第6話 ダンジョンの異変
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9階層に入った俺達はダンジョンの異変を気にしながらも10階層のボスを目指して歩を進めていた。
しばらく進んだところで大きな異変が起こった。20体程の魔物が反対側から走ってくるのである。
「魔物の群れです!主殿!後方に下がってください!」
セッカの声に俺は後ろに下がった。
だんだんと遠くにいて鮮明に確認できなかった魔物達が近づくごとに俺達は魔物達が逃げるように走ってくるのが確認できた。
「なんだよ…あれは…?」
「なにかから逃げている?」
全員が混乱しているところに魔物達はどんどん接近してきた。
「これはもしかして…ボスの存在進化?」
存在進化とは通常ボス部屋にしかいないボスが通常の階層に出現し、ランクが1つ上がり進化することだ。ただでさえ厄介なボスが進化し突如として戦闘になることがあるため冒険者の間では出会ったらもう運の尽きと言われているものだ。
「存在進化ですか!?た、確かに走ってくる魔物は種類も違いますが!」
オルデウスが驚くように言った。
「とりあえず状況を理解するために逃げてくる魔物にこれより先でなにがあったか聞いてみよう!」
俺達は逃げてくる魔物に話を聞くべく急いで向かった。
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しばらく進み、逃げてくる魔物達に合流することができた。
「この先でなにがあったんだ!」
俺が一体のゴブリンを止め、なにがあったか聞いた。
「存在進化だ!取り残された仲間もいる!でもこのままだと死ぬから逃げてきたんだ!あんたらもこの先には行かないほうがいい!はやく逃げな!」
やはり存在進化だったか…これに当たるとはなんとも運が悪い。正直このまま上層に上がれば俺達は逃げれるが、もし逃げ遅れた魔物がいたらボスに蹂躙されるだろう…それにこのゴブリンの仲間は殺されるかもしれない。
俺も仲間達に裏切られ危うく殺されそうになった。でもなにかのきっかけさえあれば強くなれることを知れた。そして俺は魔物を使い戦うテイマーだ。
だから…
「ちょっと待ってくれ…逃げ遅れたやつがいるんだろ?」
俺がさっきのゴブリンにそう言うと、逃げていた魔物達は足を止め振り返りこっちを見てきた。
「いるよ!で、でも勝てないから…逃げるしかないだろ!」
そのゴブリンがそう言うと他の魔物達も顔を下げながら小さく頷いている。
だが俺は諦めなかった。
「もし助けられるとしたら?もしここで助けられたとしても君たちは逃げるのか?」
「無理に決まってるよ!助けられるなら助けたい!でも僕達には力がないから。」
ゴブリンがそう言うとオルデウスとセッカ、レシア、ミシアが前に出て言った。
「この御方はテイマーです!主殿は私達を以前よりも強くしてくれました!」
セッカがそう言う。
「主殿に付いてくれば絶対に大丈夫です!我らと一緒に仲間を助けよう!」
オルデウスがそう魔物達に言った。
「俺に付いて来てくれれば必ず助けると誓う。君たちがいれば存在進化なんてどってことないさ!だから俺に力を貸してくれないか?」
俺には助けられるかもしれない魔物がいるのを見捨ててダンジョンから逃げることはできい。それにもしかしたら存在進化したボスをテイムできるかもしれない。
「あんたほんとにテイマーなんですか?」
さっきのゴブリンが話しかけてきた。どうやら俺が本当にテイマーかが分からなかったようだ。
「もちろんだよ。元々雑魚テイマーだったけど何とかここまで強くなった。」
「本当に仲間を助けると約束できますか…?」
魔物達が俺に希望を託すような顔をして聞いてくる。
「もちろんだ。さらにボスが強くなる前に倒す!」
俺がそう言うと魔物達はお互いを見て頷くと膝を付いて頭を下げてきた。
「私達は主殿にこの身を捧げます。どうか私達の仲間を助けてください。」
「あぁ!みんなでボスを倒して仲間達を助けよう!」
5話がかなり短めだったので今日は2話投稿にします!