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学校の日常で…

作者: YAMADA

とある高校の屋上に2人の男女が緊迫した様子で立っている。


女は男に感動的な言葉や訴えかけるようなことを言い、男を止めようとしている。


一方、男は手摺に片手をかけ、女から背を向け、もう片方の手である物を隠そうとしている...


この勘違いが起きた理由を説明しようとするなら、5分前に遡らなければいけない。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



俺の名前は佐川 卓 (さがわ すぐる) どこにでもいる16歳だ!


という謎の自己紹介をする程、暇なので今屋上に来て外の眺めを楽しんでいる。


友達は皆引っ張る狩りとやらのマルチプレイをしていてスマホゲームが苦手な俺は話に入っていけない。


話を合わせるためにそれを入れてみたのだが...


GAME OVER


この8文字が何度も浮かび上がる。


俺がゲームをするのが下手というのもあるのだろうが、このゲームは複雑すぎる。


強化やら進化、転生、覚醒、力の解放、etc...

と何をどうすればいいのか分からない。


チュートリアルの説明は簡潔に説明し過ぎて当てにならない。


「はぁ〜、なんで俺がこんな事やっているのだろう」


今日室に戻るため俺は動こうとする。


だが、その瞬間に悲劇は起こる!


ーーーバリィッ!!!


サイズを誤って注文してしまったズボンがこのタイミングで破れてしまった。


しかも...


「なんでチャックとホックが壊れるんだよ!」


予想外の所が破けたせいで思わず叫んでしまった。


てきとうに付けていたベルトをキツく締める事で誤魔化そうとしていると屋上と屋内を繋ぐ扉が音を立てて開かれる。


「ここはやっぱり落ち着く〜!」


明るい鈴のような透き通る声、雨宮 鈴羽 (あまみや すずは) の声だ。


同じクラスのカースト上位である彼女は元気な体育会系女子で皆から好かれている。


普段、異性には特に何も思わない俺でも可愛いなと思う位の美少女だ。


いつもなら


「雨宮さんどうしてここに?」


とか、


「雨宮さんも屋上来るんだね。」


などと言って会話を始めるのだが、この状況で彼女の方に身体を向けるのはヤバい。


だんだんずり落ちてくるズボンを片手で抑え、バランスをとるために手摺にもう片方の手をかける。


そして、彼女は俺の存在に気づく。


「佐川くん?そんな所で何をしているの?」


と言い、近づいてくる。


迫る足音に恐怖を感じ、思わず怒鳴るように言い放つ。


「ち、近づかないでくれ!」


その言葉を聞くと彼女は「はッ!」と息を飲み、何かを悟ったような声で優しく、悲しげな声で制止を呼びかける。


「佐川くん...やめてよ、そんな事...」


焦りすぎていたせいで、俺はズボンが壊れてパンツが見えていることを気づかれたと勘違いした。


「いや、違う誤解だ!」


彼女は問いただすように言う。


「何が違うの?貴方がやっているのはとても恥ずかしいことなの!」


彼女は言葉を続ける。


「今まで、育ててきた親や時間を共にした友達を悲しませる行為なの。」


「何で貴方がそんな事をしているのかは分からないけど相談に乗らせて!」


「私が相談に乗るよ...だからこっちに来て!」


とても、とても心に響く言葉を貰った。


恐る恐る後ろを向くと雨宮さんは涙を浮かべながら笑っていた...


「うん」


鼻声で俺はそう答え、後ろを向いて彼女に近づく。


俺のズボンは支えを失い、重力に従って落ちていく。


「え、き、キャアアアアア!」


今の状態を忘れていた!やばい!


正常な判断能力を失っていた代償は彼女の悲鳴と顔に張り付いた手形の紅葉で支払った......


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