表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いっこしたの次元の日常。  作者: konakun.
7/8

その5 戦争。

…この世界は、残酷だ。


「今日も平和なはずだ」なんて誰が言った?扉を開けて一歩外に出れば、激しい銃撃戦が日常茶飯事。勝者が倒れた敗者の持ち物を慈悲もなく奪っていく。そしてまた倒しては奪って…の繰り返し。

私もそんな、平和の反対を地で行く戦争の状態に巻き込まれた一人だ。いや、元々3人だった。私には仲間が2人いたのだが、1人は私を庇って弾を食らい、もう1人は突然背後から撃ち抜かれた。

今、仲間も失って自分自身も瀕死状態である私は、激戦区に佇む小屋に隠れている。銃弾も尽き、回復手段も皆無だ。即ち、誰かに銃を突きつけられればその時点で私の命は無いだろう。幾層もの銃声が外で鳴り響く中、私はじっと息を潜めていた。

…その時だった。



バキッ!


ドアでもなんでもない、壁をツルハシで突き破って入り込まれたのだ。咄嗟に逃走を試みたが、家の中で逃げられる範囲などたかが知れている。数秒もせず端に追い込まれた私に抵抗する手段など最早残されていなかった。

その時、しないはずのトリガーを引く音が聞こえた。私は…










#6

君たちなら1位いける!きっと!




モ「チクショウ!」


キ「ごめん、足引っ張っちゃった?」


ア「まー、イエローはこういうの初めてでしょ?それにしては上手くいったんじゃない?」


アオが3人でTPSしたいとか言い出したので今回家にお招きして3人でやったわけだが…結果は上の通りだ。アオは数ヶ月前にすこしかじったぐらい、イエローは全く初めてという初心者チームだったのでまぁ中々だとは思う。でもどうせだったら1位目指したいよね、初心者リードして1位とかすっごくかっこいいじゃん?そうでしょ?



ア「それじゃあ、おやつにしよー!」


モ「お、いいね、何か持ってきたの?」


ア「なんにも?」


おいちょっと待てや。うちの菓子食う気満々じゃねえか。遊びに来た時にジュースとかお菓子を提供するのは定番であるがそれはあれだ、招いた側が好意で提供するものであって客がねだるもんじゃねぇ。ってかこいつの場合ねだるどころか勝手に食おうとしてるじゃねぇか。ぶぶ漬け出したろかこの野郎。



イ「あっそうだ、お土産にシュークリーム買ってきたんだった」


モ「お、いいじゃん」


アオと違ってイエローはすっごく気が利いてるように見える。お土産持ってきただけなんだけど実質乞食なアオと比べりゃあ…って感じだ。いい子いい子。



イ「私は残った方でいいから、モモとアオ、好きな方選んで」


3種類、これがイエローの持ち込んだお土産である。内訳はカスタード、苺、そして抹茶と、どれも素材にこだわり抜かれた逸品らしい。ご丁寧にフレーバーの内容を刺さってる紙で明示してくれてるので、ロシアンルーレット的なランダム要素も皆無だ。シェアを前提にしているであろう、親切心のこもったお土産である。まぁそれが普通なはずと言われればそれまでだが。



ア「私イチゴ味がいい!」


モ「私も…あっ」


イ「あらら、1個しかないから公平に決めてちょうだい」


おっと被ってしまったか。説明はイエローがしてくれた通りだ。これからアオと私で、苺シュークリームの利権を賭けた公平な戦いが始まる。公平と言えば、ルールは勿論…



ア「ジャンケンでいい?」


モ「いいよ」


そう、ジャンケンだ。グー、チョキ、パーの三すくみで全ての結果が決まる。結果も勝ち、負け、あいこの3種類、この中であいこは仕切り直しを意味する、即ち最終的には結果は勝ちと負けの2通りに収束するのだ。出せる手段は3つのみ、その3つだけを用いて、相手の裏の裏の裏をかき勝利を掴む、いわば究極の心理戦と言っても過言ではないだろう。



モ・ア「「最初はグー!」」


モ・ア「「じゃん、けん…!」」




ア「あ、ちょっと待って、私やっぱり…」


……3択の勝負で、3択以外の選択肢による揺さぶりをかけるつもりか。ふふ、面白い。ならば私も乗ってあげようじゃないか。心理戦は時々スパイスがあってこそ楽しくなるものである。



モ「私もやっぱ…」


このタイミングで言い出すことだ。常識内で考えられる範疇でやっぱりの後に続く言葉は「カスタードに変えたい」のような発言だろう…いや、ちょっと待て。裏を書かれている可能性を考えねば。彼女の苺シュークリームへ向けた視線は真剣そのものだった。気まぐれなアオとはいえ、そこは譲らないと読む…が、そうなれば私は裏の裏をかかせていただこう。

仮にアオがカスタードを希望すると仮定した場合、私もカスタードを希望すれば、そこで意見がぶつかり合うことになる。そこで、カスタードを譲るという名目で本来の目的である苺味を奪取するのだ。相手が先に言い出した手前、「やっぱりなしで」は言いづらいだろう。この作戦ならWIN-WINを目指せる。今回の心理戦の目的は勝敗を決めることではない。『全員が喜べる選択』だ。

予定通り、私はカスタード味に切り替える旨をここで伝える。さぁ…平和に分け合おうじゃないか!!



モ「やっぱりカスタード味がいいかm

ア「トイレ行ってきていい?」



(; ・`д・´)ナン…ダト!?


心理戦終了のお知らせ。アオから譲歩の発言が出ることは正直期待していなかったが、どう考えてもおやつの配分を決める時というこのシーンにおいて似合わなすぎる発言であった。というかタイミングとかあんまり関係なくストレートに言うのはアレだろ。貴様それでも乙女か貴様。



イ「じゃあ私抹茶かな?正直抹茶好きだから余ってよかったかも」


モ「あ、はい、左様ですか」


この勝負において、第一希望を当てられなかったのは私だけとなってしまった。いや、カスタードでも別にいいんだけどさ、うん。そんな若干の悔しさが隠し味に混ざったシュークリーム、それでも美味であった。どんなコンディションであろうと美味しく感じる菓子を提供してくれる職人にはやはり頭が上がらない。そんなことを感じた一日であった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ