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客人
時計の針が午後の2時に差し掛かる頃、ネムレスは紅茶と菓子を口にしていた。
これも、この海をくぐり抜けた国の人々が献金をしたお金の中から、買っているのは分かっていた。
軽い罪悪感が、ネムレスの胸を過ぎる。少し重い気持ちになった時、一人の部屋の扉を誰かが叩いた。
「入ってください」
その言葉の少し後に扉は開かれ、紅いスーツに似た服を着た女性が部屋へと入ってきた。
「あなたは、素晴らしい」
椅子に腰掛ける間もなく、女性は言う。そして、弾けるような明るい笑顔をみせた。その言葉と笑顔にネムレスの罪悪感は、薄らいでいく。
女性の名は、サラといった。
サラは続けて話す。
「あなたの人間と動物と自然についての話は、聴衆の心を掴んでいたし、私も心を掴まれた一人です」
その話し方は整った顔立ちにそぐわない、どこか男性的な口調で。
ネムレスは、この女性が苦手だった。いや、いまでも苦手である。しかし、この国の神として、そういう気持ちは良くないことくらいは分かってもいる。だから心とはうらはらに、明るい笑顔をサラに向けた。
「サラさんは、善人だ」
そう心の中でネムレスは思った。その後に、これも心の中で思った。
「僕は善人は、嫌いだ」




