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第3話 すべてレイコ様のおかげです

 現世に戻ってきた俺がぽりぽりとポテチを食べている時、聖女ちゃんと竜騎士ゼノンは現世にやってきていた。


 二人は、聖女ちゃんの部屋の中に現れたのだ。

 聖女ちゃんこと林原麗子は、ラフな私服姿で、机に向かって勉強をしているときに異世界召喚をされた。

 だからその時、再び現世に戻された彼女は、椅子に座った状態だった。


 一方のゼノンは……あの竜騎士の銀光りする重そうな甲冑ではなく、シャツにズボンというありていの現世の服を着ていて、あのムキムキの身体も、少年のものに変わっていた。

 麗子はそんなゼノンの姿を見て、微笑んだ。


「成功しましたね」


 ゼノンは麗子に頭を下げる。


「すべてレイコ様のおかげです。ありがとうございます」


 神が麗子の願いを叶えて異世界へ二人を転移させる前に、麗子は慌ててゼノンの願いを神に伝えさせた。

 即ち、こういうものだった。


 ゼノンが現世にいっても困らないようにして下さい。

 具体的には


 ・今のムキムキボディじゃなくて、現世の高校生らしい身体にしてね。

 ・年も勇者君と同い年にして下さい。

 ・アメリカから留学してきたことにしてください。もちろん、勇者君の学校に転校させてね【重要】

 ・ゼノン君が困らないように、金銭的にもちゃんと助けてください。もちろん、彼のプロフィールにボロがないようにね。

 ・ゼノン君は私の遠い親戚という設定にしてください。そうすれば私も助けてあげられるので!!



 それ以外にもずらずらと羅列される願いに、その場にいた王や神官達は引いている。

 竜騎士ゼノンは尊敬の眼差しで聖女麗子を見つめた。


「素晴らしいです、レイコ様」


「まぁね、任せてちょうだい」


 麗子はにっこりと微笑み、そして二人は現世へ転移したのだ。

 そして冒頭の、転移した後の場面に戻る。




 麗子はゼノンに言った。


「もうここでは、レイコ様と言ってはだめですよ。私は林原麗子。あなたなら呼び捨てで構わないわ」


「レイコ、これからよろしく頼む」


「任せて頂戴。あなたの部屋は私の部屋の隣らしいわ」


 そういう情報が新たに麗子の頭の中に加わっていた。

 現世にゼノンという異世界からの住人を加えた修正が、記憶に加えられているのだ。


「わかった。おやすみ、レイコ」


「おやすみなさい」


 ドアから出ていくゼノンを、麗子は片手を挙げて見送った。

 妙齢の女性の隣の部屋に、同い年の男子を入れるというのは普通なら考えられないだろう。だが、麗子は構わないと思っていた。

 ゼノンは絶対に麗子の部屋に夜這いなどしかけない。

 なぜなら彼は、勇者に夢中だから!!


麗子はニヤリと笑った。


「ふふん、月曜日が楽しみね」


 ゼノンは月曜日から、勇者のいる高校に転校することになっているのだ。そして麗子も、それを追うように転校することを決めていた。

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