第57話 ふわりちゃんとハーブの大親友作戦
「ピューイ、ピューイ!」
実験室の隅で、薬草ウサギのハーブが元気よく鳴いている。
ふわふわの茶色い毛に薬草の葉っぱが混じった愛らしい姿は、見ているだけで癒される。
「ハーブ、今日も元気ね」
私がハーブの頭を撫でると、嬉しそうに鼻をひくひくと動かした。
「ふみゅ?」
一方、私の肩の上のふわりちゃんは、ハーブをじっと見つめている。
真っ白でふわふわな天使のような姿で、水色の瞳がきらきらと輝いている。
「ふわりちゃん、ハーブと仲良くしたいの?」
「ふみゅみゅ〜」
ふわりちゃんが小さく頷いた。
どうやら、ハーブに興味があるようだ。
——初めての接近戦——
「じゃあ、ハーブに挨拶してみましょう」
私はふわりちゃんを手のひらに乗せて、ハーブの近くに持っていった。
「ふみゅう…」
ふわりちゃんが少し緊張している。
小さな翼をぴくぴくと動かしながら、ハーブを見つめている。
「ピューイ?」
ハーブもふわりちゃんに気づいて、首を傾げた。薬草の匂いがふんわりと漂う。
——第一印象は微妙?——
「ふみゅ〜」
ふわりちゃんが恐る恐るハーブに近づこうとすると—
「ピューイ!」
ハーブが突然ぴょんと跳ねて、ふわりちゃんから離れてしまった。
「ふみゅう…」
ふわりちゃんがしょんぼりしている。
どうやら、ハーブは少し警戒しているようだ。
「大丈夫よ、ふわりちゃん。ハーブも最初は人見知りなのよ」
私がふわりちゃんを慰めると、小さな体をくるんと丸めてしまった。
——作戦会議——
「お嬢様、ふわりちゃんとハーブちゃんを仲良くさせたいのですね」
セレーナが虹色の髪を揺らしながら提案してくれた。
「何か良いアイデアはある?」
「そうですね…まずは共通の趣味を見つけてみてはいかがでしょう?」
「共通の趣味?」
「はい。二匹とも可愛いものが好きそうですし」
確かに、ふわりちゃんもハーブも、とても可愛らしい。
——作戦1:お食事作戦——
「まずは一緒にお食事をしてもらいましょう」
私は小さなお皿を二つ用意した。
ふわりちゃん用には甘い花の蜜、ハーブ用には新鮮な薬草を並べる。
「ふみゅ?」
ふわりちゃんが興味深そうにお皿を見ている。
「ピューイ?」
ハーブも薬草の匂いに引かれて近づいてきた。
——微妙な距離感——
二匹は同じテーブルでお食事を始めたものの、お互いに少し距離を置いている。
「ふみゅみゅ〜」
ふわりちゃんが花の蜜を舐めながら、ちらちらとハーブを見ている。
「ピューイ、ピューイ」
ハーブも薬草を食べながら、時々ふわりちゃんの方を見ている。
「お互いに気になってはいるのね」
——作戦2:共同実験作戦——
「今度は一緒に錬金術の実験を手伝ってもらいましょう」
私は簡単な薬草茶の調合を始めた。
「ふわりちゃんは材料を混ぜるのを手伝って。ハーブは薬草の選別をお願いします」
「ふみゅ〜」
ふわりちゃんが小さなスプーンを持って、一生懸命に材料をかき混ぜている。
「ピューイ、ピューイ」
ハーブも鼻を利かせて、良い薬草を選んでくれている。
——少し接近——
実験をしているうちに、二匹の距離が少し縮まってきた。
「ふみゅ?」
ふわりちゃんがハーブの選んだ薬草を興味深そうに見ている。
「ピューイ〜」
ハーブも、ふわりちゃんが混ぜている様子を観察している。
「お互いの作業に興味を持ち始めてる」
——作戦3:お昼寝作戦——
「お疲れ様。少し休憩しましょう」
実験の後、私は柔らかいクッションを用意した。
「ふみゅう…」
ふわりちゃんが小さなあくびをして、クッションの上でうとうとし始めた。
「ピューイ…」
ハーブも疲れたのか、別のクッションで休んでいる。
——運命の瞬間——
しばらくすると、寝ぼけたふわりちゃんが、ふわふわとハーブの方に転がっていった。
「ふみゅう〜」
そして、ハーブのふわふわの毛にぽふっとくっついてしまった。
「ピューイ?」
ハーブが目を覚ますと、真っ白なふわりちゃんが自分の毛にくっついている。
——初めての触れ合い——
「ふみゅ…?」
ふわりちゃんも目を覚まして、ハーブの温かい毛の感触にびっくりした。
「ピューイ〜」
でも、ハーブは今度は逃げなかった。
ふわりちゃんの雲のようにふわふわな毛が気持ち良さそうで、むしろリラックスしている。
「ふみゅみゅ〜」
ふわりちゃんも、ハーブの薬草の香りと温かさに安心したようだ。
——友情の芽生え——
「あら、仲良くなったのね」
私がそっと見守っていると、二匹は自然に寄り添って眠り始めた。
白いふわりちゃんと茶色いハーブが、まるで雲と大地のように美しいコントラストを見せている。
「ピューイ…」
「ふみゅ…」
二匹とも安心しきった寝息を立てている。
——翌日の変化——
次の日から、二匹の関係は劇的に変わった。
「ふみゅみゅ〜」
「ピューイ、ピューイ!」
朝から二匹は一緒に遊んでいる。
ふわりちゃんがハーブの背中に乗って、小さな翼をぱたぱたと動かしている。
「まるで空飛ぶウサギみたい」
——新しい遊び——
「ふみゅ〜」
ふわりちゃんがふわふわと宙を舞うと、ハーブがその下でぴょんぴょんと跳ね回る。
「ピューイ、ピューイ!」
まるで追いかけっこをしているようで、見ているだけで楽しくなる。
「二匹とも楽しそうね」
——共同作業——
実験の時も、二匹は協力して手伝ってくれるようになった。
「ふみゅ〜」
ふわりちゃんが材料を運び、ハーブが薬草を選ぶ。完璧なチームワークだ。
「ピューイ!」
ハーブが良い薬草を見つけると、ふわりちゃんが小さな翼で拍手のような動きをする。
——お昼寝タイム——
そして、お昼寝の時間になると—
「ふみゅう〜」
ふわりちゃんがハーブの背中にちょこんと座って、一緒に眠る。
「ピューイ〜」
ハーブも嬉しそうに、ふわりちゃんを包み込むように毛を立てている。
「本当に仲良しになったのね」
——セレーナの観察——
「お嬢様、あの二匹を見ていると心が温まりますね」
セレーナが微笑みながら言った。
「ふわりちゃんの神聖な力と、ハーブちゃんの薬草の力が、お互いを癒し合っているようです」
確かに、二匹は一緒にいると、より一層輝いて見える。
——カタリナの反応——
「あら、ふわりちゃんとハーブちゃん、とても仲良しですのね」
カタリナが実験室に来た時、二匹が一緒に遊んでいるのを見て感嘆した。
「まるで童話の一場面のようですわ」
「ふみゅみゅ〜」
ふわりちゃんがカタリナに挨拶するように小さく鳴くと、ハーブも一緒に「ピューイ!」と鳴いた。
「二匹で挨拶してる!」
——エリオットの分析——
「興味深い現象ですね」
エリオットが観察しながら分析している。
「異なる種族同士が、これほど親密な関係を築くとは」
「友情に種族は関係ないのかもしれないわね」
「確かに。純粋な心同士が惹かれ合ったのでしょう」
——新しい特技——
仲良くなった二匹は、新しい特技も身につけた。
「ふみゅ〜」
ふわりちゃんが神聖な光を放つと、ハーブの体に薬草の香りが強くなる。
「ピューイ!」
そして、ハーブが薬草の力を使うと、ふわりちゃんの翼がキラキラと光る。
「お互いの力を高め合ってるのね」
——連携プレー——
実験中に小さなトラブルが起こった時も、二匹は見事な連携を見せる。
「あ、材料がこぼれた!」
「ふみゅ!」
ふわりちゃんが素早く神聖な力で汚れを清めて、ハーブが薬草の力で香りを整える。
「ピューイ、ピューイ!」
「完璧なチームワークね」
——お散歩タイム——
学院の庭を散歩する時も、二匹は一緒だ。
「ふみゅみゅ〜」
ふわりちゃんがハーブの頭の上に座って、小さな翼で方向を指示している。
「ピューイ、ピューイ」
ハーブは嬉しそうにふわりちゃんを乗せて、庭中を駆け回る。
「まるで騎手と馬みたい」
——他の学生たちの反応——
「あ、ルナちゃんのペットたち!」
「可愛い〜!」
庭で二匹を見かけた学生たちが集まってくる。
「ふみゅ〜」
「ピューイ!」
二匹も人気者になって、嬉しそうに挨拶している。
「みんなに愛されてるのね」
——夜の語らい——
夜、実験室で二匹が何やら「会話」をしているのを見かけた。
「ふみゅみゅ〜、ふみゅ」
「ピューイ、ピューイ〜」
お互いの鳴き声で、何かを伝え合っているようだ。
「二匹だけの秘密の話かしら」
——特別な瞬間——
ある日、私が実験で失敗して落ち込んでいる時、二匹が一緒に慰めに来てくれた。
「ふみゅう…」
ふわりちゃんが私の頬に小さな翼でそっと触れて、ハーブが膝の上に乗ってきた。
「ピューイ〜」
「ありがとう、二匹とも」
二匹の温かさで、心が癒された。
——成長する友情——
日が経つにつれて、二匹の友情はさらに深まっていく。
「ふみゅみゅ〜」
「ピューイ、ピューイ!」
朝起きると、二匹が一緒に朝の挨拶をしてくれる。
実験中は完璧な助手として協力し、休憩時間は一緒に遊び、夜は仲良く眠る。
「本当に最高のコンビになったわね」
——セレーナの感想——
「お嬢様、あの二匹を見ていると、友情の素晴らしさを感じますね」
「そうね。種族が違っても、心が通じ合えば素敵な友達になれるのね」
「はい。きっと二匹にとって、出会えたことが一番の幸せなのでしょう」
——ある日の事件——
ところが、ある日小さな事件が起こった。
「ふみゅう〜」
ふわりちゃんが実験中に疲れて、フラフラになってしまったのだ。
「ピューイ!ピューイ!」
ハーブが心配そうにふわりちゃんの周りを跳ね回る。
——友情の証明——
「ハーブ、ふわりちゃんを心配してるのね」
「ピューイ〜」
ハーブが自分の持っている薬草の中から、一番良いものを選んで、ふわりちゃんの前に置いた。
「ふみゅ…?」
ふわりちゃんがその薬草の香りを嗅ぐと、少し元気を取り戻した。
「ふみゅみゅ〜」
お礼にふわりちゃんが、ハーブに向かって小さな光を放った。
その光に包まれて、ハーブの毛がより一層ふわふわになった。
「お互いを大切に思ってるのね」
——友情の深まり——
その事件以来、二匹の絆はさらに深くなった。
「ふみゅ〜」
「ピューイ♪」
いつも一緒にいて、お互いを気遣い、支え合っている。
見ているだけで、心が温かくなる光景だ。
——今日も仲良し——
今日も実験室で、二匹は仲良く過ごしている。
「ふみゅみゅ〜」
ふわりちゃんがハーブの背中でお昼寝をして、ハーブが嬉しそうに尻尾を振っている。
「ピューイ、ピューイ♪」
「本当に良い友達になったわね」
私も二匹の友情を見ていると、とても幸せな気持ちになる。
異なる姿をしていても、心が通じ合えば素晴らしい友情が生まれる。
ふわりちゃんとハーブが教えてくれた、大切なことだった。
「ふみゅ〜」
「ピューイ♪」
今日も二匹の楽しい一日が続いている。