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Geminiと私。-ジャンル判定にキレる小説投稿者と生成AIの付き合い方-

作者: 柳瀬あさと

「現実世界の恋愛もの書いた! ジャンルあってるよね?!」

『違うよ! これはヒューマンドラマ!』

「これならどうだ! 現実世界の恋愛もの」

『違うよ! これは純文学!』

「ギィぃイィィィッ!!!!!」


 私は最近、小説を書いた後の諸々をGeminiに手伝ってもらっている。

 なろうに投稿してる人はわかるだろうが、小説を書いた後の諸々ってなんだ?とお思いの方もいるだろう。小説を書いた後に小説投稿サイトに投稿するか文学賞に応募するかならば、書いた小説に対してあらすじを作ったりジャンルを設定したりタグやキーワードを決めたりしなければならないのである。

 私は小説を書くことは好きだが、ここら辺の作業が苦手だった。

 しかし投稿する・応募すると決めたならやらなければならない。正直自分の妄想を忘れずに何時でも読めるようにするため書いてる部分があるので、誰にも見られなくてもいいけれど、どうせなら同じ趣味の人間の慰めになればいいとも思うので多くの人に見てもらいたい。となると、正しい情報で多くの人に興味を持ってもらう必要がある。


 そこでGeminiです。

 Geminiに書いた小説を投げてあらすじを作ってもらったりジャンルの正誤を確認してもらったりするのである。


 さて、ジャンルの正誤。これが今の作者の問題です。

 実は私、結構色々なジャンルの作品を書き散らしています。今のところ書いたことがあるのは『異世界恋愛』『現実世界恋愛』『ハイファンタジー』『純文学』『ヒューマンドラマ』『コメディー』『その他』です。

 なろうは様々なジャンルがありますね、凄いですね、そしてここまでくると、そう、わかりますよね?


 全ジャンル制覇、してみたいよね……?!


 してみたくないですか? 私はしてみたいです。ていうかします。

 するとこの問題が出てきます。


 書きたいものを書き散らかしたはいいが、これ、ジャンル何?


 なろうで色々読んでる人なら一度はぶつかると思う「これジャンル違くね?」問題。もしくはジャンル詐欺。皆さんも覚えはありませんか?

 勿論ジャンルなんて気にせず読んでいる人もいると思います。私も基本そうです。あらすじで気になったものに手を出します。ですが、たまに「王子様とお嬢様のイチャラブが読みたい!」と思って異世界恋愛のランキングの上位を読んだのに、ざまぁしか書かれてなくて最後にちょっとだけ助けてくれたヒーローと恋愛する……かもネ☆ みたいなのに当たってしまったとかさぁぁぁぁああぁぁ!!! おっまえ、それは違うだろ?! なぁ?! ってなってしまうじゃないですか。「剣と魔法のドキドキ冒険が読みたい!」と思ってハイファンタジーのランキング上位を読んだのに、剣と魔法の世界を舞台にしただけの魔法使いとお嬢さんの素直になれない溺愛ラブ☆ みたいなのにあたってしまったとかさぁぁぁぁあぁぁぁ!!!!! ちっがうねん! これはこれで面白いけど今読みたいの違うねん!! ってなってしまうじゃないですか。だから自分は絶対正しいジャンル指定にしようと思ってるんです。

 はい、ここです。

 私は全ジャンル制覇したい。しかし自分の趣味で書くから客観的に見たらそのジャンルで合ってるか怪しい。

 というわけで客観的に見れるヤツ! Geminiー!! いえーい!!


 そして冒頭に戻ります。


 おかしいんですよ……現実世界の恋愛で書いてる筈が現実世界の恋愛認定してもらえないんですよ……ドウシテ……ドウシテ……。

 まぁどうしてもくそも、判断した根拠も書かれてるから丸わかりなんですけどね。恋愛感情あっても環境が特異とか心の成長描写が多いとか倫理的にアレとかだと純文学認定されるよ、わぁ、知らなかった。

 そんなわけで、Geminiにはそういう書いた後の作品設定で役に立ってもらってます。


 だから私は、小説執筆にGeminiは使ってないけど小説投稿にGeminiを使ってる、という立場です。

 この立場になる前、私もね、ちょっと試したんですよ。

 そう、生成AIに小説を書かせるってヤツに。


 結論から言いましょう。


 私には生成AIで小説は書けない。


 これだけだと「でも生成AIの作品がカクヨムでランキングトップになったし、生成AIを使った小説が受賞されたこともありますけど?」と言いたくなる人もいるだろう。その通り。私には書けないだけの話で、他の誰かは書ける。

 ちなみにどんな書かせ方をしたかというと、やり方自体は九段理江さんの『影の雨』のやり方に近いです。ざっくりと言えば学習と対話からの執筆ですね。


 結果、撃沈。


「絶対条件として指定した項目は全部入れるように言ったはずです。抜けがあります。あとアスタリスクは全部排除してください。もう一度」

『失礼しました。これでどうでしょう』

「指定した項目は全部入っていますが、キャラクターの解釈が変わっています。アスタリスクの排除も完璧ではありません。もう一度」

『失礼しました。これでどうでしょう』

「そのキャラクターは確かに世間一般には不良とされる人物ですがそこまで非常識ではありません。アスタリスクを排除しろ。もう一度」

『失礼しました。これでどうでしょう』

「色々言いたい事はあるがいいからとにかくアスタリスクを完全排除しろっつってんだろうがよぉおぉぉ!!!!!」


 こんな感じでした。

 最終的には「クソ! 貸せ! 小説ってのはこう書くんだ!!」と今まで散々やる気が出なくて書けなかった部分をあっという間に書き上げることが出来ました。生成AIが作り出したのは作者のやる気でした。

 生成AIを使って小説を書くことは出来ます。実際にやっている人はもういます。ですが私には生成AIを使って小説は書けません。


 何故か?


 恐らく目的の違いです。私は小説を書いてほしかったのではありません。自分の頭の中にあるアイデアを形にしてほしかったんです。

 そして多分、この違いが致命的でした。


 私は書きたいシーンがあると先にその部分だけ書いてしまう、という書き方をしています。すると出来てくるのは歯抜けの小説。

 プロットはある。書いてある部分もある。その間を埋めるものを書いてほしい。

 学習させているときは順調だった。自分の歯抜けの小説を読ませ、プロットや隠れ設定も読ませ、結果、私の文体がどんなものか学習してキャラクターも把握できていた。それは間違いなかった。実際、学習の結果を見せてもらった時に「あ~、確かに私こういう書き方するわ~」と感心したものだったし、「やっべ、いま世界で一番この小説理解してんの私よりこいつじゃね?」と思う程キャラクターの考察も出来ていた。

 これはいける! そう思った私はウキウキで執筆をしてもらった。けれど駄目だった。当然です。アウトプットが出来てないだけで頭の中に完成品があるのです。私は生成AIが書いた小説が条件にあっているか確認したのではなく、自分の頭の中のものと差異がないか確認したのです。


 そりゃ無理だよ。


 小説を書く力と生成AIで小説を書く力は違う。生成AI小説家は恐らくプロンプト構築は勿論、編集とか校閲とかそっちの力が付くんじゃないかな、と勝手に予想する。そして、既に小説を書く力を持っている人は生成AIで思い通りの小説を書くのはかなり難しいと思う。『思い通り』というところがミソ。そこを無視するか妥協すればまた話は違ってくると思う。

 少なくとも、私に必要なのはドラえもんの念画紙的な奴だった。もしくは攻殻機動隊の世界。


 でもでも! 学習方法の確立とプロンプトを工夫すれば近いことは出来るんじゃないの?!

 そんな思いもあります。けど、多分それをやってる時間があったら自分で書いた方が早い。効率化を狙って生成AIを取り入れる事を考えたら非効率的の極みである。

 そんなこんなで私は生成AIに小説を書かせることを諦めた。諦めたというか無理だった。やる気を出したい時には「クソ! 貸せ!」の為に使うかもしれないけど。


 ただ、学習の過程を見ると生成AIはやっぱり使える。以前から誤字脱字チェックに使ってるよ、という話は聞いた事があったけど、話の矛盾とか食い違いとかの発見にも使える。

 作り上げたものの客観視。これは本当に助かる。

 そんなわけで、私は今日もGeminiに小説を書いた後の諸々を手伝ってもらっている。

 あらすじを作ってくれてありがとう、キャッチコピーとかおすすめキーワードとかありがとう、何よりジャンルの正誤判定ありがとう。

 これからもよろしくGemini。もう君に小説を書かせる気は欠片もないから、思う存分アスタリスクを出してくれて構わない。


「へっへっへ、ようGemini、これはどのジャンルが最適だと思うよ?(すでに現実世界の恋愛で上げていてジャンル違いの指摘も受けていない自作品)」

『これはヒューマンドラマ!』

「ギィぃイィィィッ!!!!!」


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― 新着の感想 ―
めっちゃ面白かったです。私はchatgptに勉強の為に課金していて、最近創作でも使うようになりました。なので気持ち本当に分かります。整合性が全然取れてないんですよね。なんでなんだろ。プロンプトが悪いの…
ジャンル!!!(言葉にならない思いを込めて) 面白かったです。がんばって書いても……がんばって書いたのに、「これはヒューマンドラマ!」……いやあ、共感しかないですね。 さておき。ジャンル判定に使用する…
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