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第1話 無能テイマー

初投稿の連載小説になります。至らない点などが多々あると思いますが、暖かい目で見守っていただければ幸いです。

「おいアーサー!もう俺は我慢ならん!お前は解雇だ。クビだ!!」


嘆きの迷宮5階層。俺はダンジョンでの休憩中にクビ宣告をされてしまった…


「なにがテイマーだ!お前、テイマーの癖に1匹も使役してないじゃないか!ようするに荷物なんだよ!」


座っていたパーティーリーダーのグラウスが立ち上がり俺に向かって怒鳴りつけてくる。


「それでもパーティーに入ってくれないか?って言ってきたのはグラウスのほうじゃないか!」


俺も負けじと反論した。確かにお荷物なのは認めるが、グラウスには「パーティーに入ってから強くなればいい」と言われて入ったんだ。


「でもいつになってもお荷物のままじゃないか!じゃあお前はこのパーティーで活躍したのか?してないよな?あ?」


そう言ってグラウスは俺の事を何度も殴り付けてきた。


「い、痛っい!た、たすけてくれ!グラウスを止めてくれ!」


俺はパーティーメンバーに助けを求めるが、誰も俺の事を助けようとはしない。それどころか俺のことを嘲笑しているのがわかった。ダンジョン内には俺の悲鳴が響き渡るだけだった。


「ふぅ…少し気が晴れたよ雑魚テイマーのおかげでな!初めて役に立ってくれたな!」


グラウスが一通り俺を殴り飛ばすと気が済んだのか元いた場所に座った。


「さぁみんなそろそろ行こうか。せっかくならこの雑魚に最後の挨拶してけよ〜」


そう言うとパーティーメンバーは立ち上がりグラウスに言われた通り殴られ倒れている俺に向かって挨拶とは言い難い罵声を浴びせてくる。


「アーサーだっけ?あんたほんとに必要なかったよ?グラウス様の役に1ミリもたってなかったよな?いっその事ここ野垂れ死んでくれ。」


魔術師のレイルはまるで魔物を見るかのような目をして俺に言ってきた。


「雑魚のテイマーさん!さようなら!お荷物がいなくなって私は今とっても気分がいいです!それじゃ!グラウス様〜待ってください!」


ドスッ!!!


剣士のマーサは不敵な笑みを浮かべ、ついでかのごとく俺を蹴りつけグラウスの元へ走り去って行った。


「ア、アリス…ま、待ってくれ!頼むから!」


そして最後のパーティーメンバーヒーラーの

アリス。昔からの幼なじみでアリスを通じて誘われこのパーティーに入った。しかし、アリスは久しぶりに会うと昔のような優しい人では無くなっていた。


「アーサー。昔からあなたとは仲は良かったのかもしれないけど今のあなたはもうただのゴミよ?あなたみたいなゴミよりグラウス様よ!さようなら」


アリスはそう言い残しパーティーメンバーは殴られ傷付いている俺を魔物がうろつくダンジョンに残し去ろうとした…


(このまま取り残されたら…動けない俺は魔物の餌になるだけじゃないか…)


その時突如としてダンジョンの奥から魔物が現れた。


「ったく!こんな時に魔物かよ!でもこいつはそんなに図体はでかくない!4人でやれば大丈夫だ!」


奥から現れた魔物はダンジョンの中では1度も出会ったことのない下半身は牛上半身は花のような見た目をした魔物だったが、それほど大きくもなく俺以外の全員がD級冒険者であるため倒すことはそれほど難しいとは思えなかった。


「行け!レイル!」「了解です!」


グラウスと3人はD級の冒険者ということもあり連携し着実に魔物に対して有効打を与えている。


「アリス!ヒールを頼む!」「わかりました!」


みるみる魔物は弱っていき、瀕死の状態まで追い込まれている。


そうこのパーティーには実際俺は必要ないのだ。俺がやっていたのは雑務だ。ギルドへの書類だったり荷物持ちだったり…戦闘において攻撃力0そして魔力も0の俺は全く持って使い物にならないんだ。


そして改めて自分がなにもできない無能だということを再認識した。


「なにかをテイムさえすれば…俺だって…」


テイマーはテイムをすることで真価を発揮することができる。

だが、テイムをするには敵を戦闘不能にして魔力を使いテイムをするか、相手から好意を向けられ承諾してテイムするかの2つしかない。


まず俺には1つ目の方法は使えなかった…そう魔力が0だからだ。そして2つ目の方法も無理だ。魔物から好意を向けられることはふつうないし、もし人から好意を向けられたとしても人族はテイムしてはいけないという法律が存在している。


そう俺はこの才能を授かった時点で詰んでいるんだ。どうやってもテイムすることはできないんだ…


「ここで魔物に食われて死ぬのかな…生まれた時から俺の人生は最悪だった…テイマーなのに戦えないと馬鹿にされた。死にたくないよ…もっと強くなりたかったよ…」


パーティーメンバーからの暴行により体を起こすことはできない。そしてそろそろ魔物も討伐され、グラウス達は出口を目指すだろう。


目の前では瀕死の魔物に向かってグラウスが剣を振り下ろすのが確認できた。


そして魔物は討伐された。


ギャァァァ!!!!


討伐された魔物の断末魔がダンジョンに響き渡る。そしてその魔物の死体から謎の液体が飛び散った。


「うわっ!なんだこれ!」「なんですか!この液体!」


パーティーメンバー達は自らの装備に付いた謎の液体にあたふたする。


「もしかしたら酸性の液体かもしれない…防具が溶かされる前に落とそう。」


「そうですね…でも…あ!アーサーの持っていた物の中に水の魔道具があった気がします!」


メンバー達は各々服に付いた液体を見ながら防具の状態などを確認していた。


「お前最後の最後に役に立てたな!」


グラウスがそう言ってメンバー達が倒れている僕のほうを見た…そして顔だけあげてメンバーを見る俺と目が合った。


『アーサー様…あなたの仰せのままに』


メンバー達が俺と目が合った瞬間に跪き頭を下げる。


「え…?これはどういうことだ…?」


俺は突然のこと過ぎて頭の中が混乱した…


読んでいただき本当にありがとうございます。もしよければ各種評価、ブックマークへの登録、感想・レビューなどお待ちしております。またぜひご家族ご友人の目の前でこの作品を音読していただければ幸いです。

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