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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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887 伊賀大名 十六夜

 お色気お姉さんがまさかの伊賀大名だったことが判明し、俺と清光さんと虎徹さんの動きがロボットのようになったが、べつに失礼な態度で接していたわけもないし全然問題なしと判断し、すぐ人間に戻った。



「お色気お姉さんが伊賀大名だったとは・・・」

「忍者の統領なくらいだから絶対男だと思ってた!くノ一とは予想外だぞ!」

「どうりで自分の判断で空き地に連れていってくれたわけだ」


 いつ伊賀大名を紹介してもらおうか考えてたとこだったから、知らずに和気あいあいと接してたのは逆に良かったのかもしれない。


 大名に会う時の変なプレッシャーを味わわなくて済んだし、もうすでに友達感覚だったから、気を使うまでもなく友好を深めたと言えるだろう。


「十六夜様に失礼な態度で接してなかっただろうな?」

「む、どうなんだ?友達みたいに楽しく会話してただけだから、気を悪くするようなことは言ってなかったと思うが」

「一緒に野菜の皮剥きしてただけだよな?」

「なんだと!?十六夜様にそんなことをさせていたのか!」

「アレはアレで楽しかったから、怒ってなんかいないわよ」

「俺も野菜の皮剥きをしていたのだが?ちなみに三河大名だ」


 そういえば清光さんって大名じゃん!冷静に考えてみると、近江チームの家を建ててもらったり迷子センターを作ってもらったり、結構雑に扱ってる気がする。


「ふむ・・・、十六夜様が楽しく遊んでいたというのならまあよいか」

「そっか~、近いうちに伊賀大名と会って友好を深めなきゃって思ってたけど、知らない間に友好度が最大まで上がってたんだな」

「いや、さすがにまだ最大までは上がってないんじゃないかしら?」


 む、20%くらいまでしか上がってなかったか・・・。



 ―――――お色気お姉さんをもう一度ちゃんと見てみる。



 赤と黒の妖艶な忍装束に、チェリン級のメロンが二つ。


 腰まで達するガーネットのような色をした髪は少しくせっ毛で、可愛いというより美しいという表現が相応しく、どこからどう見てもお色気お姉さんだ。


 そんな彼女に似合う色はやはり赤か黒だろう。

 でも赤い髪に赤だと色がかぶってるし、ここは万能な黒だな。



 アイテムボックスから、オシャレな女性用の黒いリュックを取り出し、お色気お姉さんに手渡した。



「まあ!すごくお洒落な鞄ね!くれるのかしら?」

「やる。でも女性の気を惹こうとして、そのオシャレな鞄を渡したわけじゃないからな?鑑定してみるといい」

「鑑定?」


 まだ同盟を締結したわけでもないのに、これを渡すのはどうなんだって気持ちはある。でも伊賀の国は住民も優しく本当に素晴らしい国だ。もうそれだけで伊賀大名の人間性がわかるんだよ。


「何でも入る鞄って書いてるんだけど!!」

「何でも入るぞ?例えばドラゴンとかな」

「あーーーーー!あの竜って、このマジックバッグに入れてたのね!!」

「まあそんなところだ。ただそれを使うには所有者登録が必要だ。登録者以外は使用不可って書いてあるだろ?」

「どうすればいいの?」

「指先をチョンと切って、その黒い鞄に触れれば登録完了だ。血は鞄に吸収されるから汚れる心配はいらない」


 お色気お姉さんはもうマジックバッグに夢中で、躊躇なく忍者刀で指先を切ってマジックバッグに触れた。


「登録者:十六夜って出たわ!」

「これでもうマジックバッグはあンたのもんだ。空のリュックを背負って、例えばそこにある巨大海産物に触れて『入れ』とか『収納』と考えるだけで、マジックバッグに収納することが出来るぞ」

「頭の中で考えるだけでいいの!?」

「対象に触れてからだぞ」


 お色気お姉さんが巨大ガニに触れると、シュッとマジックバッグに収納された。


「消えたわ!」

「背中のマジックバッグの中に入ったんだ」

「そうなの?全然重くなってないけど」

「そこがマジックバッグの凄いとこなんだ。ドラゴンを入れようがまったく重くならないから、空っぽの鞄を背負ってる感じだな。他の海産物も色々収納してみ」


 お色気お姉さんが海産物を全部マジックバッグに収納し、まったく重くなっていないことに感動し、目をキラキラさせている。


「なんて凄い鞄なのかしら!・・・あ、どうやって出せばいいの?」

「置きたい場所をイメージしながら『出ろ』って意識するだけでそこに置くことが出来る。でも遠くには出せないからな」


 それを聞いて彼女が試してみると、ブルーシートの上にホタテがシュッと出現したので笑顔になり、ポイポイ出して元の状態に戻した。


「とまあ使い方はそんな感じだ。少しは友好度も上がったか?」

「最大まで上がったわ!」

「よっしゃ!」



 オシャレなバッグで釣れない女性など存在しないのだ。

 まあ、生活が一変するほどのオシャレバッグだけど。


 目をキラキラさせて喜んでいるお色気お姉さんを見て、平蔵やニンニンがほっこりしてるのがわかった。


 清光さんと虎徹さんも、お色気お姉さんに好印象を抱いていて、伊賀が素晴らしい国だと思っているので、突然マジックバッグを渡した俺に異論は無いみたいだ。



 チュッ


「!?」


 お色気お姉さんがこっちに歩いて来たと思ったら、突然ほっぺにチューされた。


 チュッ チュッ


「「!?」」


 続けて、清光さんと虎徹さんもチューされて、三人共驚いて固まった。



「こんな楽しい祭を開催してくれて本当にありがとう!近江との長き戦いで皆疲れていたから最高の一日になったわ。まだ祭は終わってないけどね♪」



 マジックバッグ効果じゃなくそっちでしたか。


 平和そうに見えても、近江との戦いで毎日ピリピリしていたのだろう。

 伊賀の里の住民達に笑顔が戻って、本当に嬉しかったんだろな。



「平蔵に聞いたと思うけど、近江は俺達の敵でもある。共通の敵と戦う者同士、友好を深めようと思って伊賀の里までやって来たんだ」

「此処は近江と違って、優しい人ばかりで最高の国だ!」

「小烏丸と平蔵達が大和の山奥で出会ったのは運命の導きだったのだろう。俺らも伊賀の里にはまた遊びに来たいと思ってるし、近江軍を撃破したら是非三河にも遊びに来てくれ」



 伊賀の里に来て少ししか経ってないけど、おそらく仲間全員が忍者達に対して好印象を抱いたに違いない。


 そして忍者達も、俺達に対して好意的に思ってくれてると思う。


 お色気お姉さんも俺達も考えてることは一緒だと思うけど、今は周りが一般人だらけだから、同盟の話は祭が終わって落ち着いてからだな。

 

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