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四章

だいちゃんに、母の手術の成功とお礼を言いたいと思いつつも連絡ができないこと早一週間。

連絡先を知っているのだからメールか電話をすればいいだけの話なのに、迷惑じゃないだろうかと考えてしまって結局遠慮してしまっている私がいる。

もしかしたらまた会社で会えるかもなんて淡い期待をしていたけれど、全く出会えていない。


「最近DCシステムさん、訪問ないね?」


私の呟きに、亜美ちゃんはこてっと首をかしげて不思議そうな顔をした。


「プロジェクトが落ち着いていてしばらく打ち合わせはないそうですよ。」


「何で知ってるの?」


「逆に何で知らないんですか?水沢さんって津田さんと付き合ってるんじゃ?」


更に疑問の眼差しで見てくる亜美ちゃんに、私は慌てて否定する。


「ううん。付き合ってないよ。」


付き合ってるとか、何でそんなことになるの。

確かに嘘の恋人の契約はしたけど。

頭の中でぐるぐるとそんなことを考えていると、


「そうなんですか?じゃあ私、狙ってもいいですか?」


「えっ。」


予想だにしない返答に、言葉に詰まる。

だけど断る理由もないわけで。


「津田さんいい人だもんね。亜美ちゃんとお似合いかも。」


作った笑顔に乗せて、思ってもいないことを口走ってしまった。


自分で言ったことなのに胸がズキズキしすぎて苦しくて、後悔の念に苛まれた。


「早速連絡しちゃいました。」


業務終了後、ロッカー室にて楽しそうに報告してくる亜美ちゃんに、私は「よかったね」と愛想笑いを浮かべた。

本当はよかったねなんてこれっぽっちも思っていない。二人の行方が気になって仕方ないのだ。

だいたい、だいちゃんだって簡単にオッケーしてしまうんだと思うと、悲しくてたまらない。


だけど、それは当たり前のことで。

私との恋人の契約はもう終わったんだから誰と何をしようが、私に文句を言う権利はないわけで。


そう分かってはいるけど、心のもやもやは広がるばかりだ。

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