857 近江の砦に攻撃を開始する
皆が話し合ってる間に強化が終わった忍者刀を桜に手渡した。
彼女は免許皆伝じゃないらしく鋼鉄製の忍者刀だったが、これはこれで素晴らしい忍者刀で、伊賀の里にいる鍛冶職人の腕前に感心した。
鋼鉄製なので自動修復や汚れ耐性なんかは付与出来なかったけど、そもそも付与魔法で強化された武器ってだけでヤバイ一品だから、桜がとても喜んでくれた。
ちなみに忍者刀はミスフィート軍が使ってる刀とは少し形状が違っていて、刀身が直線的で、確か鞘にも仕掛けがあるんじゃなかったかな?水に潜ってシュノーケルみたいにして使えるとか何かで読んだ記憶がある。まさに忍者って感じだ!
何にせよレナと同等の武器を手にしたわけだから、これで彼女一人だけ弱いって状況にはならないハズだ。怪我しないよう大暴れしてくれ!
「ではゆくぞ!」
近江はレザルド軍の1強というある意味平和な状況だからか、砦の入り口にすら見張りが立っておらず、『こいつら馬鹿だろ?』と話をしながら扉の前に移動した。
俺とサイダーは砦に突入しないから、幼女を肩車したまま左右に分かれた。
砦の中から逃げ出してきたレザルド兵を処分するだけなので今回は楽だな。
ガシャ
「む、閂が掛かっておるな」
「見張りをサボってるくせに戸締りしてるとは生意気でござるな!」
「少し下がれ」
ゼーレネイマスが皆を下がらせた。
ゴシャーーーン!
そして躊躇なく大剣で扉を破壊した。
「「ブハッ!!」」
「まさか派手に騒音を撒き散らかすとは!」
「もっとコッソリいくのかと思ってたでござる!」
「敵兵を探す方が面倒だ。音で呼び寄せた方が早い」
平蔵が俺の方に振り向いた。
「おいシャアリバーン!いつもこんな感じなのか!?」
「こんなもんだぞ。近江国内でコソコソ動いたことなんか一度も無い。ディグダムの街に入った時なんか入り口で普通に門兵をぶった斬って大激戦になった」
隠密行動したのって国境の壁を超えた時くらいか?
あの時はミスフィート軍だってバレるわけにゃいかなかったし。
「正面から堂々と1500のレザルド兵を撃破したでござるか!?」
「思ってたより滅茶苦茶だな・・・」
『何の音だ!』
『おい!扉が!!』
『侵入者か!?』
ドタドタドタドタドタ
中からレザルド兵の声が聞こえた。
無人の可能性も考えたが、とりあえず空き家ではなかったらしい。
ギギギギ
ゼーレネイマスが閂を外側から強引に叩き斬ったので、扉は簡単に開いた。
そして普通に砦の中に入っていった。
『な、なんだお前は!』
『此処がどこだかわかってんのか!?』
『侵入者を殺せーーーーーーーーーー!』
『『うおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!』』
ドガシャーーーン!
「いくぞ!!」
「おう!」
ケンちゃんとセイヤがゼーレネイマスに続いた。
「恐ろしい男だな!よし、我等も突入するぞ!」
「ニンニン!」
タタタタタッ
ドゴッ
ジャキン
『ぐあああああッッッ!』
『敵が増えたぞ!応援を呼べ!』
『クソッ!』
俺の持ち場からは中が見えないが、ディグダムの街に入った時のような雰囲気で戦いが始まった。
女の子達も砦の中に突入し、幼女を肩車した俺とサイダーだけ残った。
「やっぱオレも砦に突入すればよかった。すげえソワソワするぞ!」
「わかります。まあでも白と春を守らなきゃだし、今日はまったりモードで」
「窓から敵が飛び出してくるかもしれんから気を抜くなよ!」
「敵が逃げ出すのはまだ先かな?ちょっと砦の裏側を見てきます」
「おう」
白と一緒に砦の裏側に来たけど、やはり裏側にも窓がいっぱいあった。
「ふむ・・・。二人で砦を包囲するのって結構大変だな」
「シロがちゃんとみてる!」
「ん?ああ、白が見張っていてくれるなら安心だ」
俺とサイダーで二人って言ったつもりだったのだが、白も頭の上で頑張ってくれていたんだな。ほっこりしましたぞ。
てくてくと正面に戻ってきた。
「砦の正面と左側をお願いします。俺は右と裏側を担当しますんで」
「了解だ!こういう時アニキがいれば窓を土壁で塞げたんだけどな~」
「なるほど。でも窓を塞いだら中が暗くなっちゃうから、良いのか悪いのか」
「あ~、それもそうか!仲間が突入してるから今の作戦はダメだな」
「砦を攻めるのもなかなか難しいもんですね~」
砦攻略は何度かやったことあるんだけど、仲間が百人単位でいた時とはまったく状況が違うので、経験がほどんと役に立たんのだ。幼女を肩車してるし。
子供に凄惨な現場を見せたくないから、敵兵が窓から顔を出したらガチョピンファンネルーで押し返そう。それでも落ちてきたら殺るしかないが。
『ぎゃああああーーーーー!』
「!!」
1階の窓から男の悲鳴が聞こえて少し緊張したが、結局敵兵は飛び出してこなかった。誰か分からんけど無事倒してくれたみたいだ。
「負ける気は一切しないが、心臓に悪いな・・・」
「でてこなかったね~」
「もし悪者が出てきても、正義のヒーローがボコボコにしてやるぜ!」
「おーーーーー!」
20分くらい経過した時、上の窓に人影が見えた。
ドゴッ バキッ
『く、来るんじゃねえ!』
無精ひげを生やした男が窓から顔を出した。
「てきだ!」
ム、飛び降りるつもりか?そうはいかんですぞ!
「ガチョピンファンネルー!」
ヒュン
男のすぐ目の前までファンネルーを飛ばした。
「はあ!?何だこりゃ!」
ボボボボボボボボボボ
「熱ちゃあああああああッッ!!」
ガチョピンが炎を吐くと、男が建物の中に引っ込んだ。
タタッ ザシュッ
『ぐああああああッッ!!』
お?誰かが殺ったようだな。
とか考えてたら、桜が窓から顔を出した。
「やっぱりピカピカのお人形だった!ありがとねーーーーー!」
「桜だったのか!もう少しだ。頑張れよーーーーー!」
「うん!」
タタタタタッ
桜が次の獲物を探しに現場に戻っていった。
「白、桜も頑張ってるみたいだな!」
「うん!がんばれーーーーー!」
それから5人くらい窓から逃亡しようとする不届き者が顔を出したが、ガチョピンを顔に突撃させたりして全て押し返した。
なんだか『もぐら叩き』をしてる気分だが、白の目の前で敵兵を殺りたくなかったから、今日はこの戦法がベストだろう。
サイダーの方も上手くやってるかな?
戦闘開始から1時間半くらい経過した頃、ようやく戦闘音が聞こえなくなった。
砦の攻略完了かな?誰も怪我してなきゃいいけど、まあ大丈夫だろう。




