悪役令嬢(仮)はルートから外れられない
シリアスまではいかないけど、コメディ要素がちょっと薄めです。
結局、婚約者様からのお泊まりのお誘いは、ヒロインの阻止により、実現しなかった…。
婚約者様はヒロイン付きでも良いと言ってくださったけど、流石に婚約者様のお屋敷に、ヒロイン(ライバル)連れて行くわけにはいかない。
私が夜這いする前に、2人がそういう関係にならないとは、限らないし。
お兄様曰く、婚約者様は巨乳好きらしいし、あのヒロインのメロンなお胸はヤバい。
そんなメロンなお胸に思いをよせてたら、メロンの持ち主のヒロインが、隣のクラスのイケメンと一緒に中庭の奥に歩いて行くのを見かけた。
あのイケメンは確か…もう1人の攻略対象者…。
覗きは、はしたないと思いながらも、気になって後をコッソリとつけてしまう。
果たしてそこは、告白の現場だった…。
「君と一緒に居ると、安らげる。ずっと側にいて欲しい。」
そんな、セリフが聞こえた。
ロマンチックなセリフですわね…でも、私の心は完全に凍った…。
確か、貴方は、1つ年上の素敵な、婚約者がいるでしょう?
幼少の頃から一緒の、親が決めた婚約者が…。
その方は、どうするの?
思わず、告白している攻略対象者と自分の婚約者様が重なって見えてしまう。
自分の婚約者様じゃないのに、悲しくなる。
知らず知らずのうちに、涙が溢れてた。
離れなくちゃ、ここから。
でも、私の足は、2人が居るところに向かって居る。
私は、完全な部外者。
でも、でも…私は…。
あの人の婚約者の気持ちが、わかってしまうの。
私の心と一緒なの。
だから…。
「…ダメよ…裏切らないで…お願いだから、いつも側に居る人を見てあげて…。お願い。」
ヒロインは、悪くない。わかってる。
悪いのは、惑わされる男達。
悪いのは、繋ぎ止めることの出来ない、私たち。
でも、それでも、好きなの。大事なの。
いつも、見てるの気付いて…。
突然の私の登場に、2人は驚いてる。
告白の現場に、泣きながらの部外者登場は、それは驚くだろう。
現に、告白していた攻略対象者は、バツが悪そうに、この場から退場しようとしていた。
それを、ヒロインが止めた。
「先程の告白、お断りさせて頂きます。私、婚約者が居るのに、他の女に告白する男は嫌いです。あと、聞いてないのに、身の上話とか、辛かった自分語りする人も、気持ち悪いです。」
そして、バッサリと断った。しかも、気持ち悪いって…。
え?いいの?邪魔しておいて何だけど、いいの?
これok すればハピエンまっしぐらじゃないの?
ビックリして涙止まったわ。
告白していた、攻略対象者もビックリしている。
まさか断られる上に、ディスられるとは、思いもしなかったのだろう。
ポカンとしているわ。
そして、ヒロインの口撃は続く。
「私と一緒に居ると落ち着くとか、良い意味で言ってるつもりでしょうけど、完全に私の事、見下していますよね?あれでしょ?私が平民だからでしょ?確か貴方の婚約者、貴方より爵位が上で、しかも、才女なんでしょ?コンプレックス丸出しなの、わかりますよ?それに、婚約破棄しないで、告白するのって、完全に遊び目的ですよね?ただの浮気相手探しでしょ?学園卒業したら、婚約者とすんなり結婚するつもりでしょ?単なる息抜きの遊び相手になるなんて、冗談じゃないですよ。」
だから、私は、ポッと出のちょっと毛色の変わった女にすぐ惑わされるこの学園の貴族の男達よりも。
他にも目を向ければ良いのに、一途に親の決めた婚約者なんかを、思って努力している、彼女達が。
好ましいの。
そう言うヒロインは、とても綺麗で。
言ってることは、ヒロインとしては、おかしな事だけど。
まっすぐな姿が、また泣きたくなるほど、眩しくて。
あぁ、やっぱり彼女はヒロインだなと実感する。
そして、告白してくる彼らは、ヒロインと結ばれると、ちゃんと婚約破棄して、ヒロインに一途になるんだよと、教えてあげられない私は、卑怯な悪役令嬢がぴったりで。
正々堂々と戦えない私は、悪役令嬢として、悪足掻きするしかないのかな…。
オチまでもうちょいです。