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赤い流星 ―――ガチャを回したら最強の服が出た。でも永久にコスプレ生活って、地獄か!!  作者: ほむらさん


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86 真・洗濯機

 3人でステーキを美味しく食べた後、コンロでお湯を沸かして見せる。


「水が沸騰してきた。ハイ注目!これを放置したままにすると、普通は噴きこぼれてしまうワケだけれども」


 レバーを捻って火力を落とす。


「こうやって火力を落とすと、温度の上昇が止まるから噴きこぼれないのだ」

「すごいわ!」

「煮込み料理が楽に作れそうっスね!」

「誰でも簡単に着火することが出来て、更に火力の調節まで可能なのがコンロという魔道具なのだ」

「こんな便利な魔道具があったなんて・・・、ん?火を消すときはどうやるの?」

「ああ、火が消えるまでレバーを右に捻るだけでいいよ。動力源は魔石だから、火の後始末も必要無いですね」

「これは画期的すぎるっス!ただ、一つだけじゃ足りないっス」

「量産する前に動作確認をする必要があったんだ。後でもう2~3台作っとくよ」


 俺っていつもスケジュールが詰まってて、過労死一直線な気がするぞ。


「よし、んじゃコンロの実験も成功ってことで、次に行くぞ!」

「そういえば、もう一つあるんだったっスね」

「まだあるの!?」


 面倒くさいからココでいっか。

 ただ火を使ってたから少しだけ場所を変える。


「これはストーブと言って、部屋を暖める魔道具だ」

「焚火みたいなもんっスか?」

「部屋を暖める?」

「しかしまだ寒い時期でもないから、これを使うには気が早いんだけどね」


 冷静に考えてみると、今は夏を少し過ぎたくらいの時期だから、ストーブのありがたみってまだ伝わらないよな。失敗したー!コイツは後回しにすりゃ良かった。


 とりあえず起動スイッチを押して、ストーブを作動させる。


 ブオーーー


「おおっ!暖かい風が出て来たっス!」

「これって、ドライヤー?」

「構造はドライヤーと一緒ですね。ただこっちは魔石を多く積んでいるんで、ずっと稼働させとくことが出来ます」

「う~~~、暑くなってきたっス・・・」

「んむ。時期も悪ければ時間帯も悪かった。ストーブの有難味が理解出来るようになるのは、季節が冬になってからだなー」


 とりあえず実験は成功ってことで、ストーブはマジックバッグに入れた。


「そうそう!井戸の横に洗濯機があるから、ユリにも使い方を教えておきます」

「何それ?」

「洗濯機は凄いっスよ!とにかく一緒に来るっス!」



 井戸の所まで移動して、ユリに使い方を軽く説明した。



「お?最初に干したのが、少し渇いて来てるっス」

「この感じだと、成功したっぽいかな?」

「干してある服って、全部その洗濯機?・・・で洗ったの!?」

「さっき2人で全部やったっスよ!」

「ひえ~~~!こんなの丸一日かかるほどの量じゃない!」


 ただ水を汲むのが大変だったんで、そこをどうにか改良したい。


 ・・・あっ!


「とんでもないことに気が付いてしまった!よし、ちょっと改良して来る!」


「えーーー!?私も洗濯機を動かしてみたかったのにー」

「今は小烏丸の邪魔をするべきじゃないっス!少し待てば絶対にもっと凄いのが出て来るっスよ!」



 科学の世界出身だもんで、洗濯機を作ってる時はまったく気付けなかった。


 いちいち井戸から水を汲み上げる必要なんて無かったのだ。

 そう、洗濯機に水を生成させりゃ良いんだよ!俺が今いる所は魔法の国なのだ!


 火や氷が生成出来たのだから、当然水だって作れるだろ!!


 とはいえ実際に使ってみないと、どれほどの水を生み出せるのかもさっぱり予測出来ないけどな。



 すごくワクワクして来たので、急いで作業部屋に戻り、洗濯機の改良を開始した。




 ・・・・・




「水生成スゲーな・・・」


 井戸で水を汲んだのが馬鹿みたいだ。

 どういう原理かさっぱりわからんけど、水魔石を3個使うタイプの水生成機を作って洗濯機の上部に設置した所、ものの数分で洗濯出来るほどの水が出て来た。


 空気中の水分を集めてるのだろうかね?部屋が乾燥してるような気がする。

 ・・・だとすると室内に設置するのはマズいな。


 いや、待てよ?窓のそばに設置して、窓を開けて使うようにすれば良いんじゃないか?あーでも排水のこともあるからホースが必要になるか。室内設置ならば、壁に排水用の穴も開けなきゃだな。


 決まりだ!洗濯機は窓のそばに設置して、『使う時は絶対に窓を開けるように!』と張り紙をして置こう。


 とりあえず、この水生成機は非常に優秀だからガンガン量産しよう。

 


 ってことで水生成機を10個作ってみた。




 ・・・・・




 洗濯機を設置する場所を探していると、ルーシーとユリが現れた。


「完成したっスか?」

「すごいのが完成したぞ!んで、洗濯機を置く場所を探してた所なんだ」

「え?外じゃないの?」

「どうせ洗った物を干さなきゃならないから外でもいいんだけどさ、野ざらしだと雨が降ったら洗濯機が汚れるし、壊れる可能性もあるからな~」

「なるほど~」

「窓があって洗濯するのに最適な場所ってないかな?」


「うーん・・・、ならあそこが良いかな?ウチについて来るっス!」



 ルーシーに案内された場所は、たしかに広くて洗濯しやすそうな感じだった。

 ユリも賛成したので、そこに設置することが決定した。



「この張り紙に『必ず窓を開けてから使用して下さい』って書いてるけど、開けなかったらどうなるの?」

「洗濯機の上部に付いているのは水生成機なんだけど、どこから水を集めてるのかって考えると、恐らく空気中の水分なんだよね。なのでたぶん家の中が乾燥してしまうんだ」

「水生成機??えーと、乾燥すると良くないの?」

「喉が渇きやすくなるし、風邪をひきやすくなるし、火事にもなりやすくなる」

「火事は絶対ダメっス!!」

「なので2人からも、みんなに窓を開けて使うよう言っといて欲しい。張り紙にも一応書いてあるけど念には念をってね」

「わかったわ!」

「ウチに任せとくっス!」



 壁に排水用の穴を空け、ホースを外に出した。洗濯機の横には手作りボディーソープを設置する。そして張り紙に使い方の手順などを付け足して完了。


「ユリがまだ試してないのは丁度良かった。紙の説明通りに使ってみて欲しい」

「わかったわ!」


 まず窓を開ける。

 洗濯物を中に入れる。

 ボディーソープを入れる。

 水生成のボタンを押す。

 水が溜まったら水生成を止めて、スタートボタンを押す。


 ゴトンゴトン


「わわわっ!すごい勢いで回ってるわ!」

「後は待つだけっス。しかしこの水生成機って凄くないっスか?」

「凄いなんてもんじゃないわよ!まったく意味がわからないわ」



 正直、作った俺ですら驚いてるくらいだ。


 井戸が必要無くなるとか、本当に恐ろしいモノを作ってしまった気がしてる。

 戦の時なんかは、これを部隊長全員に所持させるべきだろうな。


 魔道具職人超楽しいっス!・・・あ、ルーシーの口調が感染(うつ)った!

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