懇親会
1月に遡るが、この棟の1年に一度の集まりの懇親会について話す。
少人数制のこの棟は、1月に管理人さんの家に住人ほとんど集まる。
出席しないのは、いつも215号室の男性1人だけだ。
仕事か何かわからないが帰宅が深夜なので出席出来ないのだろう。
一切の団地の仕事をしないので、皆んなに会わせる顔が無いのか?
懇親会は18時から開かれるが、会議があり、その後みんなで食べたり、飲んだりする。
その食事会の用意は、この棟の主婦達でするが15時から近くのスーパーに管理人さんの奥さんの車で行き食糧を買出しする。
1台の車に5人主婦が乗るが今年は引越したばかりの111号室の奥さんも一緒だ。
奥さんは、私と同じくらいの歳だが、夫婦共働きでいつも休みの日は早朝4時から雪掻きをする。
働くと言うのが習慣になっている女性だ。
管理人さん夫婦は、高齢なのに皆が雪掻きしないので冬は毎朝雪掻きと辛い寒さに耐えていたが、今年の冬は111号室の夫婦がほとんど雪掻きしてくれるので朝の出番が無くなり、ゆっくり魚を焼いて美味しいおかずとご飯とあさげで楽しく朝食出来るようだ。
今年の懇親会の主役は111号室の働き者の夫婦だ。
111号室の奥さんに好きな銘柄のビールを聞き私達は買い揃える。
お惣菜では、主婦の勘でホタルイカの握り寿司や納豆巻きや胡瓜の海苔巻きや鶏の唐揚げなどおかずをささっと皆んなで買込む。
ビールのおつまみはお酒呑める人が選ぶ。
オレンジを買おうと皆で値段を見たが高いので今年は辞め、りんごを買った。
ジュースは1.5Lを種類多く選ぶ。
たくさん買ったが全部で8,000円も行かなかった。
その後は、各々お皿とコップと箸を自分の家から持寄り、エプロンして軽装で管理人さん宅に集まり食事会のお手伝いをする。
でもお手伝いは、111号室と212号室の奥さんと私と管理人さんの奥さんの4人だけしか集まらなかった。
ロシアのおばさんは、自分の野菜を提供し、買出しで胡瓜とピーマンを買ってもらい、自分のキッチンにサラダを作りに行った。
おばさんのサラダはビーツや玉葱や人参やキャベツやありとあらゆる野菜が入りサラダオイルとビネガーで作る。
食事会で、私は美味しいと食べるが皆は食べずスーパーのお惣菜に箸を突いてた。
お手伝いではガラスの大皿にお惣菜やお菓子やおつまみを盛り付ける。
111号室の奥さんは言葉少な気で、お手伝いの間1人で管理人さんの出した柿や買出しのリンゴの皮を黙々と剥き30分でたくさんあった果物を見事に美しく剥き、皿に盛り付けた。
働き者である。
お手伝いの間、管理人さんの奥さんが珈琲の木を育てていると室内で大きな鉢を見せてくれた。
珈琲の花が咲き赤い実ができたと話す。
そのうちに管理人さんの奥さんがドリップして美味しいコーヒーをお手伝いの主婦に出す。
私は夕方カフェイン飲むと眠れなくなるとコーヒーを断ったが、この美味しそうなコーヒーの香りは羨ましく、来年こそは眠れなくてもいいからご馳走になろうと決めた。
18時には112、113、111、211、213号室の主婦や旦那さんも全部集まり、管理人さんの司会で会議が始まった。
管理会社が団地の共同の廊下や外の電気を去年の10月に全部LED電気に換える工事をして、電気代が面白い程安くなったと皆で喜んだ。
でも除雪機の修理で12万かかり、全体の共益費は赤字になったと管理人さんが報告した。
一瞬、共益費の値上げになるかと皆に緊張が走ったが、LED電気で電気代が少なくなるから今まで通りの毎月1,400円の共益費でやろうと据置きになった。
食事会が始まり、ビールとジュースで乾杯し、新しい住人の111号室の夫婦を囲んで和んだ。
役員を誰にするかで新しい夫婦に聞いたら慣れないのでやりたく無いと言われて管理人さんの次にこの棟を取り仕切る113号室のおじさんが困り果て、
「俺なんて毎年役員だよ、今年は休みたい」
と呟いたが、まとめ役の管理人さんが
「最初の年だから111号室の旦那さんはいいにしよう。113号室のおじさんにお願いします。」
と口を添えた。
私は入居した年から2年間も役員やったが、今の人は責任感が無いんだなぁと感じた。
でも雪掻きはやってくれるから文句は言えない。
役員をやらないのは、障害者か不具者だけなのに、入った年から五体満足な夫婦が役員拒否とは世も末だ。
111号室の夫婦は、そそくさと食事会が始まったばかりなのに席を外し出て行った。
それからは仲間内の話で役員会がボイコットして運営して無いとか誰それさんが雪掻き終えて倒れて亡くなったとか噂話になった。
私は去年確定申告して、所得制限がかかり、今年は無収入だがその事で
「生活保護は、いつもタクシー乗ってるあんたは、なれないよ。隣近所に市から調査が入り裕福そうにしてるあんたは絶対に生保には、なれない」
などと酒が入り113号室のおじさんが私を侮辱した。
喧嘩はしたく無いから黙っていたが、確定申告する人がいくら無収入になっても財産は貯金であるんだから間違えても生保にはならないと腹の底は怒りで燃えていた。
団地の人達は貧乏=生活保護という固定観念が抜けないようだ。
くだらない話が嫌になって来た頃、懇親会がお開きになり、残ったサラダやお菓子やお惣菜をビニールに入れ皆で持ち帰った。
今年は、私は病院の父の差入れで誤飲したら困ると断られたナッツの個包装のお菓子を提供しただけだった。
去年はお金があったからビールや箱みかんを提供したが、今年はナッツしか出せなかった。
去年、私が提供したビールを当然の如く飲みまくってたおじさんが今年は私を「生保、生保」となじったのが腹に立った。
113号室のおじさんは給料が凄くいいみたいだが、競輪、競馬、パチンコに擦ってしまって元も子もないのに、よく言うなと思う。




