67/119
4
このメールを送信すると、執筆中小説にこの内容が追加されます。
「ルールの大半は、男に都合よくできているものだよ」
読み終えた瀬川が、その童顔には似合わない眼鏡の奥のシャープな瞳を光らせた。
「いい子だと思われたくて、自分を犠牲にして、その結果、大きな問題に直面している女性は、世の中に大勢いるんだ」
「私が馬鹿だったんです。セーフティの担当者には、派遣先で、上司からデートに誘われたら、どう断ればいいのか、などと曖昧な喋り方をしてしまったんです。派遣切りに遭うのが、怖かったんです」
妙子は、唇を強く噛んだ。
「妙子ちゃん。働いていた時に、このことを誰かに打ち明けてはいなかった?」
「何人か、職場の同僚には相談していました。同僚たちは、もう誰も職場にはいないと思います。その他に、ニチドーの正社員もいます」
「その人達に、今の状況を説明して、証言を頼んでみたらどうかな?」
瀬川は、頼もしい雅量を持った男だった。
妙子は早速、元同僚たちに連絡を取ってみることにした。




