第2話 ステータスオープン
現世に戻ってきた。
戻ってきた時、本当によかったと思ったのは、異世界で過ごした時間が過ぎていなかったことだ。異世界転移をした時間その時に戻って来たから、俺は自室のベットに横たわり、漫画を読んでいたその姿のままだった(転移をした時も、漫画を読んでいた状態のまま、異世界の神殿の魔法陣の中にごろりと横たわっていた)。
起き上がって俺は漫画本を机の上に置いた。
異世界での出来事は、まるで夢のように思える。
だけど、夢でないことを俺は知っていた。
それを確認するため、唱えてみる。
「ステータスオープン」
そう言うと、俺の視界の右上に、俺のステータス画面が現れる。
数値はすべてMAX表示だ。俺は、ゲームをやる時は完璧を期する主義だった。異世界へ行った時も、当然自分のステータスは最大限にあげ、武器防具も最上級のものを入手した。ちなみにポーションの表示も9999になっている。最大所有量だ。
「……ん」
そこで気が付いた。
もしかして、収納庫もそのままなんじゃないかと思った。
ステータスの下の収納庫のボタンを押すと、異世界で収集したアイテム類一式がすべて羅列表示された。
「…………」
神様、これっていいの?
現世に、こんなに異世界のものを持ち込んだままでいいの?
俺は神が何の手当もせずにそのまま異世界の俺というキャラクターを、現世に連れてきたことに驚いた。それと同時に疑問を抱いた。
神が、単純にそれを忘れていたというわけではないだろう。
何か、考えがあるのだろうか。
しばらく考えたが、何も思いつかなかった俺は(だいたい深く考えることは、聖女ちゃんや竜騎士の役割だった。竜騎士は常に俺の尻を狙っていたが、結構頭はよかった)、鞄の中にポテチがあることを思い出して、それを取り出し、ゲームを起動させた。
そう、これがやりたかったんだよな!!!!
俺はぽりぽりとポテチを食べながら、途中でやめていた戦場ゲームをやり始めた。
勇者は結構おバカです。