三話
光りがほとんど射さない陰気な森の中、私は一人、狩りをしている。相手は、いつも皆で狩っている、ベヒモスと呼ばれるこの森では比較的大人しく、ディオル族の食料にしている草食動物だ。
だがベヒモスは、灰色の分厚い皮膚をもち、鋭く長い角に、尖って硬い爪、巨木をも薙ぎ倒す前脚、尻尾は短いがよくしなり、当たれば骨折はまのがれない。体長5メートルはあるだろう巨大な肉体をもつ化物だ。
当然ながら一人で狩るのは始めてである。
それにしても、私の獲物のベヒモスは普通のよりもさらに一回り大きい、普通なら別の獲物を探すだろう。だが今ベヒモスは食事中、絶好のチャンスだ。風下の茂みに隠れ、持ってきた武器の中から弓と短槍三本を取り出し、短槍を背中に紐で軽く縛って背負い、右足に巻き付けている、小さめの矢筒から弓に矢をつがえ、覚悟を決め、神に祈りを唱える。この狩りが上手くいくようにと。
祈りも終わり、ノンビリときのみを頬張っているベヒモスの後脚に狙いをつけ、射る!!
弓から勢いよく放たれた矢がベヒモスの右後脚を貫く、その瞬間に茂みから飛び出しベヒモスの真上に飛び乗る。
ベヒモスは混乱し何が何だかわからないようだ。
そして、ベヒモスの背中の上から首に短槍を渾身の力を込めて突き刺す。だがベヒモスの分厚い皮膚に阻まれ致命傷には至らなかった。いけると思ったのだが。
ベヒモスは私を振り下ろそうと体を目茶苦茶に振っている。
私はその馬鹿力に負け、打ち上げられてしまった。
空中で受け身を取り体制を立て直すと、激昂したベヒモスが前脚を振り上げながらこちらに向かって来る。
慌てて後ろに下がると、隣に有った木が両断されていた。
これを見る度に自分の死に様を思い出すが、今はそんな時では無い。
急いで木の上に飛び上がり、枝から枝へ、木から木へ飛び移った。
ベヒモスは右後脚を射られいるため、追いつく事が出来ない。
十分な距離を取り、もう一度矢をつがえている。次は左後脚だ。
矢は見事に左後脚に刺さりベヒモスは転倒した。
念のため、動けないベヒモスの前脚と後脚に次々と矢を浴びせる。
ベヒモスの皮膚は厚く、固いため矢は普通刺さらないが、
ベヒモスは脚部の皮膚が比較的に薄いため矢が刺さるのだ。
矢を撃ち切ったところで、トドメを刺すため、短槍を持ち、木からベヒモスの背中へ飛び掛かり、全体重を乗せて短槍を背中に根元まで突き刺す。
分厚い皮膚や厚い脂肪すらも突き破り、背骨が折れる嫌な感触が手に伝わる。
だが、村に住んで何度も狩る中に慣れてしまった。
私から逃げようと、必死にうごめいていたベヒモスがびくびくと痙攣し始め、やがて動かなくなった。
これにて狩りは終了である。
私はこの巨大な獲物の尻尾を持ち、引きずりながら、ほかの生物に横取りされないよう気をつけて、村に帰ることにした。
ベヒんもす狩られるの巻