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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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868 和泉に弟子入り?それ、言うほど弟子か?

 ヨーコを撃破し、伝説の女番長(スケバン)となった和泉だったが、御仏のように慈悲深い彼女の提案で、百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の女の子達を聖水で回復させてあげることになった。


 倒れている女の子達に近付き、殴られた箇所に聖水をぶっかけると目を覚ましたので、『伝説の女番長(スケバン)、和泉様のお慈悲だ。感謝するように』と言って聖水の入ったコップを手渡すと、和泉に後頭部を引っ叩かれた。


 ヨーコが素直に聖水を飲み始めたので他の女の子達も聖水を飲み干すと、痛みが消えたどころかなんか色々と全回復し、全員が目を大きく開いた。



「なんだこりゃ!?突然絶好調になったぞ!!」

「一体何を飲まされたんだ!?」

「なにこれ?この前挫いた足の痛みが消えた!」

「あれ?ちょっと待って・・・」


 赤いショートヘアの女の子が立ち上がり、周囲をキョロキョロ見渡す。


「遠くまでクッキリ見えるんだけど!!」

「どういうこっちゃ?」

「いや、なんつーか・・・とにかく全部見えるようになったんだ!」


 あの子、視力が悪かったんだなきっと。

 俺らに絡んでラッキーだったな!喧嘩も強くなることだろう。


「怪我どころか体調まで良くなってる・・・。いやいやいや、こんなの絶対おかしいって!イズミさん、今飲んだ水は何なんだ!?いや、何なんっスか!?」

「この世は不思議でいっぱいなんだよ」

「不思議って、いや、説明は!?」

「さてと・・・。小烏丸、そろそろ大福屋さんに行くよ!」


 聖水は国家機密だから説明する気はないらしい。

 戦争の火種になってもおかしくない一品だからな。良い判断だ。


「あ、そうだ!ヨーコ、大福屋の場所を教えてくれ」

「大福屋?5軒くらいあるけど、どこでもいいのか?」

「そんなにいっぱいあったのかよ!えーと、街の東寄りにある大福屋だ。近くに宿屋があるんだが」

「そっちに2軒あるけど、宿屋の近くっつーとあそこか・・・」

「小烏丸、道を教えてもらっても我等だけでは辿り着けないのではないか?」

「ん~、確かに時間が掛かりそうだな~」

「ヨーコ、悪いが我等をそこに案内してもらえぬか?」

「それくらい構わねーけど・・・、ってか何で知らねーんだ?もしかして遠くの街から来たのか?」

「えっと、それは歩きながら話すからとにかく出発しようよ。暗くなっちゃう!」


 和泉の言う通りだ。いつまでも裏路地なんかにいられん。

 向こうのツッパリ共も目を覚ます頃だしな。



 というわけで、さっきの場所まで戻ってきた。



「アタシはイズミさん達を大福屋に連れてくから、今日はもう解散しよう」

「エーーーーー!解散すんの!?今までにないくらい絶好調なのに」

「あ~それとな、イズミさんに弟子入りしたから、お前に総長を譲る!」


「「はあ!?」」


「いやいやいやいや!ウチらだけじゃ無理だって!ヨーコあっての百花繚乱(ひゃっかりょうらん)じゃんよ!なんで急にそんなこと言うんだよ!?」

「オレは嫌だからな!!」

「ずっと五人でやってきたじゃん!」

「そりゃないよ!」


 百花繚乱(ひゃっかりょうらん)三代目の突然の引退に、仲間達が騒ぎ始めた。

 あの~、俺達結構急いでるんだけど・・・。


「お前達には悪いと思ってる。でも惚れちまったんだ!イズミさんの強さに憧れちまったんだ!」


「ちょーーーーっと待ったーーーーーーーーーーーーーー!!」



 自分のせいでチームが解散しかけているのを見て、とうとう和泉が動いた。

 百花繚乱(ひゃっかりょうらん)の五人が振り向く。



「まだ弟子にするって認めてないんだけど?」

「・・・え?」

「それに大福を買ったら私達は京の都に帰るから、弟子入りしたら京の都で働くことになるよ?」


「「京の都だって!?」」


「そこで一つ提案があるんだけど、チームは解散しないでさ、五人とも私のところで一ヶ月くらい働いてみない?お試し期間って感じだね。ちゃんとお給料も出るし、お試し期間が終わったら一旦越後に帰すから、その時にまた仕事を続けるかチームに戻るか考えるといいよ」


 和泉さん?それ、弟子とかじゃなくて従業員を募集してるだけでは・・・。


「ちょ、ちょっと待って!イズミさんに弟子入りするには、京の都に行かなきゃならないの!?」

「うん。それは絶対。とりあえずお試し期間ってことでパッと出稼ぎに行って一ヶ月したら帰って来るだけだよ。お城には広い訓練場があるから強くなれるし、別に損じゃないでしょ?まずは一ヶ月仕事を頑張らなきゃ弟子入りは認めないよ!」

「お城!?京の都の??イズミさんって一体何者なんスか!?」


 その人、ミスフィート軍初代料理班の統領です。

 しかしヨーコだけじゃなく五人全員働かせようするとは、なかなかの策士だな。


 すたすたすた


「なあ、お前らってさ、家で腫れもの扱いされてないか?喧嘩ばっかりしてないで、いい加減定職に就けとか言われたりしてさ」


「「うっ!」」


 やはりか。図星のようだ。


「とりあえず一ヶ月間和泉の下で働いて、稼いだ給料を全て両親に渡してみ。きっと泣いて喜ぶから。そうすりゃ喧嘩の日々に戻っても大目に見てもらえるハズだ」


 俺の話を聞き、女の子達が真剣に考えている。

 でもこれ以上時間をかけてらんねーし、もう待っていられねえな。


「よし決まりだ!今日はこのまま家に帰って、両親に『一ヶ月泊まり込みで仕事してくる』って報告しろ。明日の朝、そこの公園に迎えに来る。いいな?」

「決まりだね!じゃあヨーコ、大福屋さんに案内して!」

「え?あ、ああ」


 俺が強引に五人組の予定を確定させたので、これ幸いと和泉も流れに乗り、完璧な連携で女の子達に考える隙も与えず流れ解散となった。



 頭の中は大混乱だろうけど、ヨーコを先頭に大福屋に向かってゾロゾロとリンドンの街を歩く。


 さっきまでと違い、百花繚乱(ひゃっかりょうらん)三代目総長のヨーコが同行してるおかげで、ツッパリが絡んで来なくなった。


 やっぱりこの子、リンドンでは一目置かれる存在なんだな~。



「お?知ってる顔発見!」

「ウチも覚えてるにゃ!にゃまえは忘れたにゃ」

「茶色いショートヘアの子がマイコで、金髪ロングがチャコで、もう一人はあの宿屋のトモちゃんって呼ばれてた子だ」

「まさか嫁候補じゃないでしょうね!?」

「女性の知り合いがいたってだけで疑うのやめてもらえませんかね!?」

「どの口が言ってるっスか!女絡みの小烏丸の信頼度はゼロっスよ!」


 ゼロは酷くね!?女性を口説いたことなんて一度も無いのに!



「おーーーーーい!マイコにチャコにトモちゃん。こっちだ!」



 自分の名前を呼ばれた三人が振り向いた。



「あーーーーーーーーーーっ!植物マスクの人だ!!」

「エエーーー!?この街に帰って来たの!?」

「あの人知ってる!大福くれた人!!」


 何も考えずにワーーーっと駆け寄ってきた三人だったが、よく見たらヨーコがいることに気付いてフリーズした。


「・・・えっと、あの、なんで百花繚乱(ひゃっかりょうらん)のヨーコさんと一緒にいるの!?」

「嘘でしょ!?あ、こ、こんちゃっス!!」

「はわわ、はわわわわわ」



 そうだった。よく考えたら女性だけで構成された喧嘩チームの総長って、女子中学生からしたら憧れ、もしくは畏怖の対象だよな。


 驚かせちゃって、なんか悪いことしたかも。

 

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