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猫は愛すべき愚か者
膝にいる毛玉はなんて可愛いんだろう。
このコがいるだけで、どんなに救われているか知れない。
だけど生後6ヶ月ほどでウチに来たこのコももう十二歳。
あとどれだけ一緒にいられるかな。
若いうちに膀胱炎で2回入院した。
療法食のおかげかあれから一度も病気は再発していない。
もう一匹のコがいなくなったとき、自分の中の何かも一緒に壊れた。
自分と一緒に生きてきた猫の存在が、どれだけ大きかったか。
憎たらしいくらい賢かった黒猫が、今日に限ってなぜかとても恋しい。
膝のコを撫でながら思う。
このコまでいなくなったら、自分は別のモノになるんだろう。
心の3分の2が無くなったら、自分としての生きてきた証は無いに等しい。
壊れてダメになるか、吹っ切って走れるようになるのか。
そんな状態で生きているといえるのか。
自分を保っていられるのか。
虚無の海の上で綱渡りをするのはきっとこういう気分なんだ。




