854 初めて人気になったメタルヒーロー達
ワーーーーー
ぺたぺたぺたぺた ぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺた ぺたぺたぺたぺた
女の子達に揉みくちゃにされているメタルヒーロー達だが、その女の子達の格好が明らかに忍装束姿だし、その向こう側に青い忍装束の男達の姿も見えるので、すぐに此処が忍者村だってことに気付いたようだ。
「うんしょ!うんしょ!うんしょ!」
花柄の可愛らしい白い服を着た幼女が身体をよじ登ってきたので、この前のように肩車してやった。
「白じゃないか!良い子にしてたか?」
「うん!」
真っ赤なピカピカはこの前触りまくったと気付いたくノ一達が他の三人の方に行ったので、これまた花柄の可愛い服を着た桜が目の前に現れた。
「二人とも花柄の可愛い服だな!それならくノ一とはバレないだろう。合格だ!」
「やったーーーー!白ちゃん合格だよ!」
「やったーーーーーーーーーー!」
桜が俺の頭の上にいる白と両手でハイタッチした。
「っていうかピカピカが増えてるの意味わかんないんだけど!」
「この三人は、俺と一緒に近江でレザルド軍と戦っている同志なのだ」
「へーーーーー!」
「おい!これは一体どういうことだ!ピカピカが増えとるではないか!」
あ、平蔵だ。
この前の作務衣じゃなく、大和の住人達が着ているような服を着ている。
「この三人も正義のヒーローだから安心してくれ。それに俺と同じく子供の頃から忍者に憧れていたハズだから、必ず心強い味方になってくれるだろう」
「まったく根拠が無いでござろう!?」
ニンニンの声が聞こえたのでそっちを見ると、なぜかミイラ男がいた。
「ぶほッ!!なんでこんな所にミイラ男が!?」
「ハム蔵でござる!変装しろと言われたからこうなったでござる」
「ニンニンだったんかい!目立たない服装で現れると思ってたのに、逆にクッソ目立つミイラ男で登場するとは流石だな!」
ニンニンは、全身に包帯のような白い布をグルグル巻きにしており、相変わらずまん丸い目だけが見えている状態だ。
中の人がどんな顔なのかさっぱりわからないが、俺も二段階変装野郎なので、これ以上のツッコミは無粋だろう。
「しかし許可も無く素性の分からぬ者を連れて来られるのは困るぞ!」
「近江に行く前にあの三人の正体を見せてやるから許せ。一人は無名だが、二人は有名人だから知ってるんじゃないかな?」
「有名人でござるか!!」
「ミスフィート軍の武将か?」
「違う。近隣国の有名人じゃないから見たことはないかも?諜報に長けた忍者なら知ってるような気はするんだが、まあどちらにせよもうすぐ答え合わせだ」
「一緒に近江に行くの!?」
「みんな用事があって忙しいからたぶん行かない。今回ピカピカ勢で行くのは俺だけで、近江に滞在している人達と合流して遠足だ!」
「なるほど~」
メタルヒーロー達は相変わらずモテモテだ。こんなに大人気なのは初めての体験だからすごくデレデレしてますね。普通の人には無表情に見えるだろうけど。
「そろそろ出発せんのか?割って入らんとしばらく続くぞ?」
「頼む。俺が割って入っても逆効果な気がする」
「ニンニン」
平蔵の鶴の一声で、ようやくメタルヒーロー達が解放された。
「おいシャアリバーン!忍者の村だなんて聞いてないぞ!」
「此処って本当に大和の国なのか?」
「メッチャ良い村じゃん!オレもココに住みたいくらいだぞ!」
「大和の国って下半分が山なのは知ってますか?」
「奈良・・・ああ、確かに下半分は山だな」
「実はですね~、大和の住民達が、山奥に『一つ目の人食い鬼』が出るって噂してたから、それを確認する為に山を探索したんですよ」
「「一つ目の人食い鬼だと!?」」
アイテムボックスから、サイクロプスとオーガの死体を出した。
「うお!」
「マジか!大和の山奥にサイクロとオーガが!?」
「メッチャ怖い顔してんな!!」
「この通り、人食い鬼の噂は真実でした。んで他にも面白い魔物がいないか探していたら、偶然この二人の男と出会ったんです」
メタルヒーロー達が平蔵を見た後、その陰からひょこっと顔を出したミイラ男を見てビクッとした。
「「ミイラ男じゃねえか!!」」
「いや今はミイラ男だけど、変装してこうなっただけですね。向こうに青い忍装束の忍者達がいるじゃないですか。出会った時にあんな姿格好だったから、俺にはピンときたわけです」
というわけで、平蔵とニンニンとの出会いから始まり、伊賀忍達は俺達と同じくレザルド軍と敵対していること、そして忍者村に案内してもらい、海産物を振舞って友好を深めた話をした。
「もう感じてるだろうけど、此処はとても良い村です。それだけでレザルド軍の馬鹿共とは違うって分かりますよね?まだ伊賀の国すら見てない状態だから、今すぐ同盟を組むってわけにはいかないけど、その方向で動こうと思ってます」
メタルヒーロー達がウンウン頷いている。
「ただ此方と同様に、忍者達も俺達が信頼できるヤツらなのかどうか洞察している段階です。そこでまずは近江の遠足に同行してみようって流れになりました」
「ああ、レザルド軍に忍者だってことがバレないように変装しているわけか」
「もうそこまで話を進めていたのか。まあ、いいんじゃねえか?」
「洞察するまでもなく、もう忍者大好きだぞ!なあ?」
「ぴかぴかーーーーー!」
なぜかサイダーも、俺と同じく幼女くノ一を肩車しているのです。
一瞬で幼女の心を掴むとは、流石は時空先輩と言わざるを得ない。
「まあ話は分かった。反対する理由など何一つ無い」
「俺はいつも通り労役だ。シャアリバーンに任せる」
「すっげー気になるけど仕事が忙しいしな~」
そう言いながらサイダーが幼女を地面に降ろした。
「やーなの!」
と思ったら、白のようにサイダーの身体をよじ登り始めた。
「いやいや、オレんとこには連れていけねえぞ?」
「いくの!」
「ムムッ!また始まってしまったでござる」
「あ、そっか!白だけお出掛けするなんてずるいよね~」
「まいったな・・・、サイダーは遠足の日じゃないんだよ」
「しゃーねえ!こうなったらオレも遠足行くか~」
「仕事はいいんですか?あ、行くなら着替えさせないと」
「春ちゃん、一緒に行くなら着替えなきゃダメだよ?」
「きがえるーーーーーーーーーー!」
桜が幼女を抱えて、近くの家に入っていった。
なるほど、あの幼女は『春』って名前なのか。
しかし幼女に懐かれたばかりに、サイダーも遠足デーになってしまいましたよ?
琵琶湖の周りを歩くだけなんだけど、今日はわちゃわちゃだな~。




