第3話 初戦
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魔物の状態異常付与により洗脳状態にされた元パーティーメンバー4人をテイムした俺は嘆きの迷宮の6階層に向かった。
「それにしてもよく考えてみればふつうテイマーって魔物とかをテイムするのに…俺が引き連れてるって人間なんだよなぁ…」
そう言いながら前を見ると俺のことを守るため周囲を異常なまでに警戒している俺の使役した人間がいる。
「はぁ…アドレナリン出てるからまだいいけどため息でるわ…勢いでやっちゃったけどこれテイムしたことバレて魔法省に捕まるとかないよね…?」
俺の不安をよそにさっきまで俺を殴っていた奴らは俺を取り囲み完全防御陣形を作っている。
(落ち着かない…すげー変な気分だよ。なんだこれは…)
何故か不意に叫びたくなった俺は耳が壊れるくらいの声で叫んだ。
「うわぁぁぁぁ!!!!!」
さながらの俺の叫び声はどこぞのパ〇キアのような声だ。
『だ、大丈夫ですか!?』
4人は声を揃えて俺のほうを見て心配そうな顔をしてくる。
(さっきまで俺のことを散々馬鹿にしてきていた奴らに心配そうな顔をされるのはめちゃくちゃ気持ち悪いんだが…)
俺はこの状況を理解しているようで理解できていなかったのだと改めて認識した。そして同時に怒りが込み上げてきた。
「はぁ…なんで俺がこんなことに…」
俺が叫んだせいで1度止まった4人は相変わらず心配そうな顔で俺を覗き込んでくるのだった。
「うん、決めた。グラウス顔出せ。」
「は、はい!喜んで!」
グラウスは魅了状態+俺のテイム下にあることで喜んで顔を前に出してきた。
グシャッ…
顔を出してきたグラウスを俺は思いっきり殴った。他の女3人はポカンとした顔で俺を見てくる。
「痛っ…攻撃力0じゃこんなもんか…人のこと殴ったことなかったから分からなかったけどこんな俺って弱いのか…」
グラウスの殴られたところは少しだけ痣ができていた。だが、むしろ殴った俺が結構痛かったのでグラウスについては気にしなかった。
それどころかグラウスは殴られたのが嬉しいのか「もう1回やってくれ」みたいな顔をしている。悔しいがかなりのイケメンのグラウスに猫パンチを要求されるのは男としてすごい惨めな気持ちになった。
そんなグラウスの嬉しそうな顔を見たのか、他の3人も殴ってくれみたいな顔をしている。
「もはやこれお前らにとっては猫パンチみたいなもんか…なんか変なのに目覚めそうだ。」
俺はテイムされなぜかドMと化した4人に果てることの無いイライラを感じながらも進もうとした。
そんな時だった。
「アーサー様!魔物の気配がします!下がってください!」
元幼なじみ現ドMのアリスが魔物の気配を察知したのか俺に下がるよう促してきた。
「アーサー様ここは私達にお任せを!」
マーサがそう言うと他の3人も武器を構え魔物の出現に備えていた。
ドン…ドン…
地を揺らすような大きな足音と共に現れたのは5メートルを超えようかというオークだった。
オークは俺たちに気付いた途端に手に持っていた棍棒を叩きつけてきた。
「うおっ!やっぱりこわっ!」
俺は何度もオークをダンジョンで見てきたがやはり間近で見ると迫力が凄かった。
「アーサー様をお守りするために倒すぞ!」
グラウスの掛け声で4人達は自分たちより数倍大きいオークに向かって果敢に斬りかかっていく。
オークは大きいため攻撃力は高いがすばやさがないためグラウス達は動き回り、隙を付く形でみるみるオークの体力を削っていく。
「俺があと24時間でなんとか強くなるためにはどうすれば良いんだろか…」
俺はテイムが切れるまでに魔力も攻撃力もないこの状況をなんとか変えられないかと模索した。
そんな時だった…
「アーサー様危ない!!!」
アリスの声が聞こえたと思いオークを見るとオークの棍棒がダンジョンの外壁に当たり、巨大な岩の破片が俺のほうに飛んできてるのが確認できた。
「ま、まずい!!アーサー様を守って!」
レイルの声が聞こえたがもう遅い。防壁魔法を唱える時間はない。この岩に当たってしまえば致命傷は免れない。いくら盾を構えていようが他の4人と比べて体が貧弱すぎる俺にはこの岩は止められないだろう。
「せっかく希望が見えたのにこんなところで…!」
俺は正直、悪あがきとわかってはいたが携帯している小さな盾を構え岩の直撃に備えた。
ドォン!!
盾に岩の当たる鈍い音がして背中に強烈な痛みが走る…
俺は岩を受けた衝撃で外壁に体が打ち付けられてしまった。
「い、痛い…くそっ…!あれ?でも当たれば致命傷のはずじゃ…」
どう足掻いても致命傷とわかっていて岩を受けたはずの俺は大きな痛みを感じるものの死んでいたわけではなかった。
そして1つの答えにたどり着く。
「まさか…テイムをすれば体力や力が強くなるのか?」
そうでも考えないとこの状況は説明ができないからだ。
「アーサー様!大丈夫ですか!今すぐにヒールを!」
アリスが吹き飛ばされた俺の元へ駆け寄りすぐにヒールをかけてくる。
「なんとか大丈夫だ…」
ヒールによって体から少し痛みが消えていくのがわかった。
「もし本当にステータスが上がったのであれば…試してみる価値はあるかもな。」
俺は痛みが残る体で立ち上がりオークの方を見た。
オークは4人の波状攻撃により体力が削られ瀕死の状態に追い込まれていた。
「レイル!雷魔法でオークを足止めしてくれ!」
「は、はい!」
俺はレイルに雷魔法で足を止めるように指示しオークへ向かって走り出した。
『ア、アーサー様!危険です!』
マーサとアリスが後ろから俺を止めるように叫んでいるのが聞こえるが俺は無視した。
「グラウス!ちょっと武器貸してくれ!」
グラウスの隣を駆け抜けると同時にグラウスから武器を取り最後にレイルに指示を出した。
「今だレイル!雷魔法だ!」
俺の合図を待っていたレイルは掛け声と同時に詠唱をした。
「地を揺らす雷よ轟け!雷槍!」
レイルの雷魔法がオークの足を止めた。一瞬だけ麻痺させたのだ。
「よし今だ!!」
俺はこのタイミングを待っていた。
テイマーが生物をテイムする方法の1つ目。テイマーが生物を戦闘不能状態に追い込む。
このオークはもう瀕死…いくら攻撃力が低い俺でもグラウスの武器でオークを叩き斬れば戦闘不能に追い込める!
「いけぇー!!!!」
バシュッ!!!
剣がオークの腹を切り裂きオークはその場に倒れ込んだ。
「よし!これで…テイム。」
するとオークからは眩い光が漏れだした。
今回はパ〇キアの登場回でしたね!やっぱり伝説のポ〇モンが出てくると物語の展開もひと味もふた味も変わってきますよね。
とりあえず毎日投稿がんばっていきたいと思います!