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プロローグ
ようこそいらっしゃいました、『不思議な世界』へ。
ここは『不思議の国のアリス』によく似た……しかし、物語ではない確立した一つの世界。
似ているからには懐中時計を持った二足歩行の白兎、お茶会をする帽子屋と兎と鼠、縞模様のニタニタ笑う猫などなど、たくさんの住人が暮らしています。
しかし、住人が皆そういう者ばかりというわけではなく、人間界に読み継がれる物語に出てくるような人物を演じられない者も当然いるわけでして。
様々な理由によって『落ちこぼれ』と呼ばれる人々がいました。
例えば、時間にたまにルーズな白ウサギ、男装が様になっている帽子屋、好奇心は一杯だが眠気に逆らえない眠りネズミ、研究ばかりしている引きこもりの三月ウサギ、自由気ままないじめっ子チシャ猫。
他にもいますが、それは後々のお楽しみ。
余程の事が無い限り『落ちこぼれ』の烙印を押されることはありませんが、彼ら彼女らは不思議な世界を統べる女王様の命により、土地を与えられて一所に集まって暮らしています。
そんな、『落ちこぼれ』な住人たちの生活を覗いてみましょうー……