880 近江チーム、伊賀の里へ
大和の里で修行しながら暮らしていた若い忍者達を全員里帰りさせたので、今日ここでやることはもう何も無いな。
明日は近江チームを連れてくる予定だが、清光さんと虎徹さんも伊賀の里に来たがっていたから、平蔵に許可をもらった。
「じゃあ俺はそろそろ京の都に帰る。明日の朝、近江チームを連れてくるんで、宜しく頼む」
「任せておけ。でも住居を用意しなくて本当に大丈夫なのか?」
「土地だけ貸してくれれば、そこに勝手に家を建てるから大丈夫だ」
「そういや凄腕の土魔法使いがいるのだったな」
「一応土魔法使いは二人いる。一人はポンコツだけど」
「わはははは!了解した。できるだけ中央広場に近い場所を探しておこう」
「頼んだ!明日の夕方、此処で『祭』を開催しようと思ってるんで、忍者達に腹を空かせておくよう伝えといてくれ」
「祭だと!?」
「祭は言い過ぎたか。また美味いもんを振舞おうって話だ。あ~でもやっぱり祭を開催するってことにして盛り上がれば、良い思い出になるんじゃないか?」
「祭か~~~~~!子供達が全員帰って来たわけだし、良いかもしれんな!ただ急すぎてまったく準備する時間が無いが!」
「んなもん適当よ!忍者達で何か催し物でもやってくれれば最高の祭になるけど」
「わははははははははは!まあ気合で何とかしよう!」
適当な思い付きだけど、子供達が里帰りしたタイミングで祭を開催するってアイデアはドンピシャだろ。
『祭』なんてモノは、適当だろうが楽しけりゃそれでいいんだよ!
「大和の里の時のように大量の食い物を持って来るつもりだ。そっちで大量の握り飯だけ用意してくれれば、3000人くらい満足させられるんじゃないかな~。何人集まるか知らんから数字は適当だが」
「3000人だと!?あのデカいカニとかイカを大量に!?」
「それも持って来るけど、今回は普通の魚貝類もだな。他にもあるが、それは当日のお楽しみだ!でもさすがにそれだけの大人数の面倒は見きれないから、俺は食材を用意するだけだぞ?前みたいに自分達で焼いたり茹でたりしてほしい」
「本当に有難い申し出だが、大丈夫なのか!?」
「大丈夫だ、問題無い。ただ食材を捌くのに時間も手間もかかるから、午前中から動き始めた方がいいだろうな~」
「午前中から始めるのか・・・。まあでも3000人分の食材を捌くとなると、やはりそれくらい早く動くべきか」
なんせ、とんでもなくデカい食材を解体するつもりなんでな!
俺一人じゃ厳しいが、清光さんと虎徹さんも慣れてるハズだからいけるだろ。
「おそらく解体ショーも見所満載だから、宣伝しておいてくれ」
「解体??」
ニヤリと笑っただけで質問にはスルーした。
「さて、話しておくのはこんなもんかな?俺よりそっちの方が忙しいだろうけど頑張ってくれ!」
「忙しいどころか地獄だぞ!おい、ハム蔵!そこで盗み聞きしていたのは失敗だったな!さあ仕事だ。明日は中央広場で祭だと流布しまくるのだ!!」
「しまったでござるうううううーーーーーーーーーー!!」
広場にニンニンの叫びが響き渡った。
しかし『流布』って、変な噂を広めるような悪い意味で使用される印象があるんだけど、忍者界では違うのかもしれんな。
とにかく俺の仕事はまだ終わっていないので、ルーサイア港に転移した。
そしてランスロットを探し出し、伊賀の国と友好を深める為に魚貝類を贈りたいから、明日の昼までに沢山ゲットしておいてくれと頼んだ。
これで祭が盛り上がること間違いナシだ。
忍者の料理人は地獄だろうけどな!
続けて醬油工場に行き、軍師権限で出来立てホヤホヤの醤油を大量に奪い取ったので、従業員達にブーイングされながら工場を後にした。
もうついでだからと、味噌工場でも同じことをする。
緊急なんだ!忍者達と友好を深める為なんだ!今日のところは許して下さい!
そういやカーラもルーサイア港で同じ様なことしてたし、ミスフィート軍の評判が悪くならないよう、大福でも配って信頼を回復させねばな・・・。
というわけで、今日の仕事は終わり!
ダンジョンチームを回収し、流星城に帰還した。
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今日はいつもと違い、サイダーとスピルバーンだけじゃなく、ギャラバーンとサングラスを装着したグミを連れて近江に転移した。
本当は近江チームの一員であるギャラバーンだけ欲しかったんだけど、グミが駄々を捏ねたので連れてくるしかなかったのだ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
サングラスを着けたグミとレミィが睨み合う。
「なんか変なのがいるんだけど!これってグミじゃないの?」
「フハハハハハハハ!よくぞ私の正体を見破ったな!」
「サングラスとかいうの着けてるけど、こんなチンチクリン何人もいないし?」
「なにおう!?」
「グミはギャラバーンの助手をやってるから、一緒についてきてしまったのだ」
「まあいいんじゃない?今日は遊びに行くようなもんだしね~」
清光さんが砦を消去して準備は整ったんだけど、しばらく近江に戻らないから、この場所を忘れてしまわないようダチョウのオブジェを設置してもらい、虎徹さんと一緒にダチョウがいる風景を脳にインプットした。
なぜダチョウなのかは知らん。
「よしオッケー!伊賀の里の中央広場に転移するから、全員手を繋いでくれ!」
みんな準備が出来ていたので、サクッと伊賀の里に転移した。
「「おおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
中央広場自体は別に驚くほどのもんじゃないんだけど、すでに広場は忍者がいっぱいで、特にくノ一集団によってとても華やかだった。
しかも祭が開かれるということで、皆で飾り付けをしているところだった。
「また触られまくるのかと思ったら、忙しくてそれどころじゃないらしい」
「飾り付けをしてるようだが、何か行事でもあるのか?」
「犯人は俺ですね。友好を深める為に夕食を大盤振る舞いしようと考えていたのですが、大和の里にいた子供達を全員里帰りさせたから、どうせだったら『祭』を開催しようってことになって、忍者達がその準備をしているところです」
「祭とか最高じゃん!!」
平蔵が近付いてきた。
「伊賀の里へようこそ!まずは例の土地に案内しよう」
「あ、平蔵さんだ!一週間よろしくーーーーーーーーーー!」
「清光さん、さっき言ってたヤツです。平蔵に土地を借りたので、そこに近江チームの家を建ててほしいんです」
「あ~、言ってたな。家くらい任せておけ」
「確かにその方が、家を借りるより気楽に過ごせそうだな!」
よし、まずは家を建てるのを見に行って、広場に戻ったら祭の話し合いだな。