第4話
カナとレイナという2人の冒険者に救われた俺は王都に向かうことになった。
王都まではそんなに距離はないらしい。
早くても2日。遅くても4日ぐらいで着くという距離らしい。
早くても2日と聞いて内心「えー」となったのだが、こんな異世界じゃ仕方のないかと諦める。
車があればいいのに。
「ああ、車があればいいのに」
俺はぼそぉっとつぶやいていた。
俺の言葉に2人が尋ねる。
「車って何?」
「何々、おいしいもの?」
車というものを2人は知らないらしい。
車はやっぱりないのか。
残念。
さらに残念なのは車と聞いてまっさきにおいしいものだと言ったことだ。この2人はよほどおなかがすいているのだろうか。それとも腹ペコキャラなのだろうか。そんなまっさきに食べ物だと思わなくてもいいと思うけど。
「乗り物だよ、乗り物」
歩いて向かっている俺は乗り物っていう言葉を言う。
「乗り物って何?」
「えっ?」
「えっ?」
「えっ?」
俺の言葉に対して乗り物って何って不思議がられてしまった。驚いた俺は「えっ」と言うが、その「えっ」に対してカナとレイナの2人も「えっ」と驚く。お互いが驚く何とも不思議な状況になってしまった。
乗り物を知らないのか。
「移動手段ってどうしているの?」
「もちろん、歩きに決まっているでしょう。人は歩くことしかできないのだから」
「走ることは?」
「走るなんて、少し走ったらすぐに疲れてしまうから無意味ね」
「……」
どうやらこの世界での移動手段は歩きのみらしい。
しかも、走ることすらできないらしい。確かに走れば疲労はする。でも、俺の世界ではマラソン選手が42キロ走っているから走れないはずはないと思うけど。
あ、ちなみにマラソンの距離について俺は詳しくは知らない。確か42キロだよね、ぐらいの認識しかもっていない。
「馬とかに乗れないのか?」
俺は乗馬したことがある。
その経験から馬に乗ることを提案する。
「馬? ああ、動物の? 馬になんか乗れるものなの?」
「馬に乗る? 馬鹿なこと言っているじゃないよ」
カナとレイナの2人に馬鹿にされてしまった。俺、そんな変なことを言ったのだろうか。俺の世界では乗馬があったし、馬車というものもあった。だから、交通手段として馬があるのは当然かと思うんだけど。
「え? 馬って乗れないの?」
俺は、この世界では馬に乗れないものだと思う。
「馬は気性が荒いから手なずけるのが難しいのよ」
まあ、俺のいた世界でも時に馬は暴れた。それぐらい普通のことなんじゃないか。 俺は馬の飼育について詳しくはないからそれ以上のことを言うことはできないけど。
「そうなのか」
俺はカナの説明に納得してしまう。説得力が決してあるとは思ってもいないが、俺自身このことについて詳しいわけではないからだ。
しかし、馬車とかだったらいけそうな気がするんだけどな。馬が気性荒くても後ろに荷台をくっつけていれば暴れても乗り心地が悪いけどどうにかなる気がするんだけどな。
俺はそんなことを勝手に思っていた。いや、大変だということは重々承知なんだよ。でも、楽したい。人間なのだから楽したいんじゃああああああああ。
そんなことを内心ずっと考えながらカナとレイナそして俺は3人で王都に向かって歩いているのだった。
……夜とかどうするのだろう?
俺はこの旅への不安がかなりあってまだ1つとして不安が解消されていないのであった──