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 城壁に近づくにつれ、別の人間たちの姿も見え始めた。

 やはりここは街のような場所らしい。

 人間たちは異国風のファッションをしていた。

 やはり日本とは違うんだなと思い知らされる。顔の造りは意外と近いのかも……?


「あそこが城門か。ていうか三日も飲まず食わずってなんでそんな状況になるんだ」


 この子はどうやら現在餓えに苦しんでいるらしい。言われてみれば多少ボーッとしている気もしなくもない。それは元からか。


「ダイエット中なんですよ」


「絶対うそだろ?」


「その根拠はどこにあるんですか?」


 ああ、こいつには勝てない。と俺は思った。

 逆立ちしても勝つことはできないのだろう。


 とりあえず門にできてた列に並ぶ。

 並ぶといってもかなりのペースで列が捌かれてたので、すぐに順番は回ってきた。


「はい、それでは身分証等をお見せください」


 門と併設するような形で詰め所のような場所があり、そこにいた制服を着た男に話しかけられる。


「身分証だって……? そんなもの持ってないけど」


 ついさっき転生してきたのだ。そんな凝ったものあるわけない。

 まさかとは思うが、なかったら通れないなんてことはないよな、と嫌な予感が湧く。


「お持ちではありませんか……? それでしたら申し訳ありませんが、お通しするわけにはいかなく……」


「え、マジかよ。じゃああれだ、多分この子は持ってるからその連れ添いってことでいけないか?」


「私も持ってないですが」


「……」


「お二人共持たれてないということですね。でしたら大変申し訳ありませんが、お引取りください」


 門番の二十代後半くらいの男は冷たく言い放った。

 男を目線を合わせようとしても、俺ではなく虚空を見つめているような気がした。


「そこをなんとかお願いできませんか? もうお腹もペコペコで死にそうなんです。特にこっちの小さい方が」


「そうですよ、この男はさておき私のハーフエルフの輝き適性でなんとかなりませんか?」


「無理ですね」


 くそ、なんだこの男融通きかねぇな。

 どんなセキリュティだよ……。


「勿論、私も内心ではちょっとくらい目を瞑って上げてもいいのかなとは思っていますよ。悪い方々というわけでもないようですしね。しかし私は街にこの仕事を任された兵士であり門番なのです。物事の判断は、良か、否か。その二つで裁くことが求められる。私の意思は関係ありません。それだけのことなのです」


 ああ、と俺は心の中で思う。

 こいつは機械だ。

 心までをも仕事に洗脳されているロボットだ。

 俺たちは今ロボットと話しているのだ。



「おいおい、何をしているんだ」


 そこで掛かる声があった。

 ゴツい感じのおっさんだった。

 制服を着ているので、この門番の一味かもしれない。


「はっ! リンゴウ曹長! お疲れ様です!」


 話していた男と、詰め所の中にいた者も出てきて敬礼していた。


「何やら立て込んでそうだと思ってな……おん? そこにいるのはもしかしてハーフエルフか?」


「……そうですが」


 なぜか少女は俺の後ろに隠れるようにして返答していた。


「はは、珍しいこともあったもんだ。あのハーフエルフが人間の街にねぇ。俺ですら見たのはこれで二回目だ」


「二回目ということは、私は二番煎じということになるわけですね」


「そりゃそうだろ、残念だったな」


 少女は軽口で返されていた。

 そうしている間にもリンゴウ曹長と呼ばれた男はこの場にいた男たちから話を聞いていた。


「なるほどなぁ、いやー、すまんな、こいつは頭がだいぶ硬いんだ」


 おっさんは俺たちんに向かって謝ってきた。

 指さしているのは先程まで会話していた若い男だ。


「そうですよね。流石にやばいですよね」


「ああ、こいつは働いているうちに、心を洗脳されてしまったのさ。それはとても悲しいことであり、悲劇的なことだ」


 仕事の虫ってことですか。まぁそういう人もいるよな。まぁそれは素晴らしいことであると同時に、ほたっておくのが賢明なことでもある。ヤバい人には近づかない。これはどの世界でも言える鉄則なんだ。


「じゃあ僕たちは街に入れるんですか?」


「ああ、ただし、そうおいそれと入れるわけにもいかねぇ。これは俺の顔パスってことで例外的な措置にしてやる。この街にはしばらくとどまるのか?」


「どうなんだろう……まぁそれなりにはいるかもしれません」


「そうか、だったら近いうちにちょっとこの詰め所まで顔を出しにこい。それが身分の潔白の証明ということにもなるし、こいつも安心するだろ」


「わかりました」


 どういうことなのか分からないが、俺たちはまたここにこなければならないらしい。

 それはこいつが決めたことだ。

 どんなに不満があろうと、こいつが決めたことには誰も逆らえないのだ。


「ありがとうございます、それじゃあいくかハーフエルフさん」


「なんでリーダー面してるんですか」


 そうして俺たちは無事街の中に入ることが出来た。

 これはとても素晴らしいことだ。

 はぁ、一時はどうなることかと思ったが、この世界も一筋縄ではいかないらしい。


 もうこれはちょっと舐めてる心を変えないといけないかもな。

 なんやかんやで異世界に順応して謳歌できるんじゃないかと思ってたけど、頑張らないとやばいかも。

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