第7話 屋敷の大騒動!ルナのユニーク実験
今日は、屋敷での自由時間。
私は小さな机に向かい、前回の学院実験でうまくいった「魔力増幅装置」の改良に挑戦していた。
今日のテーマは——香りの変化を魔力に反映させるポーション。
つまり、いい匂いがすると魔力もアップする、まさに五感で楽しむ発明だ。
「よし、今日は絶対に煙は控えめに……」
そう心に決めつつ、瓶を手に材料を混ぜ始める。
ところが、私の手はまた少し滑った。
スパークのような小さな光が飛び、机の上の粉末が舞い上がる。
「ルナお嬢様! またですか!?」
メイドのマリアが慌てて駆け寄る。
後ろでは執事のハロルドが、火元を消そうと大急ぎだ。
しかし、今回の爆発は想像以上に小規模で、煙は淡い虹色に光るだけ。
その光と香りが、屋敷中にふわりと漂い、まるで小さな魔法の花園のようだ。
「わっ、すごい……でも、どうしてこんなにきれいなの?」
私は小瓶をくるくる回しながら、不思議そうに眺める。
マリアは顔をしかめながらも、すぐに冷静に声をかける。
「お嬢様……これ、ちょっと手加減してもらえますか。屋敷中が香りだらけで掃除が大変です」
ハロルドは溜息をつきつつ、机の周りの道具を片付け始める。
「いや、でも偶然の産物かもしれない……ちょっと待って、これ魔力増幅に効いてるかも!」
私は興奮気味に小瓶を持ち上げる。
光る液体がゆらゆらと揺れ、甘い香りが屋敷中に広がった。
その瞬間、廊下を歩いていた兄が駆け込んでくる。
「ルナ! なんで屋敷中が甘い匂いでいっぱいなんだ!?」
「え、えっと、実験です……ちょっと偶然こうなっただけで……」
私は顔を赤らめつつ答える。
従者たちは振り回されつつも、内心では楽しんでいる。
マリアは小さくつぶやいた。
「お嬢様、天才なのかドジなのか……もうよくわかりません」
私は苦笑いしながら、瓶を机にそっと置く。
結果として、魔力も香りも想定以上に良い反応を示していた。
どうやら、私の天然ドジっ子実験が偶然にも“完璧な調整”になったらしい。
「ふふ、まあ……結果オーライだね」
私は小さくつぶやきながら、次の実験計画を頭の中で練り始める。
屋敷の中は大騒ぎだけど、これが私の日常——ドジと発明が入り混じる、ちょっと不思議で楽しいアルケミ家の日々なのだ。