91 開戦
「ミスフィートさん、ヴォルフから連絡がありました。『別動隊は確認出来ず』とのことです。そしてやはり敵の総大将は、ジャバルグで間違いないようです」
「そうか!ならば作戦通りに行けそうだな」
反乱軍3000は、5時間かけてようやくパラゾンの街へ到着した。
今回も兵士全員に聖水を配った。
これで聖水はほとんど無くなってしまったけど、今までに使った聖水の量を考えると、むしろ逆に、巾着マジックバッグの容量の多さに感心してしまうわ。虎徹さんの次元魔法のレベルって、たぶんカンストしてるな・・・。
尾張が平和になったら、聖水の補給にダンジョンまで連れて行ってもらおう。
対価に何を支払うかだけど、今の俺ならば彼らの望む物を用意出来ると思うんだ。
まあとにかくこの戦に勝つことに集中だ。勝てば全てが上手く行く!
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―――――ジャバルグ視点―――――
「ジャバルグ様!反乱軍が街から出て来ました!兵数は約3000」
「ああん?3000だと!?どこからそんな人数を集めやがった!?」
「奴らに占拠された街に、尾張の民が流れて行ったとしか・・・」
「ふざけやがって!!反乱軍を滅ぼしたら街の住民は皆殺しだ!!!」
「ハッ!」
クソ共が!鬱陶しい美濃を攻め滅ぼそうって時に反乱なんぞ起こしやがって!誰一人として生かしちゃおかねえ!
反乱軍を滅ぼしたら、次は美濃だ。そしてあのクソ生意気な三河も潰してやる!
しかしザンガルにやらせたのは失敗だった。1500もの兵を無くすとは!
全滅したとあっちゃ責任も取らせられねえ。クソが!腹の立つ野郎だ!!
「もうすぐパラゾンです!」
「テメェら気合入れろよ!敵に怖気づいた奴は、容赦なくぶっ殺すからな!!」
「「ハッ!!」」
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―――――小烏丸視点―――――
「見えました!ジャバルグ軍です!」
「来たか!皆の者、ジャバルグ軍のご到着だ!ここから先は絶対に気を抜くな!」
「「ハッ!」」
戦闘までまだ時間がかかるな。
うーむ・・・、イヤな待ち時間だ。味方の兵士達は大丈夫なんだろうか?
ぐるりと周囲を見渡すと、一際ゴージャスなドレスを纏った女が目についた。
そう、ベアトリーチェだ。
「ふむ・・・」
彼女の傍まで歩いて行く。
「お嬢、調子はどうだ?」
「絶好調ですわよ!敵を斬って斬って斬りまくりますわ!」
敵の大軍を間近で見ても闘志が微塵も揺らがないとは、こりゃかなり期待出来そうだな。
マジックバッグから一振りの刀を取り出す。
「なんですの?」
「これを使うといい」
[月読命]
:織田小烏丸作の刀。様々な付与魔法が込められている。評価S
:総ミスリル製。
:斬撃強化(強)斬撃速度強化(強)刺突強化(強)
:自動修復(中)衝撃耐性+++ 汚れ耐性+++
「え?これって!」
「本当はダメなんだけどね。次の恩賞で誰かに渡す予定の刀」
意味が分からず、お嬢は目をまん丸くしている。
「でもワタクシはまだ・・・」
「ああ、違う違う!勝手に譲渡なんかしたら、ミスフィートさんに叱られてしまう。お嬢を信じて貸し出すよ、今回だけ特別サービス」
勝手に貸すのもダメなんだけどさ、お嬢は間違いなく大活躍するだろう。
「この刀は『ツクヨミ』と読む。月を司り、夜を統べる神の名だ。ミスリル刀の素晴らしさは強さだけじゃないんだぞ?汚れ耐性+++が付与されているんで、敵を何人斬ろうが、刀身に血糊が付着しないんだ」
正確に言うと『ツクヨミのみこと』なんだけど、長いんでカットした。
「戦闘中に何度も汚れを拭き取らなくても良いのですわね!?」
「そそ。斬り放題!」
「素晴らしいですわ!!!」
「今回の戦で大活躍すれば、この刀は正式にお嬢のモノとなる」
ベアトリーチェの目に光が宿る。
「ミスリル刀を貸そうと思った理由は一つ。お嬢の活躍を確信したからだ!刀の劣化を気にせず、敵を斬って斬って斬りまくってくれ!」
「ワタクシに全てお任せあれ!勝利を約束致しますわ!」
ちょっとフライングだが、お嬢にはこの戦いで大いに暴れてもらおうと思った。
「鉄の刀は預かっとくよ、戦が終わったら交換ってことで。その後、その刀を手にすることが出来るかどうかは、お嬢次第だ!」
「もう手放しませんわよ?」
がんばれよ~、とジェスチャーしながら元の位置に戻った。
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「俺様はジャバルグ軍宿老、ジャグルズだ!反乱軍のゴミ共を潰しに来たぜ!」
おお、すんげーモヒカンだ!1メートルくらいあるんじゃないか?
手下のモヒカン共はモヒカンの長さも手加減してたのかもしれんな。
「反乱軍総大将のミスフィートだ!ジャバルグはどうした?怖くて逃げ出したか?」
「黙れ、反乱軍風情が!キサマらが変な攻撃をしてくるのはわかってるんだ!くだらん攻撃で兄者を狙ってるのだろう!そうはいかねえ!」
チッ!あの攻撃を一度見せたのは失敗だったか。
「ほう?お前の勇気は認めよう。臆病者のジャバルグよりは多少できるようだな」
「兄者を舐め腐ったその態度、絶対許さねえ!!開戦だ!!!」
ジャグルズは馬を反転させて戻って行った。
さて、敵が動き出してからじゃ効果が薄くなる。とっととビームライフルをぶち込むか。
エネルギー残量を確認し、安全装置を外す。
レバーをフルパワーにセット。
「背を向けている相手をこんな飛び道具で狙うのは、正直心苦しいけども」
ミスフィートさんを見ると、彼女は一つ頷いた。
「戦場では強力な武器になる。やむを得んのだ」
ビュオン
ジャグルズが戻って行った敵中央目掛けてビームが放たれる。
ドガーーーーーン!!!
土煙がもうもうと舞い上がり、どうなったのかよく見えない。
そして土煙が収まった時、そこに立つ者は・・・今回はいた。
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
【レベルが上がりました】
ジャグルズと、守備隊が100人ほど残ったか・・・。
あの攻撃に耐えるとは流石にレベルが高い。
だが今の一撃で、敵兵を1000人ほど削ったぞ!
そして混乱してる敵軍目掛けて、エルフの魔法が一斉に放たれた。




