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いっこしたの次元の日常。  作者: konakun.
3/8

その2 朝方。

「……おはよう…」


今日はアラームや姉のコールではなく、自然に目覚めたようだ。


枕元で充電していたスマホを取り、迷わず自室の扉を開けたところで、異変に気づく。


「…あれ、」



いつもだったら聞こえてくるはずのテレビの音が聞こえてこない。加えて姉と妹の気配も感じない。

おかしいなと思った。リビングに上がる前に、持っているスマホを点けると……

私は気づいた。気づいてしまった。

「ここ」には…私しかいない。だって……













 08:24

XX/XX (水)





「うぇあああああああああああ!?」



そう、私は寝坊したのだ。姉も妹もとっくに家を出ている時間だ。

始業は8時半なので、猶予時間はあと6分、着替えとか朝食の時間を考慮すると間に合う確率は0%だ。こうなってはもう仕方がない。朝ごはんはしっかり食べよう。


「何かないかな…」



飯テロ(物理)とはいかないが、料理は普通に苦手な方だ。なので、台所に立つのは基本的に姉の担当である。

そうだな、確かカップの天ぷらそばがあったはずだ。



「……」ゴソゴソ


よし、見つけた。これにお湯を入れて3分待てば簡単にそばが食べられる。ラーメンと言い、よく開発してくれたものである。褒めて遣わそう。いや、これじゃ偉そうだし駄目だ。えーっと…とりあえずありがとうございます。

私はフタを躊躇いなく半分だけ開け…そして気づいた。


ちょっと待て。3分待たなきゃいけないのか。菓子パンだったら封を開けてすぐ食べられる。が、カップ麺は必然的に数分の待ち時間が伴う。

ミスった。なんという無能采配。でも他に手軽に食べられそうなのはない、仕方なく粉末スープを入れて……またもや気づいた。


ちょっと待て。3分あれば着替えられるじゃないか。何も完成を待っている間、何もせずに過ごす義務なんてないじゃないか。そう、この3分は有効に使う余地のある時間だ。

よくやった。なんという有能采配。スープを入れ終え、やっとお湯を注いだ。

………そして、また気づいた。


ちょっと待て。これ、移動しながら食べられないじゃないか。パンだったらくわえながら登校できるが、カップ麺はそうはいかない。

昔のラブコメの要領で、パンをくわえる代わりにカップ麺をすすっている女子がいたとしよう。その絵面がシュールの一言では到底収まらない壮絶なものになることは想像に難くない。


ダメだ。ちゃんと座って箸で食おう。もう間に合わないのは確定事項だから。あとは3分間使って支度だ。諦めも肝心である。



……


「…ほっ」



これがまた美味いのである。平日はあまり食べないものだからこそ、謎の背徳感が上乗せされて更に美味しく感じる。なんなんだろうこの気持ちは。誰かカップ焼きそば現象のときみたいに名付けてくれ。



……



「よし、出るか」


寝坊で遅刻を確信したことがあると思う人なら心当たりがありそうなことを今から言おう。支度も全て終え、さあ家を出ようと思ったときに「授業の途中からでも参加するか、もしくは1時間目の授業そのものを諦めるか」という葛藤をした人は結構いると思われる。

だが私に迷いはない、授業には途中からでも出る。ノート借りる友達は一応いる。でもだ、やはり先生から教わるのがいいだろう。こういう所で変に真面目なんだ、私という人は。



「いってきます!」(ガタッ



さて、最初が途切れてしまったが、私の今日という新たな一日は駆け足で始まろうとしている。いつもと変わらない、平凡な一日が…
















「……!」バッ



「……あれ?」





 6:58

XX/XX (水)





おい、なんだこれは。前回に引き続いて夢オチかよ。いや夢で良かったけどさ、遅刻は嫌だし。それにしたって心臓に悪いからまじでやめろ。まじで。



「ご飯できたよー」


「はーい」



今日の朝ごはんは親子丼…いや、なんか違うな。主に肉の部分が見た目的に鶏肉じゃない。


「あっ、鶏肉なかったからツナ缶入れたんだけど、どうかな?」


なるほどそうきましたか、ツナ缶を卵とじにするとは。ツナマヨおにぎりはよく食すのだが、こういうご飯との合わせ方があったのかと、姉のアイデアにはやはり脱帽だ。というか鶏肉あったら本来の親子丼にするつもりだったのか。結構下処理の手間かかるんじゃないのかアレ。いや、そうでもないのか?料理詳しくないからわからん。まぁとにかく食べてみよう。



「…ん、美味しい…!」


トロトロとシャキシャキを見事に混在させた食感の玉ねぎ、ジュワッと広がるツナの旨味、それをふわふわの卵に包んでご飯と一緒に食す…はぁ、料理下手がこんな食レポしていいんだろうかというわけでここら辺にしておこう。しかし、私もちょっと料理してみたくなったじゃないか。してみたくなっただけでどうせやんないだろうけど。



「いってきます」


改めて、夢の中ではなく現実の方での一日が始まる。今日はきっと平凡か、はたまた非日常が起こってしまうのか。私は私の未来を知らない、だから面白いのかもしれない。それと同時にかったるい。



ガチャッ



「……!?!???!??!?!?」


|彡バタン!



おいおい待て待て待て待て。何故だ、何故「奴」がいる。何処から現れたのかは知らない、「本来、私の前に存在してはならない」はずの「奴」がいたのだ。心の準備は勿論できていない。だが、立ち向かわなければ、私は……!






「お姉、どうかしたの?」



「ミッミミミミミミミミメミミミミミミミズガ……………!!!!!」


「落ち着いてお姉!?」


私は昆虫以外の虫その中でもミミズがとりわけ苦手なんだけど赤とかピンクとかそういうので表現出来ない妙な色とか足とか腕とか普通の動物にあるようなパーツが尽く育ってない奇妙な身なりとかその身体から繰り出される気持ち悪いこと極まりない動きとか日常生活に使うあらゆる無機物が持ち合わせていない人肌より絶妙に柔らかく湿っている感触とか無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理だからマジで死んでくれ一匹残らずこの世から去ってくれってか絶滅しろそして絶滅してくれ滅べ滅んでくれ頼むから滅んでくれぇぇぁぇぇぇぇぇぇぇ!!!!




「なんだ、ただのミミズじゃん」


「……くあうせどろふとじふじこるぴー…」



私とした事が取り乱した。しかし、嫌いなものは嫌いなのだ、許してくれ。



「森へおかえr……あっ」




「そうだ、この際克服してみない?触ってみなよ」スッ


「ふぁっっっっ!!?!?!??」


いつだ、何時からだ。私の可愛い妹に悪魔が取り憑いたのは。妹のために私が完膚なきまでに叩いてやろう、だから出てこい。おい、聞いてるのか。



「い、遺書を書いてからでいいか…?」


「そんな大袈裟だよー、ほら」ぽいっ






ぺたっ

~)ω・)




「……↓」


「……」




「!!(!,,,!!!!(((((!!!!!!!,!,,!!!」


ゴンッ!




「ちょっ!?大丈夫お姉ちゃん!?」



「どうしたの!頭打ったの!?」




…いい人生だった。いや、幕切れがこんなんでいいのか。最早哲学の域に達しないと答えなんて分からないだろう。とにかく、私の平和な日常は…










「……はっ」



「あっ、起きた!」


「良かった〜」



「ごめんねお姉ちゃん!ミミズ投げちゃって!」


「あ、いいよ……頭くらくらするけど」


というわけで数分間の気絶ののち起きたようだ。まじで精神的にも物理的に死ぬかと思った。妹よ、悪戯もほどほどにしてくれ。



「それとお姉ちゃん、もうひとつ言いたいことが…」


「ん…何?」






「あれ実はおもちゃなんだよね」


「えっ」



「……」


「……」




「…今日は学校休んでいいかな?」


「だめよ」



全然日常なんだけど平和ではなかった今朝、今日という日は記憶に残るのだろうか。できれば忘れたい。おもちゃだったけどミミズ出たし。

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