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 ラグナロクセカンド 神界三国志  作者: 頼 達矢
ユグドラシル編 第一章 宇宙樹
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第百八十一話  出陣

こうして迫る次なる大戦に向けて重厚な沈黙の中に沈んでいたヴァルハラの内部は騒然となった。外壁を飾る武具も戦士達の高まる闘気と神気を受けて鋭い光沢を帯びる。

エインフェリア達は己の分身と言うべきオーク兵達が意のままに操れるか確認し、ワルキューレは武具の製造、点検を行うドワーフ達に指示し、大急ぎで軍備を整える。

全軍の総大将の座に就くのは、衆目が一致するところ最強のエインフェリアであり、かつて鎮守府大将軍としてその神速の用兵で足利尊氏の大軍を破った用兵の天才北畠顕家である。

その武勇はいよいよ苛烈にして凄愴であり、掲げる風林火山の旗が発する神気は高まっている。

そこに同じ旗を掲げる武田典厩信繁、山本勘助道鬼、さらに孫子の末裔である孫堅が補佐することで神秘的な加わり、ヴァルハラの軍勢の士気、武勇が大いに増すことは疑いなかった。

副将として左右を固めるのは海道一の弓取りとして武名を轟かせた今川義元、ヴァ―サ朝スウェーデン王であり軍事改革者として名高いグスタフアドルフである。

軍師として作戦を立案するのは諸葛孔明の意志と兵法を受け継ぎ、魏と最後まで戦い続けた蜀漢の大将軍、姜維。本来は武田家の軍師として名高い山本勘助も同じ座に就くはずであったが、先のニブルヘイムでの失態が理由で外されてしまっている。

「よし、よろしく頼むぞ」

重成は己の直属の部下として与えられた四人のエインフェリアを見ながら言った。生まれた時代も国も違うが、それぞれ戦場にて立派に戦い討ち死にした戦士達なのだろう。

勇壮な面構えの男達である。

現在重成が動かせるオーク兵は五百。四人のエインフェリアは重成より神格が低いため三百が限界だという。

つまりこの戦で重成は約千七百の兵を率いて戦うことになる。

(ムスペル相手の戦に充分と言えるだろうか……)

重成は不安だった。何せかつてヨトゥンヘイムでムスペルの上位種族である騎兵種と四姉妹の一人と遭遇したのである。

幸いにも騎兵種と直接刃を交えることは無かったが、あの圧倒的な破壊力と突撃力を秘めた軍勢相手では、オーク兵の騎兵などでは到底太刀打ちできないだろう。

(いや、山の巨人族との戦いでムスペルの騎兵は壊滅した。いくらムスペルと言えどあれだけの軍勢をすぐに再編成は出来ないはずだ。次の戦でムスペルの騎兵の大軍勢は来ないと考えてよいはず。問題は四姉妹。必ず現れるだろう)

重成の脳裏にヨトゥンヘイムの大地で遭遇した星球式槌矛を持つ半馬の巨人の怪異にして神秘的な姿が鮮明に蘇った。

(あの時は雷神トールに匹敵する力を持つであろう山の巨人族の船、スキーズブラズニルの力で倒すことは出来た。だがあのような神器がユグドラシルにあるとは限らないし、ミョルニルの槌も使えない。どのような手段で四姉妹を倒せばいい?)

その時、重成や他の戦支度にとりかかるエインフェリア達の耳に車輪の音が響いた。

見れば、グスタフアドルフ麾下のオーク兵が大砲を運んでいた。

「おお、あれが……!」

重成は目を輝かせた。かつてヴァルハラで行われた軍事演習で一度目にしたが、やはり衝撃的であった。

己が知る日の本の戦で用いられた大砲とはあまりに違うからである。日の本で使われた大砲は固定されることが多く、主に城壁を破壊することが目的であったと言って良い。

だがグスタフアドルフは大砲を劇的に軽量化させ、機動兵器へと進化させたのである。

つまり軽量化した大砲を馬、あるいは歩兵数人に牽かせることによって歩兵と共に進軍させることが可能となった。

(つまり、動かない城壁だけではなく移動する敵兵をもなぎ倒せることが出来るという訳だ)

そして大砲の砲台にはルーン文字がびっしりと描かれている。そうすることで頑丈かつ軽量化され、さらに砲弾に神気を込めることが出来るのだろう。

先にグスタフアドルフは大砲で雷神の一撃に匹敵する威力が出せると豪語したが、それは決してはったりではないことを重成達エインフェリアは確信することが出来た。

「皆の者、準備はいいか」

全軍の副将である今川義元の典雅にして朗々たる声が鳴り響いた。同じ副将であるグスタフアドルフは自信に満ち溢れた表情で己の顎髭を撫でており、大量の大砲と銃を愛おし気に見つめている。

そして総大将の北畠顕家は無言にして冷徹な表情ながら、発せられる秋霜の如き冷たい刃のような気でエインフェリアの気魂を震わせる。

「敵は炎を操る破壊の権化、ムスペルの子らである。だが恐れるな。我らも神々に選ばれた栄えある光の戦士である。その誇りを忘れず戦え!」

義元の激を受け、エインフェリア達は怒涛の声を上げて答える。

「余が皆に叩き込んだ「三兵戦術」を正しく用いれば、戦術など知らぬ野蛮な炎の巨人族など敵ではない。この戦必ず勝てるぞ!」

北方の獅子の咆哮を受け、特に大砲と銃を担当するエインフェリアが自信に満ちた声を上げた。

「いざ、出陣!」

それまで沈黙を守っていた冷徹な貴公子が勇ましい号令を上げたことでエインフェリア達の士気は頂点に達した。

そして雄々しく、かつ整然とした足取りでエインフェリアとオーク兵達はユグドラシルと繋がったビフレストの虹に次々と飛び込んでいった。




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