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少し話そうかと、私たちは駅近くにあるカフェへ入った。
セルフサービスで、先にお金を払って飲み物を注文するタイプのお店だ。
私がお財布を出す前に、だいちゃんはささっと二人分支払ってしまった。
「だいちゃん、お金。」
「いいよ、俺のおごり。」
爽やかな笑顔で返されて、私はいいのかなと思いつつもおずおずと財布を引っ込める。
昔とは違う、おごっておごられてという行為に、私たちはお互い大人になったんだと実感した。
だいちゃんが引っ越してから、もう20年近くずっと会っていなかった。
もう会うこともないだろうと思っていた。
なのに、まるであの頃に戻ったみたいだ。
自然と“だいちゃん”と呼べるし、だいちゃんが隣にいると安心する。
私の中の“津田さん”は、もうすっかり“だいちゃん”に入れ替わっていた。
嘘みたいな偶然に、私の心は踊った。




