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震災後、ほとんど破壊被害のなかった盛岡の中津川河川敷では、恒例のいくつかのステージイベントなどが行われ、賑わいを集めていた。
「新次さん、この前、私の家族のこと聞いたじゃないですか」
「うん」
「母は健在ですが、私の父は、私が派遣社員で働いていた時、急死しました。私は、何ひとつ父に親孝行をしてやれなかった。それだけが、心残りなんです」
「そうだったんだね」
瀬川がどこか、淋しそうに笑った。
「誰だって、肉親の死に遭遇すれば、穏やかではいられない。まして、震災で何もかも失った人だっているんだ。失うものがないハングリーな奴ほど、厄介な者はないだろうね」




