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第十話:大地震

 さて、とりあえず金を貯めなくてはいかん。

 俺とドロシーはエイブラハムを紹介してくれた冒険者ギルドのある村に戻った。


「では、ギルドに行って仕事を取ってきます」とドロシーがギルドの建物に入っていく。

 しばらくすると戻ってきたが冴えない顔をしている。


「どうだ、なんかいい仕事はもらえたか」

「それが私たちは全く実績がないので、結局、スライム退治です」

「そうか、まあしょうがないな。事実だし」


 村の端っこの森でスライム退治。

 ドロシーを上に乗せて、森の中をウロウロと探索する。


「あ、ガンちゃん、スライムがいました」とドロシーが指さす。


 俺は大木の根っこあたりにいたスライムに鼻くそ弾を発射。

 命中。

 あっさりと退治した。


「ガンちゃん、やったね」

「けど、最弱スライムだからなあ」


 こんな風に毎日、朝から晩まで村の周辺のあちこちでスライム退治をして回ったが、たいして金にはならない。


 やれやれ。


 ただ、村の中をドロシーを乗せてフワフワと移動する俺を見ても村人たちはあまり騒がなくなった。

 俺が危険でないことは周知されたらしい。


 しかし、皆あまり近寄っては来ないし、なんとなくよそよそしい。

 まあ、こんな恐ろしいモンスターの外見だもんな。

 仕方がないか。

 

 仕事が終わると村に一軒しかない宿屋に宿泊。

 ただし、ドロシーだけ。

 俺はデカくて宿屋の部屋に入れない。

 仕方がなく、夜は宿屋の玄関先で眠ることにしている。


 意外にも宿屋の主人には喜ばれた。

 怖いモンスターが入口付近にいると言うわけで、泥棒とかは近づかないらしい。

 俺は番犬かよ。


 ドロシーには謝られた。

「申し訳ありません。私だけ宿屋のベッドで眠って、ガンちゃんは野宿なんて」

「別にいいよ、エディと暮らしているときだって、いつも洞窟の入口に寝ていたんだ。入口をふさぐためのようだったけどな」

「なんでふさぐ必要があったんですか」

「そりゃ、エディは痴漢や泥棒やってたんだから、いつ誰が捕まえに来るかわからないじゃないか」


 エディの奴、いつも怯えていたなあ。

 あいつ、夜によくうなされていたことがあった。

 うなされるくらいなら、痴漢や泥棒なんてせこいことするなよと思ったもんだ。



 ある日、村の中央にある教会に村人が集まっているのが見えた。

 どうやら、毎週、一回はお祈りを捧げるようだ。

 ドロシーも参加したいようだ。


「ガンちゃん、スライム退治の前に、私も教会に行ってきていいですか」

「ああ、かまわないよ。毎日朝から晩までただ働いても疲れるだけだからな」


 俺はデカ過ぎて中に入れないので外で待つ。

 外見がモンスターなので、遠慮して教会の裏手の目立たないとこでドロシーを待った。

 

 平和な村だなあ、周りになんにもないけど。

 北の方には高い山が見えるが、なぜかハゲ山。

 禿げているので、なんにもないから人は住んでいないらしい。


 俺がのんびりとしていると、突然、地震が起きた。

 かなり大きい。

 いや、マジ、すげー大地震だ。


 おまけに長く揺れている。

 多少の地震程度ならびくともしない巨体の俺も、かなり揺れて転がりそうになった。


 やっとおさまったと思ったら、教会の入口の方でなにか起きたようだ。

 なんだろうと行ってみると、

「建物が歪んで出入口の扉が開かない」と村人が大騒ぎしている。

 

 おまけに、教会の建物が斜めになって崩れそうになっている。

 一本の柱が折れそうになっていた。

 このままだと教会でお祈りしていた人たちが危険だ。


「こりゃ、大変だ!」と俺はなんとか折れそうな柱に食いついて必死に支える。

 村人が教会の扉を斧で叩き壊し、全員が外に逃げてきた。


「もう誰も中にいないか」と確認して俺は離れた。

 その直後、教会の建物が崩れた。


 教会は全壊したがケガ人はいなかった。

 ドロシーがやってきた。


「ガンちゃん、すごい! 力持ちね」

「うむ、こんなに自分でも力が出るとは思わなかった」



 俺は大勢の人々を助けたということで表彰されることになった。

 村役場の前の広場で村長から表彰状をもらうが、手がないので代わりにドロシーが受け取った。

 まあ、単なる紙切れではあるが、人を助けるとは気持ちのいいものだなあ。

 

 おまけにけっこうな額のお礼金ももらった。

 これで、エイブラハムの提示した金額にだいぶ近づいた。


 さて、どうやらこの事件のおかげで、大勢の人を助けた俺の評判が上がったようだ。

 俺が村をフワフワと移動していると怖がらずに、皆、挨拶してくれるようになった。


 とは言え、やはり早く普通の人間に戻りたいなあ。

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