211号室
211号室の男の子の話。
211号室の住人は、今はお母さんが亡くなり1人になった男の子だ。
それまで甲斐甲斐しくお母さんの介護をしていた。
お母さんが歳をとり、施設に入り亡くなったら学校の教頭やっているお兄さんにお母さんの財産を全部あげて、ひとり生保になった。
スゴイ決心だったと思う。
心臓が弱くて青臭い男の子で私より年下だ。
お母さんと2人暮しだったから2LDKに住んでるが今は1人で国のお金を余す事無く使い、それこそホントの贅沢をして楽しく過ごしているようだ。
私は痩せる為に2階の皆んなの長い50メートルくらいある廊下を冬でも歩いてウォーキングしていたが、この男の子の家には夜になると出前が届くのを何回も見た。
生寿司とかラーメンとか丼物が届く。
生活保護のお金で食事を贅沢してるようだ。
他には入浴施設のオスパーにもタクシーで通っているらしい。
そんな贅沢してみたいと思うが私の生活費では、そこまで手が回らないのが現状だ。
いいなぁ!と思うが生前、夫が
「空ちゃん!将来への不安はあるだろうが生保にはなるな。尊厳を持つんだよ」
と言っていたので、考えてしまう。
無職だし、ホントに困ったら考えるざるを得ないが、今のところは、まぁ大丈夫だ。
でも211号室の男の子は、よくタクシー乗り回し生活を楽しんでいるようだ。
ただ、困ったことに何も働かない。
雪掻きもし無ければ、団地の掃除も出て来ない。
団地の懇親会とか慰労会とか食べるところには、出て来る。
当然、役員もやったことも無い。
悪い生保の特徴だ。
管理人さんは、考え団地の町内会費を集める4月にこの子が班長1ヶ月務めるよう順番を考慮している。
町内会費集めるのは、そんなに難しい仕事では無いが、この子が1年に1回働く機会でもある。
私はその子に興味を持たないので、別に仲良くなろうとも思わない。
その子は食べる時間だけ起き、朝からずっと寝ている。
私は父亡くなったら介護が無くなるし、その子と同じように寝てばかりになり食べる時だけに起きるのかなぁ?と自分も同じかなと感じることもあるが…。
先々の不安は、尽きない。
生保の贅沢さには、いいなとは思うが、同じにはなりたく無いと思う。
でもその子は淡々として迷惑かけるでも無く自分の生活を楽しんでいるんだからそれはそれでいいと思う。
ひとの暮らしの形態は、さまざまである。
男の子は、1人になっても淡々と生活して行く。




