889 食事をしてから街を観光することに
流星城にて、尾張・三河・伊賀の三国同盟が締結された。
祭を開催したおかげでトントン拍子に話が進んだので、準備もナシにいきなり大盤振る舞いはさすがに無茶だったが、正解だったと言えるだろう。
5000人規模の民衆を満足させるのに、かなりの物資を放出したわけですけどね!
伊賀大名であるお色気お姉さんも、一方的に施しを受けたのをかなり気にしていたようで、ミスフィートさんと清光さんに『勾玉』を贈った。
魔除けの効果があるということで、自分が着けている勾玉も見せてくれた。
大名に代々受け継がる伊賀の秘宝らしいけど、美しい不思議な鉱石で作られているらしく、とても価値のある物だというのは一目瞭然だった。
日本では天皇に受け継がれる三種の神器の一つなわけだから、それほどのモノを同盟国に贈った伊賀大名の『縁を大事にしたい』という気持ちが伝わってきて、忍者達がますます好きになった。
食料以外にもマジックバッグや水生成機をプレゼントしたって話はミスフィートさんにしてあったので、遠慮せず受け取ってくれたぞ!
そうなると清光さんがどうお返しするか悩むわけだけど、最前線に美味しい食材を振舞う予定だったし、きっと他にも何か考えてるんじゃないかな?
とにかくこれで一段落ついたわけだけど、せっかく京の都に来たのに何もせず帰るのもどうなんだ?ということで、ミスフィート領を案内しようって話になった。
「じゃあ、京の都を観光したら尾張に行き、その後三河と遠江を観光して帰還って流れでいいかな?」
「今日の仕事は休みになったし、私も行くからな!」
「すごく楽しみね!」
「待った!金は持ってるのか?間違いなく買いたい物だらけだぞ?」
「京の都に行くということで、観光のことは考えていたぞ」
「昨日もらった鞄に白金貨1000枚入れてきたわよ!これだけあれば十分でしょ?」
「白金貨を1000枚も!?」
マジックバッグの中なら安全とはいえ、随分と大金を持ってきたんだな~。
さすがに全部使う気はないだろうけど、爆買いするつもりですな?
「フムフム。京の都で工芸品を買いまくらなきゃ大丈夫だ」
「いや白金貨1000枚ありゃ余裕だろ!工芸品ってそんな高いのか?」
「シドの店で値段も見ずに買いまくったことがあるんだけど、会計の時、白金貨30枚って言われて気絶しかけた悲しい思い出が・・・」
「わはははは!まあでも白金貨30枚くらいなら・・・いや、300万はやべえな!」
「高すぎでしょ!えーと、実は味噌と醤油を大量に欲しかったからこんな大金を持ってきたんだけど、大量に買うことってできるのかしら?」
なるほど!祭の残りなんかすぐ無くなってしまうもんな。食材よりもむしろ調味料が食を豊かにするってことが分かって、味噌と醤油に狙いを定めたようだ。
「尾張の工場は、俺が突然押し掛けてゴッソリ持ち去ったから厳しいけど、伊勢のレイリアの街にある工場に行けば大丈夫だ」
「味噌と醤油なら三河や遠江でも買えるぞ」
「京の都、堺、大和、河内、和泉、丹波と流通させなければならないわけだから、お前んとこ結構厳しいんじゃねえのか?三河、遠江ならクッソ余ってるからそっちで買うといい」
「実はそうなんですよね。じゃあ伊賀にたっぷり売ってあげて下さい」
「任せろ!」
「ありがとう!買いまくるわよーーーーー!」
尾張だけじゃなく遠く離れた三河とも同盟を結んだ効果は大きいぞ!俺達にかかれば距離なんかあって無いようなもんだから、メチャメチャ意味があるのだ。
ミスフィート領はデカくなりすぎてまだ全然不安定だから、交易するなら三河の方が良かったりするしな。
「あと、尾張でガラスを買うといいだろう」
「ガラス?」
「えーとな、ちょっとついて来てくれ」
お色気お姉さんと平蔵を連れて、窓の方まで歩いていった。
「よく見るとわかるんだが、この窓ちょっと変だと思わないか?」
二人が窓をジッと見た。
「なんか光って・・・、あーーーー!これが噂になってた透明な壁じゃない!?」
「おそらくコレのことです!」
「あれ?知ってたのか」
「ミスフィート軍の前で言うのもどうかと思うが、尾張や伊勢にも密偵を放っておったのでな。どの家にも不思議な透明な壁があると報告を受けていたのだ」
「なるほど密偵か~。流石は忍者だな!知ってたなら話が早い。これは窓ガラスといって、透明な壁によって外の景色が見れると同時に、虫やゴミの侵入を防いでくれるんだ」
コンコン
「平蔵、これも欲しいわ!」
「もちろん買うしかないでしょう!」
「一般家庭用の薄いガラスだと強い衝撃で割れてしまうんだけど、衝撃に強い強化ガラスも売ってるから、城や砦に設置するならそっちを買うといい。頑丈な分値段が高いのだが、通常の魔法や鉄の剣の攻撃くらいなら弾くぞ!」
「なるほど~。重要施設は頑丈な方じゃなきゃダメね」
「ですな!でも安ければ普通のガラスも大量に買いたいところだ」
もうガラス工場は俺の手を離れてしまったんで、たまに勝手に持ち出したりしてるけど、今いくらで買えるのかわからないんだよね。
京の都でも飛ぶように売れてるみたいだし、俺が経営してた頃より値上がりしてるのは間違いないだろな~。
軍師パワーでお友達価格で売ってあげようとは思うけど、ガラス工場でもブーイングされそうだ・・・。
「知ってるかもしれんけど、実はミスフィート領って、京の都よりも尾張や伊勢の方が遥かに発展してるんだ。そして悔しいが三河は尾張よりも発展している。というわけで、京の都、尾張、三河って順番で観光しよう」
「「ほほう!」」
「レイリアには行かぬのか?」
「食事してから出発ってなると、ちょっと時間が足りないですね。レイリアはまた次回ってことで」
「そういえば昼食がまだだったな!」
「和泉が天ぷらを揚げてくれているハズなんで、とりあえず食堂に行きましょうか。昨日は肉と魚だったから、今日は山菜づくしです!」
「山菜の天ぷらか!最高じゃねえか」
普通、客人には別室で食事を出すもんだと思うけど、ウチや三河は大名ですら食堂に行って皆と同じ物を食ってるくらいなので、ウチはいつもこんな感じなんだと食堂へ連れていった。
もう昼食の時間は過ぎてるから食堂は貸し切り状態で、カウンターに一番近い、いつものテーブルに着席した。
そして京の都ダンジョン産の山菜の天ぷらが運ばれてきたわけだが、天ぷらは伊賀でも食べるらしく、二人とも大好物らしい。
ただし山菜ってのは基本的に春先にしか食べられない物だから、真夏に採れたウドやタラの芽に驚愕していたぞ!
ダンジョン産だから季節に関係なく食えるのだ。風情は無いけどな!
和泉の作る天ぷらは、アスパラの天ぷら、しいたけの天ぷら、イカの天ぷら、エビの天ぷらと種類も多く、客人だけじゃなく俺やミスフィートさんも大満足だった。
「本当に美味しかった!あの天ぷらのタレって、醤油を買えば作れるのよね?」
「醤油だけじゃなく、砂糖とか酒とか入れればあの味に近くなるかな」
「お砂糖か~」
「砂糖なら三河でいくらでも買えるぞ。精製した白い砂糖だし、値段も結構安かったと思う」
「「白い砂糖!?」」
あ、そっか。ろ過しまくらないと真っ白の砂糖にならんもんな。
あの越後でも、まだそこまで技術が発達してなかったし。
でも同盟国となったんだから、無いなら買えばいいだけのことよ。
「さて、そろそろ街に繰り出すか~!」
「ちょっと待った!その前に便所を借りたい」
「同じく!」
「トイレならそこにあるぞ。あ、お色気お姉さんに使い方を教えなきゃだな」
「近江で使ったあのよく分からん便所か!」
「でも俺が女子トイレに入るわけには・・・」
「私が一緒に行って説明してやろう」
「ではミスフィートさんに任せます!」
そしてお色気お姉さんがトイレに行ったわけだが、最新式の意味不明トイレに大興奮していたぞ!
すごく気に入ってくれたみたいだし、いくつかプレゼントしてあげようかな?




