第7話 存在進化
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ボスの存在進化から魔物達を守るため俺は新たにオークを4体、ゴブリンを8体、メイジを3体、スライムを3体、バッフンを2体テイムすることができた。
相変わらずどの魔物もテイムすると人型に変わるみたいだ。それにどれも美男美女が多い。羨ましいものだ…
オークはオルデウスと同じでパワーと体力に優れている、ゴブリンは小柄で素早いため機動戦にはもってこいだ。そして体を伸縮自在にできるスライムと、3メートルほどの巨体で突進を得意とする猪型の魔物であるバッフンをテイムできた。
俺は仲間を必ず救うと誓ったため総勢29人で9階層の奥の方へと向かった。
「それでゴーブ。存在進化したのはどのボスなんだ?」
ダンジョンボスというのはボス部屋に挑戦者が現れると数種類の中から完全ランダムで召喚される。そして倒せばまたランダムに召喚されるが、倒せなかった場合はボス部屋に次の挑戦者に倒されるまで留まり続ける。恐らく今回の存在進化は留まり続けたボスがボス部屋から出てきてしまったのだろう。
ボスの種類によって戦い方が変わってくるため俺は先程仲間にしたゴブリンのゴーブに聞いた。
「それで今回存在進化したボスはどれなんだ?」
「今回、存在進化したのはアイスクイーンです。」
アイスクイーン…確か嘆きの迷宮のボスは全5種が確認されていてその中でも1、2位を争うほど強いと言われている。氷属性の魔法と接近すると氷剣を使い戦うことで近中遠としっかり対応してくる厄介なボスだ。それに3体のガーゴイルを引き連れている。ずば抜けた強さはないもののバランス型で1番相手をしてて隙がなく戦うと1番めんどくさい相手だ。それが存在進化しているため厄介極まりない。
「Cランクのアイスクイーンが存在進化でBランクにか…厄介だな…」
俺は来たるアイスクイーン戦に備え進みながら作戦を練ることにした。
(20体もテイムしたことで一気に力が湧いてきたから俺も戦いにでるとして…スライムとゴブリンはFランク…オークとメイジがEランク、そしてブラックウルフとバッフンとグラウス達がDランクか…うーん…どうしよう。)
全く俺は行き当たりばったりなことをしてしまったと強く思う。だが1回約束したからには必ず達成しなければならないといけない。
「そう言えば俺、みんなをテイムすればするほど力が湧いてくるみたいなんだけどこれどゆことだ?」
俺はテイムするごとに自分のステータスが上がっているのがなんとなくわかる。恐らくテイマーの特性なのだろう。これを利用すればテイムをすればするほど俺は強くなれるのかもしれない。
「それはちょっとわかりませんね。私達もテイムされたことはありませんから…」
セッカがそう答えてくる。
まぁそれもそうだな。みんなと手探りでこれからやっていこう。
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しばらくするとオルデウスが聞いてきた。
「それで主殿。アイスクイーンはどうやって討伐するつもりなんですか??」
「あぁ…」
俺は作戦をみんなに伝えた。
「おぉ!それなら何とか倒せそうですね!みんなでやりましょう!」
オルデウスの掛け声にみんなは答えた。
するとタイミング良く大きな地響きがした。
「来たか…アイスクイーン…」
前方からは通常より一回り大きくなり10メートルに達した人型の魔物であるアイスクイーンが俺達を認識したのかこちらを睨みつけてきた。
「まだ距離は遠いが作戦通りやろう!俺たちならできるはずだ!まずはオークとバッフンだ!援護は任せろ!」
俺の掛け声で魔物化したオルデウスを含めた5体のオークと2体のバッフンがアイクイーンの懐目掛けて突撃していく。
それを防ごうとアイスクイーンは氷魔法で足を止めようとするが…
「レイルとメイジ隊は援護!」
「主殿、了解しました!防壁展開!」
メイジのレストリアを中心としたレイルとメイジ隊の4人はオークとバッフンの上から飛来する氷魔法を防ぐため頭上に防壁を展開した。
ドゴォォォン!!!!
氷魔法が防壁に当たる鈍い音がした。
「よし!防げた!引き続きメイジ隊は後方から援護だ!」
メイジ隊はオークとバッフンを守るため防壁を展開し続けている。
そしてオークとバッフンがアイスクイーンに届きアイスクイーンを勢いよく押し倒す。
「よし!倒れた!セッカを中心にゴブリン隊とブラックウルフ隊は倒れたアイスクイーンに攻撃を!」
俺の掛け声でセッカ達は押し倒されたアイスクイーンに追い討ちを加えようと攻撃を加えに向かった。
(なんとか上手くいきそうだ…全体的に強くなっているだろうが何とかなるはずだ。)
そう思っていたのもつかの間…ダンジョンの天井付近から5体のガーゴイルが後方の厄介なメイジ隊を潰そうと接近してきた。
「2体増えてる!?これが…存在進化の恩恵か!グラウスとマーサは俺とメイジ隊の防衛だ!メイジ隊は引き続き前線の援護を!」
アイスクイーンのほうを前線とは言っているがこっちだって最前線だ。3体でも厄介なガーゴイルが5体に増えているんだ。めんどくさいこと極まりない。
突撃してくるガーゴイルに強くなった俺も短剣を振り応戦する。
ガーゴイルが遠距離攻撃できないのが唯一の救いだ。俺とグラウス、マーサで分担して5体を迎撃する。
「アーサー様一体瀕死にできました!」
マーサのほうがどうやら一体倒すことに成功したみたいだ。テイムは後にして今は残りの4体にあたる。
鋭い牙を使い攻撃してくるガーゴイルに俺はなんとか短剣で応戦する。
アイスクイーンのほうはゴブリン隊とブラックウルフ達がスキルを使い転倒したアイスクイーンの体力を着実に削っていってるのがわかる。そしてメイジ隊は魔法を使いそれを援護している。
「ん?スキルと魔法…そしてステータス上昇…」
俺はそこで違和感を感じた。そう俺はテイムするごとにステータスが体感だが上がっているのがわかるんだ。もしかしたらテイムした生物のステータスを引き継いでいるのではないかと…もしそういうことなら俺はテイムした者達のスキルや魔法だって使えるのではないかと…
「やってみる価値はあるかもしれない…!」
するとガーゴイルが高速化のスキルを使い接近してきた。
(この勢いは短剣では抑えきれない…!なら一か八かやってみよう…!)
「防壁展開!!」
すると突撃してくるガーゴイルの方向に防壁が展開されガーゴイルの高速攻撃を防いだ。
「これは…革命かもしれない。下手すればドラゴンのブレスとかも使えるのか!?」
これはとんでもない革命だ。魔法やスキルを覚えるのはとても大変なことだ…それが使える+テイムでのステータス上昇。これが合わさればもう無能テイマーと呼ばれることも無くなる。
「やるぞ…!セッカが使っていたスキル…迅雷!!」
すると俺の体には電気が走った感覚に陥った。その勢いのまま地面を蹴ると轟音を鳴らしながら空中を漂うガーゴイルに近づき短剣で切り裂いた。
次回もボス戦です!