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妙子が登録しているセーフティは、3ケ月単位で、派遣労働契約を更新する。
高橋の派遣会社は、1ケ月単位だった。
「こういった大企業なんだから、せめて半年とか1年単位の契約でもいいのにね。昔のパート社員なら、1年契約だったのよ」そう話す高橋の目は、検査の疲労で、いつも真っ赤に充血していた。
妙子にはそれが、派遣社員という立場の人間が、客観的に一生懸命に働いていることを表現する手段の一つである、とも思われた。
潤が解雇されてから、妙子と高橋との距離は、急激に縮まっていった。
高橋は、この工場で働き始めて、1年半になるという。
妙子が来る前に、一度ラインを変えたことがあるという。
高橋が、前にいたラインのことを『伏魔殿』と呼んだ。