859 救出した女性達の村へ
レザルド軍の砦の攻略は完了したが、猿共に囚われていた女性達を送り届けなければならなくなったので、近くにあるという村目指して出発した。
お風呂効果は絶大で、ケンちゃんとセイヤがモテモテ状態で女性達に囲まれながら先頭を歩いているが、そのすぐ後ろを歩いているレナが呪詛を撒き散らかしているので、巻き込まれないよう最後尾を歩きながら平蔵達と会話していた。
「伊賀に入るにはどこが一番近いんだろな~。伊勢のパラスナグア城か?いや、レイリア城の方が近いんかな?」
一応周囲の確認をしてから小声で伊賀という禁止ワードを出した。
「南から入るより、大和の北から入った方が里に近い」
「あ~、そっか。国に入ればいいって話じゃないもんな~」
「伊賀との国境付近まで飛べるでござるか?」
「いや、転移するには実際にその場所まで行って、風景を記憶する必要があるんだ。残念ながら『ラムート城』までしか転移できん」
「あそこか。元聖帝軍の城だったな」
この前、馬車の車輪をミルシアに届けるためにラムート城まで行ったのだ。バスは次回ってことで残念がっていたが、馬車の車輪は普通に喜んでくれたぞ。
近い内にお風呂を改造してやると言ったら、大喜びしたミルシアにめっちゃキスされたが、もちろん嫁さん達には内緒だ!
「まあでもラムート城から国境までそんなに遠くないから、明日にでも記憶しに行っとくわ」
「有難い!だが何日か大和の里を離れることになるから、出発するのは里での用事を全て片付けてからでよいか?」
「俺達は別に急いでないから、行くのはそっちの都合の良い時でいいぞ。ただ一日置きに遠足があるんで、休日とピッタリ合えばって感じだな」
「適当な感じなのに、変に忙しい男だな。ふむ・・・」
そういや、忍者編に突入しちまったけど、ニャルルを試作2号機に乗せなきゃならないんだよな~。彼女は共同出資者だからあまり待たせられないのだ。
アポ無しで、ニャルルだけ連れて伊賀の里に行くわけにゃいかんし、どうせだったら信濃を越えて越後や陸奥、そして北海道まで転移セーブしに行きたいんだよね。
そうだな、すぐ伊賀の里に行かなくていいのなら、その前に越後に行こう。
久しぶりに本場の大福が食いたい。目的はそれだけじゃないが。
しかし信濃はデカいから一日じゃ越えられないか。まあ二日かけて越後まで行けるとしても越後がこれまたデカい。やはり三日欲しいな。
「悪い、こっちにも用事ができた。七日後でどうだろう?」
「七日後か・・・。其方にも用事があるのなら丁度良かったかもしれぬ。では七日後の朝、あの広場まで来てくれ」
「ちょっと待つでござる!拙者も行くのでござるよな?」
「いや、その日は平蔵と二人で行く。ほら、俺とお嬢が乗ってた赤い乗り物だ。あれって二人しか乗れんのよ」
「「あ~~~~~~~~~~!」」
「待て待て待て!もしかして空を飛ぶのか!?」
「うむ。とんでもない速度で飛ぶから、一日で里まで行けるぜ?」
「一日だと!?」
「恐ろしい乗り物でござるな・・・」
「ニンニンも里に行きたいのなら、到着後すぐ迎えに来てやるぞ?」
「お頼み申す!」
「ちょっと待ってくれ!それだと話が変わってくる。近々里に帰る予定だった者達も連れて行って良いか?」
「構わんぞ」
「便利なピカピカでござるな~!」
ピカピカの便器みたいに言うのやめろや!
「まあ一週間考える猶予あるんだし、ゆっくり考えるといいさ。何往復でもしてやるから、遠慮なく言ってくれ」
「感謝する!」
「ピカピカがいつも以上に輝いて見えるでござる!」
ピカピカに輝いてる便器を想像しちまったじゃねえか!
光り輝いてるってのは、そんなに褒め言葉じゃないからな?
とまあ、これからの予定なんかを平蔵達と話しているうちに、いつの間にか結構歩いていたようで、救出した女性達の村に到着した。
レザルド軍に攫われたハズの彼女らの姿を見た村人達が仰天し、家族や友達どころか村人全員が集まって大騒ぎし、女性達を救出した俺達一行は英雄として大歓迎されたのだった。
といっても、近江の村なんてどこも生きるのに精いっぱいという極貧生活だから、逆に俺達が村人達にご馳走を振舞って、さらに感謝されることとなった。
ここからはいつものパターンで、俺達はケンちゃんとセイヤを祭り上げる。
そしてあの二人が場を盛り上げて、村の人達を味方につけるのだ。
ぶっちゃけそういう役目って大変なのよ。尾張ではまさに俺がケンちゃん&セイヤ状態だったから、後ろに引っ込んで見てるだけってのがホント楽で最高っスわ。
パトランやレナも村人達と楽しそうに会話していて、やはり彼女らも近江編の主役なんだなーと、見ていて微笑ましかった。
「最初は適当に暴れてるだけなのかと思ったが、こうして弱き者を助けて回っているとは感心したぞ!」
「こんな小さな村も味方につけるとは、なかなかやるでござるな!」
「俺達は近江を力で支配しようなどとは思っていない。武士に従う農民という縦の繋がりではなく、横の繋がりを大切にして最高の国を造るつもりだ」
「それだ!横の繋がりが結束を生み、大きな力となるんだ!」
「言いたいことは分かる。しかし仲良しこよしでレザルド軍に勝てるのか?」
「こうして少しずつ味方を増やしながらレザルド軍を削っていき、時が来たら挙兵して一気に勝負を決めようと思っている。まあ、そこにいる蒼いのがバカみたいに強いから負けんだろ」
「わはははははは!だな!」
「他人事のように言うな。戦では貴様等も馬車馬のように働いてもらうぞ。当然あの二人もだ」
「正直、ピカピカ勢の強さがさっぱり分からないでござる。本気を出せば恐ろしく強いのであろうなーと予想はできるでござるが」
この前、中の人の正体見せたしな。
ただしそれは中の人の話だ。俺達は変身すると弱体化するのだ。
「ピカピカだとそうでもない。この姿だとやたらと重い武器しか装備出来なくなるから、パンチキックが主体で、敵を倒すのに時間が掛かるのだ」
「防御力には自信あるけどな!」
「やはり遊んでるだけではないか!!」
「見た目は強そうなのに弱体化していたでござるか・・・」
まあ、俺達はただの脇役だしこれくらいで丁度良いだろ。
主役達がやられないようサポートするのがメタルヒーローの役目なのだ。
とにかくケンちゃんの話術で、仲間達の今夜の寝床を確保したようだ。
セイヤは間違いなくお姉さん達の家に泊まるだろうけどな!
さてさて、俺も伊賀忍達を大和の里に送り届けて流星城に帰るとしますか~。




