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ふいに、斜め前の男性が「津田」と名前を呼んで手を上げた。
そちらに視線をやると、スーツ姿の男性が立っている。
私は驚きのあまりそのまま固まった。
「遅れてすみません。」
頭を下げた彼は、なんと先日私を助けてくれた彼だったのだ。
私の前の空席に座ると、おもむろに目が合う。
「えっ、あれ?」
彼も私に気付いてそのまま固まる。
「なになに、知り合い?」
「うん、まあそんなとこ。」
彼、津田さんは、私を見ると軽く微笑む。
なんだかそれがとてもむず痒くて、でも何だか嬉しくて、私は照れくさくなってしまう。
「えー?偶然?すごくない?」
亜美ちゃんたちがキャアキャア騒ぎ、もう一度簡単な自己紹介が始まる。
そんな中、私はこっそり津田さんを観察する。
笑ったとき、目尻がきゅっと下がる。
それがとても印象的で、同時にまただいちゃんを思い出させる。
だいちゃんも、笑うと目尻がきゅっと下がってた。
やっぱり似てる。
だけど、だいちゃんの名字は「桜井」だ。
彼は「津田」さん。
世の中には自分に似ている人が3人いるなんていうけど、こんな風なのかなぁ。
津田さんと大人になっただいちゃんを並べて見てみたいな。




