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加藤が、妙子に言った。
「小泉は、全く仕事ができなかった。仕事始めには必ず、製品の規格チェックをしてから機械に投入しなければならないことをせず、大量の不良品を出してしまったのだ」
それが、潤の解雇された致命的な理由だった。
潤のラインは主に、海外向けの製品を製造していたので、もしも決定的な不良品が出てしまえば、多額の交通費を出して先方へお詫びをしに行かなければならないのだという。
潤が出した不良品の数は、120万円相当の額だったという。
弁償させられるわけではなかったが、責任を取らされたのだろう。
空いた部屋の空間が、理解できなかった。
妙子は潤が、手書きで書いた蟻が這ったような4枚の便箋を、グチャグチャに丸め、屑箱へ放り投げた。
妙子はただ、非力な自分の力と、現実の非情さに、ただ泣き崩れることしかできなかった。




