表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2115年、アンドロイドの救世主  作者: レブナント
ACT4 タカマガハラ・アルコロジー襲撃事件
21/151

第一話「タカマガハラ・アルコロジーへの侵入者」

 ネオ東京に隣接する東京湾。

 その中央の海上に巨大建造物が作られている。

 海抜10メートルほどまでが防波堤を兼ねたコンクリート製の土台となっており、陸地へ向けて幾つもの空中歩道、空中鉄道や各種インフラパイプが伸びている。

 その上に高さ数キロにまでそびえ立つ巨大なピラミッド形のアルコロジーがあった。

 この中には政府の重要施設、世界各地の大企業の支店、そして国家や大企業の要職に就く最上階級の人々が生活している。

 ここはタカマガハラ・アルコロジーと呼ばれ、東京や政府を舞台にした番組やニュースでは必ず映される定番の名所となってる。

 このアルコロジーに編隊を組んで近づく5、6機ホバーヘリがあった。

 国防軍特殊部隊の兵員輸送ホバーヘリである。


「目標地点上空に近づいた。

 狙撃チームは相棒と共にホバリング降下の準備に掛かれ。

 突入チームはタカマガハラの4方のヘリポートに着陸と同時に作戦に掛かる。

 装備の最終チェックに入れ」


 ホバーヘリの中で装甲服を着た2名の兵士が向い合って座っていた。

 それぞれの兵士の前には体長4メートル、高さ1メートルほどの6本の足を持った巨大な機械が待機している。

 まるで昆虫のナナフシのような姿である。

 一人の隊員がヘルメットから片目にいかついバイザーを下ろしながら向かいの隊員に話しかけた。


「タカマガハラでドンパチやることになるなんてな。

 デフィー、お前も気を付けろよ。

 誤射なんてすれば100%、それはVIPだ」

「……関係ない。いつもと同じさ」


「それにしてもお前の相棒、愛情が足りてないんじゃないのか?

 支給されたまんまのカスタム無しかよ」

「相棒? プロジェクタイルを発射出来ればそれでいい」


 デフィーと呼ばれた隊員は眼の前の機械を軽く蹴る。

 機械は一瞬よろけたが直ぐに姿勢を正した。


 この機械は狙撃用の携帯式レールガンである。

 最新技術で小型化されているとは言っても人が持つにはまだまだ大きく、自立して動作するようになっている。

 狙撃兵に自立して追従し、狙撃兵が目に付けたバイザーを確認しつつハンドシグナルで指示を出して操作するのである。

 再び司令室から隊員達に無線が流れる。


「最新の状況を伝える。

 ターゲットは例のテロリスト、10人ほどのグループでタカマガハラの15階付近を強行突破し、二手に分かれて逃亡中だ。

 片方にはリーダーのカイ本人が居る。

 狙撃班はアルコロジー外周の4本の信号塔の空中連絡道の上、4方向で待機せよ」


 デフィー達はバイザーをチェックし、体中に装着された機材をチェックし始めた。

 そして天井のハンドルに掴まりながら開かれて外の景色が見えているホバーヘリ後部ハッチへと移動する。


「いくぞ、ゴン太」

「レイル001、降下準備に付け」

「おいおい、お前の相棒の名前、配布時のデフォルトのまんまかよ。可哀想に」


 デフィーはホバーヘリがアルコロジーを囲む4本の塔の空中連絡道上空に来たのを確認するとヘリから飛び降りた。

 レイル001も昆虫のように歩いてからジャンプして後を追う。

 短時間強風を体で受けた後、腰に装着したホバリングデバイスが起動し、空中をゆっくりと降下し始めた。

 レイル001も同時にホバリング降下に入る。

 デフィーは高度1200メートルにある空中歩道の屋根の上に降り立つと匍匐状態になる。

 そして体のプロテクターが屋根の模様を分析して自身の模様を迷彩パターンへとカメレオンのように変えた。

 遅れて到達したレイル001もデフィーの隣でしゃがみ込み、体を迷彩パターンに変える。

 デフィーは眼の前でハンドシグナルを送った。


【ハンドシグナル・トランスレーティング】


 バイザー越しに見えるデジタルディスプレイに表示されたあと、自動的にデフィーの音声が合成されて軍事無線に通信される。


「こちらオウルβ、狙撃体勢に入った」

「了解、そのまま待機せよ。

 現在アルコロジー内の監視カメラや各種センサーは全てテロリストのハッカーの攻撃により機能していない。

 ターゲットの情報は突入部隊に収集させる。

 一応確認するがそちらのサーマルセンサーで捉えるのは無理か?」


 デフィーがハンドシグナルを出し、レイル001のカメラが回転しながら動く。


「赤外線は完全にシャットアウトされている」

「だろうな。前世紀の建物じゃあるまいし……。仕方が無い進展があるまで待機しろ」



 アルコロジー内部の動く歩道の上を5人ほどの男が全力で走っていた。

 息を切らせながらも先頭をはしるのはカイである。

 その後を身体強化アーマーを着て大きな大砲のようなものを持った男が一人、小銃を装備した男が3人付いて走る。


「カイさん、今窓の外にちらっと国防軍特殊部隊のヘリが見えました。

 奴ら近いうちに突入してきますよ」

「窓に近寄るな。

 敵に位置を知られるし、狙撃の危険がある。

 いいか!

 例えここで特殊部隊に包囲されようとも、『断片』を手に入れた瞬間に我々の勝ちだ。

 今は全力で走れ」


 カイ達は歩道の端に到達し、今度はピラミッド型アルコロジーの頂点側を目指すエスカレーターへ駆け込む。

 カイはグラス型デバイスを額から降ろして操作しながら叫ぶ。


「キット! 25階北東から上へ行くエスカレーターだ! 早く!」

「分かった……今動かしたよ。限界まで加速するから気を付けて」


 止まっていたエスカレーターは加速しながら上へと動き始めた。

 通常ありえない猛スピードで周囲の壁や天井が列車のような速度で後ろへ流れていく。

 付いて来た男達はバランスを崩しそうになって必死に手すりに掴まった。


「カイ……どう考えても無茶だよ……、今アルコロジーの四方を囲むようにレールガンを持ったスナイパーが降下して待機している!

 四方の20階ヘリポートからは特殊部隊の小隊が突入した!

 索敵ドローンもあちこち飛び回りながら上へと登ってる!」

「出来る限り足止めしろ!」

「やってるさ!

 カイ達が通った後全ての防火扉やドアをロックしてるし、操作出来る作業ロボット全部ハッキングして抵抗させてる」


 カイは後ろを向いて叫ぶ。


「一匹もドローンを見逃すな!

 情報同期されればアルコロジーの中心に居ようが外からレールガンで貫通狙撃される!」


 背後の仲間たちは大慌てで小銃を散弾モードにチェンジして周囲を警戒し始める。


「キット!」

「何?」

「ワン達は逃げられる位置に居るか?」

「地下インフラへと続くパイプ近くに居る」

「ワン達を逃がせ。全力でサポートしろ。今すぐだ」

「……カイ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ