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888 尾張・三河・伊賀の三国同盟

 一緒に野菜の皮剥きをしたお色気お姉さんが伊賀大名だったことには驚いたが、知らずに仲良くなっていたのはラッキーとも言えるだろう。


 彼女の性格や子供達に接する優しさを間近で見ていたわけだから、悩むまでもなくマジックバッグをプレゼントすると、そのとんでもない性能に大喜びし、それでご機嫌になったのか分からないけど、清光さん虎徹さん共々チューされてしまった。


 本当は今すぐ同盟の話をしたかったけど、まだ祭の最中であり、周りに一般人がいっぱいいたので、それはとりあえず祭が終わるのを待つことにした。



 お色気お姉さんに伊賀の話を聞いていたのだが、彼女の居城は伊賀の里のすぐ北にあり、大規模な戦闘でもない限り、普段はその城にいるらしい。


 なんせ長いこと近江軍と戦ってるわけだから、大名が最前線で大暴れするような時期はとうに過ぎ去っているのだ。


 今はダンジョンの所有権を争う小競り合いがずっと続いてる感じで、戦闘指揮は重臣達に任せている状況だそうだ。


 回り込まれて退路を断たれるのが一番危険なわけだから、最終防衛線に大名がいた方が家臣達も安心なんだよね。


 近江大名レザルドが本気で伊賀を獲りに来るまでは、とりあえず平和と言えるのかもしれない。でもそのXデーがいつ来るか分からないからこそ、今のうちにミスフィート軍と同盟を組んでおきたいわけだ。


 今日まではそのミスフィート軍を警戒していたから動くに動けない状況だったが、重臣の1人が尾張軍師と出会ったことにより、伊賀大名であるお色気お姉さんの頭の中で『同盟』の二文字がグルグル回ってる状態だろうな。


 まあそれは俺達もなんだけどさ。


 とまあ、心の中でそんなことを考えつつも祭を満喫し、空が薄暗くなって参加者全員が満腹になったところで、平蔵が拡声器で祭の終了を告げた。


 子供達は両親と手を繋いで家に帰り、大勢いたお客さん達も満足げに次々と中央広場から出ていった。


 そして残った運営の忍者達に『お疲れさん!』と声を掛け、初めて目にする豪勢な食べ物を振舞ってくれたことを感謝された。


 仕事は大変だったが、もうやり切ったって感じで皆良い笑顔だ。



「お色気お姉さん、いらんかもしれんけど、鉄板や巨大鍋や水生成機なんかは全部置いてくよ。好きなように使ってくれ」

「いいの!?鉄板や鍋はともかく、水が出てくる魔道具って、とんでもない貴重品じゃない!」

「貴重品だろな~。でもそれは俺が作った魔道具だ。すなわち俺はいつでもそいつを作ることが出来るんだよ」

「ウソ!?付与魔法使いだったの!?こんな凄い魔道具を作れるほどの・・・」

「あ、水生成機のことなんだが、空気中の水分を吸収して水を作り出す仕様だから、家や城の中で使うと乾燥して火事の原因になってしまうんだ。だから水生成機を使う時は窓を全開にしてくれ」

「空気中の水分を集める!?なるほど・・・。何も無いところから水を作り出すわけじゃなくて、ちゃんとしたからくりがあったのね~」


 水生成機が三つもありゃ、居城だけじゃなく戦場にだって持っていけるから、今までの苦労は何だったの?ってくらい重宝するハズ。


 これは平蔵にも一つプレゼントしてやるとしよう。


 ちなみに水魔法で出した水は、用が終わったらパッと消え去ってしまうから、手を洗ったりは出来るけど、飲み水として使えないのだ。


「そうそう!これもやるよ」


 お色気お姉さんに拡声器を手渡した。


「平蔵にもプレゼントだ。それは返さなくていいぞ」

「お、良いのか!?非常に便利で気に入っておったのだ!感謝するぞ!」

「なるほど!声を大きくする魔道具だったわね!ありがとう!」


 上に立つ者ほどスピーチする機会が多く、大声を出さないで済むからこういうのがあると大変助かるんだよ。



「さてと、一般人は皆帰ったな?」



 お、ここで例の話をするのか?



「十六夜様」

「ええ、わかってるわ」


 お色気お姉さんが、俺、清光さん、虎徹さんと、順番に目を合わせた。


「我が十六夜軍は、ミスフィート軍、清光軍と、対等な立場で同盟を結びたいと思っている。三河大名の清光くんは目の前にいるから今すぐ交渉できるけど、尾張大名と直接会うことはできるかしら?」


 ズバッと来ましたね。


「伊賀大名がそのつもりならば、京の都に帰ってすぐミスフィートさんに話してみよう。おそらく今すぐ会うことも可能だけど、いきなり過ぎるから明日でどうだ?」

「此方は問題ないわ」

「じゃあ決まりだな!問題は、お色気お姉さんの居城で会うか、京の都の流星城で会うかだが」

「それなら京の都で。移動の魔法でビュンと行けるのよね?」

「一瞬で転移できるぞ。でも朝早くからってのもどうかと思うし、同盟交渉は正午でどうだろう?」

「それで問題ないわ」

「よし、それなら俺も正午に流星城へ行こう。三国での話し合いだ!」

「待った!十六夜様を一人で行かせるわけにはいかん。儂も同行するぞ!」

「もちろん構わんぞ。じゃあ決まりだな!」

「そこの犬の彫像の前に立ってるから、お迎えよろしくね!」

「了解だ!」



 伊賀大名と仲良くなってたおかげで、いきなり同盟交渉をすることになったぞ!

 破談になる理由も無いし、もう同盟は決まったようなもんだな。


 と死亡フラグを立て、俺達も解散した。






 ************************************************************






「よし、同盟締結だな!この良き関係が末永く続くことを願う」

「良かった・・・。これで近江との戦いに集中できるわ!」

「まだ無茶するなよ?動くのはアイツらが本格的に暴れ始めてからだ」

「とりあえず、お色気お姉さんの居城から最前線まで線路を敷いておきたいな」

「せんろとは何だ?」

「すごい速度で移動できるようになる乗り物専用の道だ。後で見せてやるよ」

「機関車を作ってる時間は無いかもだが、トロッコならすぐだな」

「よくわからないけど楽しみね!」



 死亡フラグもなんのその。呆気なく三国同盟が締結された。


 ミスフィートさん、お色気お姉さん、清光さん、虎徹さん、俺、平蔵と、ワチャワチャ状態なので、格好良く終わる感じじゃなく雑談が始まった。


 まあ俺達が集まるといつもこんな状態になるのだが、お色気お姉さんは心の底からこの同盟に喜んでいるみたいで、満ち溢れんばかりの笑顔になった。


 今まで苦しかっただろうけど、俺達が仲間になった以上、もう近江の好きなようにはさせないから安心してくれ。


 あとはツッパリ共を鍛え上げたら近江の攻略開始だ!


 あ~、そういや金属バットとかメリケンサックとかいっぱい作らんと・・・。

 アイツら何人参加するんだろな?作るのめんどくせーーーーー!

 

 

 祝・888話! ようやく伊賀と同盟が締結されました。


 『クーヤちゃん ~Legend of Shota~』も同時連載中!


 異世界ライフな作品で戦闘は控え目ですが、同じ筆者が書いてるわけですから、この作品が好きなら絶対楽しめると思います。是非こっちも読んでみて下さい!


 その辺にある『ほむらさん』の名前をクリックしたらたぶん見つかります。


 評価やブックマーク、そして誤字報告をしてくれた方々、

 本当にありがとうございます!これからも応援宜しくお願いします。

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― 新着の感想 ―
そのうちチェリン対十六夜のお色気対決が始まったり…… あ、駄目だ。そこら中血の海で惨劇の舞台になるw
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