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七話

荷物を纏めてもはや用をなさない道路の上を風を切りながら進んでいく。木の上からでは道路が見えないことが判明したので、仕方なく暗く危険な森の中を突っ走る事となった。


しかし何度来ても慣れない場所である。太陽を木々が遮り木漏れ日すら無いため常に薄暗く、太陽光があまり届かないのに雑草や背の低い木、極彩色の花などが咲き誇っている。もしかして成長に太陽光が要らないのだろうか?そしてギチギチと嫌な音が何時も何処からか聞こえてくる。こんな森は早く出てしまうに限ると心に決め歩みを早める事にした。





まぁ道路や村があんな状態だから予想はしていた。



あの陰気な森を抜け出た先はまたもや廃墟。しかも今度のは更に年期が入ってるのだからどうしようもない。原型をある程度保っているのが不思議である。


私は、おそらく街の憩いの場となっていた、大破した石像を飾っている枯れた噴水の前で遅めの朝食をとることにした。この町もさっきの村も地図に名前が書いていないと、ゴムのように硬いベヒモスのジャーキーを鋭い犬歯で引きちぎりながら地図を眺めてそう思った。廃墟と言えどもかなり大きい街である。昔は栄えていたのだから、さっきの村ならともかくウルタールなどの辺境の村を載せずここの街の名前を載せればいいのに。

この、時の流れにより何の像なのかも分からなくなってしまった石像だって大分目立つ。旅人にはわかりやすいだろう。


ふと石像を見ると、台座に金字で何か書いていることが分かった。

噴水の中に入り近寄って見てみる。



「よ……そ、……タ……の…へ!!  英…、……オ…の…  作……………」



ほとんどかすれて見えない。とんだ無駄足である。



仮眠を少し取り、私はこの街を出ることにした。一泊してもいいのだが森が近いのがネックだ。



街を侵入者の出入り口となっている崩れかけた門から出ると、目の前には緑の絨毯のような大草原が広がっていた。奥にはそびえ立つ荘厳な山々が見える。


次の目的地はあそこ、狂気山脈だ。


名前こそ狂気だが、青々として天にそびえ立つ非常に美しい山脈だ。狂気なんて名前はン・ガイの暗黒の森に押し付けてしまった方がよい。


だが此処からは更に気を引き締めなければならない。何故なら、私は村と森以外の場所にでた事がない。なので開けた大草原に居ても脅威的な生物や植物などが分からないのだ。


とりあえず何にでも不用意に近寄らないように草原を掻き分けて山脈まで向かう事にした。








おかしい、絶対におかしい。

もう日も落ち、星がでている。昼からずっと草原を進んでいるのにまだ麓にすら着かない。幻覚でも見ているのだろうか。

流石に夜通し歩くわけにもいかず、草を刈り取り魔除けの魔法陣を書いてからテントをたてる。最初からこうしときゃ良かった。

焚き火は草原では危険な上、危険生物が嫌がらないとただの居場所を知らせる狼煙なので止めておく。



もう歩き疲れたので、テントの中で食事を簡単に済ませ、眠る事にした。

明日こそ麓に辿り着こうと考えていた私は眠け

により意識を手放した。

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