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それぞれの。

作者: 河清 しづく

・・・僕の言い分・・・・


何故、きみは、いつも一人で抱え込んでしまうのだろう。

何もかも一人で解決しようとするのだろう。

こんなに側で、きみを見ている僕がいるのに。

僕はそんなに頼りないかい?

僕はそんなに必要とされてないかい?

僕は、、、、そんなに、信用されてないかい、、、?


初めて、守りたいと思った。

初めて、失いたくないと思った。

他人を、、、赤の他人を、こんなにも必要と感じた、初めての存在だった。


その細い肩も、その白い指も、その形の綺麗なつま先も。

出来ることならば、誰の目にも触れさせず、閉じ込めてしまいたい。

大事に大事にしまいこんで、僕だけのものにしたい。

僕だけの、僕だけの、僕だけの、、、、


きみが誰かに笑いかける。誰かと話している。誰かを見ている。

僕以外の誰かに、関心を向けている。

たった、それだけが。僕の、嫉妬心を、煽る。

僕にはきみしか必要ないノニ、キミハソウジャナイ。

でも、それは、仕方のないことで。

僕は、僕の中の気持ちに溺れてしまいそうだよ。


もっと、僕を見ていてほしい。必要と、されたい。

きみは強くて、一人で何でも片付けてしまう。

僕の助けなど必要ないかのように。

どんなに巨大な敵も、きみはまるで一騎当千の騎士のように、倒すのだろう。

それはきみにとって当然のことでも、僕には、、、、、僕にとっては、、、

認めるのに、すごく、勇気がいりそうだ。

僕は、きみにとって、一体何なのだろうね。




・・・私の言い分・・・・


ずっと、一人で生きてきた。

ずっと、一人で戦ってきた。

誰一人味方と呼べる存在はおらず、信じられるのは、自分一人だけ。

世の中は、私にとって、居心地のいい場所ではなかった。


なのに、どうして。

この人は、なぜ、こんなに無防備に、私の側にいるのだろう。

無償の感情など、私は信じられない。

何も見返りも受け取らない、善意の感情など、あるわけがないのに。

世界は、利害関係なしでは成り立たない。


背中を預けるに足る相棒など、そこまで信じられる相手など、

もう、必要がないくらい、私は一人でいたから。

今更、誰かに肩を借りるような弱さは、私の中に残っていない。

守るべき存在、味方、それらは、私を弱くする。


「きみを守りたいから。

きみを愛しく思うから。

側にいたい。」

それが、私には信じられない・・・・


誰かが、側に来てしまうと、一人で立てなくなる気がする。

今まで、自分の周りに固めてきた鎧が全て崩れてしまいそう。


あなたは、わたしにとって、そんな存在。

まだ、必要では、ないよ。


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― 新着の感想 ―
[一言] ラストの一文の有無で印象がガラリと変わる作品ですね。 それぞれの視点ごとに話が読める作品という事で自分好みのものでした。
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