ベランダ
団地のベランダは、広い。
リビングと隣の和室までベランダが続いている。
向かいに民間のマンションが立っているが、部屋の造りが狭いのか私の2DKのベランダの1/4くらいの広さのベランダが一戸にひとつしか付いていない。
そのマンションの家賃は2LDKで10万すると聞いているが、団地の2DKより狭くて住みにくそうな部屋である。
ただし、エアコンが一戸に1台付いているみたいだから夏は快適だろうと思う。
金持ちのマンションより生活困窮者の住む団地の方が広くて春秋冬は団地の方が快適に住めるだろう。
団地は貧乏人のパラダイスである。
私は団地が出来てから後に入居したから畑を貰ってないので、毎年春夏は、ベランダにプランターや鉢を置き育てている。
一昨年はトマトやミントを育てたがトマトは緑色にしかならず赤くなるには秋になりあまり育たなかった。
肥料もあげたのだが、素人にトマト栽培は上手くは行かなかった。
ミントは栽培が簡単でここ3年よく育つ。
去年はミントやハーブや実まで付いたすだちの木の植木を育てた。
ミントはクックパッドでよく使った。
アップルミントやストロベリーミントやペパーミントやグレープフルーツミントだ。
ハーブはスイートバジルやローズマリーやレモンバームだが、ミントもハーブも茎をプランターの培養土に差し、水をやってれば自然に育って行くので楽だった。
すだちは小さな実付きで鉢植が来たが実がポロポロと落ち、すだちが実り食べれるまで行ったのは、たった4玉だけだった。
種だらけで青々としていたが、私の好きな爽やかな酸味ですだち牛乳やすだちモヒートなどを作り美味しかった。
毎朝の水やりはペットボトルの先にジョウロの先をつけたもの(百均で売っている)でやり、プランターと鉢だけだから簡単だった。
実家に泊まった時は朝5時には団地に帰り水やりをした。
リビングの窓の前のベランダで主に植物を育てた。
和室の窓の前のベランダにはバケツを置いてたくらいである。
ベランダは太陽光が惜しみなく当たり明るく、好きな石を手のひらに乗せて写メるには、もってこいだった。
私はベランダでハーブを前に夏の夕方は椅子に座り涼しい風に当たるのが好きだった。
団地の時間は、ゆっくりと過ぎて行く。
秋にはベランダの下の芝生に尻尾の立派なリスがすばしっこく走る姿を見せてくれた。
キタキツネやカラスや鳩やスズメは団地の畑に来て実をついばみ、住人を悩ませた。
キタキツネは普通に横断歩道を人と一緒に渡る。
北海道のゆったりとした自然がもたらす風景だ。
キタキツネは、エキノコックスという菌を持っているから触りでもしたら病気になるから大人も子供も恐れて近付かない。
鳥インフルが流行った時なんて鳩やカラスが路上で死体になって横たわっていた。
コレも触ってはいけない。
すぐ保健所が来て処理して道路を掃除していた。
珍しいキレンジャクとか畑に飛んで来たこともある。
夏になると113号室のおじさんが驚くほど甘いミニトマトを畑に山と作り、「好きなだけ摘んでいいよ」とくれた。
こんなサプライズは滅多にないので喜んでお礼を言い、袋を持って畑に走ってミニトマトを摘んだ。
おじさんは、実家の草刈りをしてくれるから助かる。
もちろんお給料払ってだが、シルバー人材センターの爺さんよりうんと安い。
おじさんは、いつも庭が草刈りして見栄えがいいようにと夏2回草刈りしてくれる。
丁寧にしてくれるから草や木も喜んでいる。
おじさんは、団地の草刈りも無賃で全部ボランティアでしてくれる。
春から夏にかけておじさんはうちの棟の草刈りをして、外で会わない日は無い。
冬は新しい夫婦が来て雪掻きほとんどするからおじさんの出番が減った。
でも春夏冬とおじさんはボランティアでうちの棟の草刈りと雪掻きをする。
働き者だ!
寝てる時間はあるのか?と思う程よく働く。
私は最近怠け者になり雪掻き1日中しない日がたくさんある。
だれて来ている。
昔、雪掻きする人は自分とおじさんと管理人さん夫婦と決まってたから怠けてる人が恨めしかったが、今は自分が怠けてる。
人間とは、甘えが出ると怠ける方向に落ちて行くんだなぁと自分を通して感じた。
今年は父が施設かも知れず私も父の施設に通うからベランダには何も植えないかも知れない。
父の為に一生懸命頑張り、世話したい。
団地にはゆっくり時間が過ぎて行きベランダには光が注ぎ込み明るい太陽の下、照り返す。
北海道の自然が織りなす四季がある。




