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第7話「流星のプラマ公国」

 カスミはライフルをリラ機の機体中央に向けて構えた。ほぼゼロ距離といって差し支えない距離からの攻撃。よけようがなかった。


「さあ、どうするの? リラ。このまま棄権するかその大切な機体が甚大な損傷を受けるか」


「カスミ……」


「なに?」


「あなたは命の重さを知ってるかしら……」


「21g、そうじゃなければ知らないと答えるべきかしら」


「そう、それならいいわ」


「いいのね、あなたは落ちぶれて、私が勝つ。それだけの戦いなのね」






 カスミはライフルを改めて構えた、そして撃とうとしたまさにその時。リラ機は爆発した。


「何!?」


「私はあなたとは違う、それがあなたにはわかっていないのよ。相変わらずでため息が出ちゃう」


「なに!? あなたはいったい……」


 爆風が収まるでもなく、カスミは理解した。リラが一体何をしたかを。


 彼女は自機を爆破させ、中にある小型機を射出したのだ。それは戦闘用の機体中最も小型のものだったが、模擬弾を撃つための大型銃を頭上に乗せて機体を操作することができた。もちろんそれに伴う犠牲はあるがリラには、


「どんな覚悟があるのよ……、これがあなたと私のちがいなの? こっちもずいぶんと損傷を受けさせてもらったわ」


「リラ機、4発命中。合計6発。戦闘開始から15分が経過。残り35分。お互い頑張ってください」シーナがアナウンスした。




 しかしカスミ機とリラ機の差は、もはやリラの全力をもってしても埋めがたく、徐々にカスミが優勢になっていった。


「リラ、あなたの才能と覚悟には敬意をはらうことにする。それでももう、限界が、近くはないのかしら……?」


「16対16、残り時間は12分。リラ機もよく頑張りました。私としてはリラの棄権をすすめますがいかが致しますか?」


「決まってるじゃない……、棄権なんてするわけないって! カスミ、最後の勝負よ!」


 リラは大型銃を脱落させて機動力を上げ、カスミ機の銃弾の嵐の中をダメージを受けながら突撃していった。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおああああああ!!」


「このおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」






 まばゆい光が鋭く、二機を刺した。ようにシーナには見えた。


「何が起こったの?」キーナが聞いた。


 シーナは何も答えなかった。






 カスミ機とリラ機が激突する寸前で、その緑の光に彩られた機体は二機の間に急降下し、割り込んで二機をニアミスさせるとともに自機は二人の間を滑らかに貫いた。






「もう! 次から次へと何なの! これからというときにプラマ公国の機体が……、それも一機? いったい何が起こってるのよ。リラ、生きてる?」


「ええ。私は何ともないわ。あなたは?」


「あたしも何ともない。何ともなくないのはあいつよ」


 その視線の先にあるのはプラマ公国機独特のフォルムといろどりを持った機体だった。




「リラ」


「カスミ」


 二人は息を合わせて言った。


「やるわよ!」


「やるわよ!」






 こうして二機対一機の戦闘が始まった。






「それにしてもどうして一機で飛び込んできたのかしら。あんたたちよっぽどなめられてるんじゃないの?」


「こちら側が大損害を被っていないのはあなたでも知っているでしょ。あの機体はこの前の戦闘でひときわ高い戦闘力を発揮していた機体ね」


「戦ったことがあるのね」


「ええ。かなりぎりぎりの戦いになったから、もしか一人で戦えると思ったのかもしれないわ。向こうさんの事情はよく分からないけれど」


 リラが追尾式銃弾をできる限り誘導、狙撃し、カスミが隙をついてライフルで攻撃をする。ふたりのコンビネーションは一年以上ぶりとは思えないほど卓越したものだった。シーナたちも驚きを隠さずに様子をうかがっていた。




 ところがそのタイミングでリラの機体後部に何発かの銃弾が命中し、機体性能の限界に達しつつあった。


「カスミ、どうやらあなたの勝ちのようよ。もう私はだめだわ。もしあなたが倒せないなら、私がこの侵入者を……」


「何言ってるの!」


 カスミがどなった。


「あんたと私がタッグを組んで勝てない相手なんかいないわ! あなた模擬弾10発以上残してるわよね?」


「ええ、まあ残してるけれど、何する気?」


「見てなさい、これが今の私の全力だから……! くッッ!」


 するとカスミはライフルや大型銃を放り捨てた。


「カスミ……!」


「行くわよ!」


 次第にカスミの両手にはまるように赤く鈍く光るはさみのようなものが、いやまさに巨大なはさみが錬成されていく。そしてそれに合わせてリラが小型機の残り燃料を急速噴射して相手機の周りを周回、小型機械を展開し、相手機の胴体をひもで括り付けるような形で一瞬、動きを止めることに成功した。


「それでいいわ。これでこそコンビね」


 そしてリラは10発の模擬弾をすべて公国機に撃ち込んだ。


 リラ機が燃料不足で戦線を離脱していくのを視界の端でとらえながら、カスミは巨大なはさみを閉じていく。


「出力全開! いっけええええええええええ!!」


 数キロ先までとどろきわたるようなすさまじい音をギリギリ立てながら相手機を全力で裁断していく。


 ところが相手機も右手にレーザーソードを展開し、縛られた状態のままカスミ機に剣を突き刺した。カスミの機体に警報音が鳴り響く。


「機体中央部から燃料が漏出! 残り戦闘可能時間は30秒と推定されます! 危険です!」


「耐えなさい、私のラダイト! 最後の一押しよ! 私のはさみで花と散れ! プラマ公国!」


 一瞬、すさまじい音が響いた。巨大な火をまき散らしながら公国の機体は二つに割れた。そのすさまじい爆発に剣で刺されたままのカスミも巻き込まれた。バラバラと機体の残骸が海中に落ちていく。


「カスミ、応答しなさい! カスミ!」


 リラは心配になってカスミに叫んだ。しかし応答はなかった。


 そしてリラ機も間もなく燃料不足で海中へと没していった。


「カスミ、あなたまで亡霊になるのはごめんよ……」


 そう呟いてから、リラは意識を失った。

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