろ。」


「……うん。分かった。信じるよ、2人をそして自分を。」


「いくぞ。」


 ジールはかざした掌からリルの精霊のチカラに寄り添い魂を感知する能力をあげていく、そのチカラをリルは丁寧に受取り魂を引き寄せ、リラへと繋げる。


 やがて全ての魂をクヴェレへ集め終えるとジールはかざした掌を離した。


「さて、霊界への転送は任せたぜ。」


 リルとリラはジールの言葉に頷くとクヴェレから霊界へ続く回路へ次々と魂を送り続ける。

 その様子を見守りながらジールは死神、天使達の叫びが2人に届かないよう結界を張り巡らせた。


「……これじゃあ、どっちが悪魔かわからねぇな……ったく。お前らは何がしたかったんだよ。ここはお前らにとっても大切な場所じゃなかったのか?」


 ジールは一つまた一つ、消えゆく両者にもう届くことのない感情と共に背を向けた。


 ーーーー

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