852 まいど!バス屋です
カーラに大型バスをお届けした後、昨日からバスを心待ちにしているリタ&リナの居城に転移した。
「あ、バスきた!」
「でもなんか多い。こんなに運転手いらない」
「いや、1人しかやらんぞ!運転手を取りに何度も往復してらんないから、まとめて連れ歩いてるだけだ」
「なるほど」
「んじゃ早速バスを渡すんで城門前に移動しよう」
というわけで城門前に移動し、道路の上にバスを1台出した。
「「おおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」
「これが欲しかった!」
「でもいつものバスとちょっと違う」
「俺のバスは真っ赤に塗ったくっただけだからな~。『バスは赤いモノ』ってとこだけ継承されたようだけど、製作者が慣れてきて格好良くデザインするようになったから、ちょっと羨ましいくらいだぞ!」
「私達のバスってのがいい。見てるだけでニヤけてくる」
「中もチェックしてみるといい」
ガチャッ
ドアを開けると二人が中に飛び込んでいった。
一番後ろの座席までチェックし、二人が満足して出てきたので、カーラの時と同じく荷台を出して連結させた。
「そうこれ!」
「これが欲しかった!冷蔵機能付きとか完璧すぎる!」
「先読みして親父とグミが用意してくれてたんだ。しかもお土産はまだあるぞ!」
馬車二台分の車輪を積み上げた。
タイヤ付きの馬車の車輪だと説明し、しっかり取り付けるよう言っといた。
「これも嬉しい!私達はもうバスにしか乗らないけど、部下達は普通に馬車を使うから喜んでくれる」
「お義父さんとグミに感謝!小烏丸にもご褒美の耳かきしてあげる」
「そういえば耳かきがあった!でもバスを配達しなきゃだから忙しいんだよな~」
「15分くらいで終わるから誤差の範囲」
「ほら、私の部屋に行くよ」
「マジか!?運転手達を待たせて耳かきしてもらうの恥ずかしいんだが・・・」
結局、運転手達を玉座の間で待たせて、この前ガチャで手に入れたばかりの『高級耳かきDX』でリタとリナに耳かきしてもらった。
鑑定すると『とても気持ち良い』と書いてあるのだが、本当に気持ち良かった!
というか途中で眠ってしまったらしく、耳かきが終わった後起こされて、『高級耳かきDX』は大当たりだったと認めざるを得なかった。
玉座の間で運転手達にジト目で見られて恥ずかしい思いをした後、リタ&リナに運転手Bを渡し、丹波の城に転移した。
「この前渡すって約束してた大型バスを持ってきたぞ!」
それを聞いたチェリンとカトレアが、ぱああ~っと笑顔になった。
「やったーーーーー!もう、すっっっごく楽しみに待ってたのよ!」
「本当に有難いですね!バスがあれば行動範囲がドンと広がります!」
城門前にバスを出し、二人が中をチェックして戻ってきたところで、鉱石トロッコ風の荷台を出した。
「冷蔵機能付きの荷台だけどスイッチでオンオフできるから、食いもんじゃなくたって何でも運べるから便利だぞ」
「これがあれば、わざわざバスの上に積まなくてもいいから便利ね!」
「荷台を作ろうか話し合っていたところでしたが必要無くなりました。これは本当に助かります!」
そして馬車の車輪を積み上げると、当然二人はこれにも大喜び。
「ハチベエの馬車はこの車輪になってたか?」
「どうだっけ?何も思わなかったんだし、普通の車輪じゃない?」
「タイヤなんか付いてませんね」
「それならハチベエにも渡してやってくれ」
さらに馬車一台分の車輪を積み上げた。
物置いっぱいの車輪をもらったので、まだ余裕があるのだ。
「流石は旦那様!ハチベエのことまで考えてくれるなんて優しいわね!」
「間違いなく大喜びするでしょうね」
「ぶっちゃけ道路が傷む方が嫌だから、現存する全ての馬車にタイヤを履かせたいくらいなんだが、流通するにはまだ時間が掛かりそうだ」
お土産一式を渡し終えたので、最後に運転手Cを渡し、大和の国に転移した。
「悪い、少し遅くなった」
「皆様が待ち望んでいたバスが来たのですから、はしゃぐのも無理ないですわ~」
「実は大型バスだけじゃないんだよ。その説明に時間が掛かった感じかな?」
運転手達が『耳かきのせいだろ!』って顔をしてるが、そんなん当然スルーだ。
「バス以外にも何かありますの?」
「それは見てのお楽しみだ!じゃあ城門前に移動しよう」
城門前で大型バスと荷台と馬車の車輪を披露すると、他の人達と同様、お嬢が大変喜んでくれた。
乗り物が馬車からバスに変わるだけでホント全然違うからな~。
もちろん荷台と馬車の車輪にも大喜びだ。お嬢は『ワタクシはもう一生バスにしか乗りませんけど!』って言ってるけど、別行動する部下達は馬車を使うので、この車輪を渡したら大変喜ばれるのだ。
まあそんな感じで、お土産一式を渡した後、最後に運転手Dを渡した。
ただお嬢はこれから俺と一緒に街に行く予定なので、部下を呼んで運転手Dを部屋に案内してもらった。お嬢が街から帰ったら色々話し合うみたいだけどな。
「んじゃ、街の人達に『人食い鬼』を見せに行くぞ!」
「オーーーーー!ですわ」
「「人食い鬼!?」」
お嬢だけじゃなく、物騒なワードに驚いている運転手達も連れて街に転移した。
「あ、兵隊さん!」
知ってる声が聞こえたと思ったら、昨日俺を囲んだ中にいた女性だった。
でも兵隊さん呼びなんかい!これでも一応軍師なんですが?まあいいけど。
「昨日見た顔だな!あのカニ、ちゃんと家まで持って帰れたか?」
「もちろんだよ!弟達を食べさせなくちゃなんないからね」
なんかどこかで聞いたセリフだな?
「あーーーーっ!昨日の武将さんがいた!」
「おお!真っ赤な服だし間違いないな」
「隣にいる豪華な服を着た女の人って、どこかで見たような・・・」
ワーーーー! ドドドドドドドド!
一瞬で住人達に囲まれた。
っていうか、昨日話をしたメンバー全員揃ってねえか?暇なの!?
「昨日はありがとうございました!」
「生ものすごく美味しかったよ!」
「あんな美味いモノ食ったの初めてです!」
あ、お礼を言いたくて来てくれたのかな?
やっぱり大和の住人達好きだな~。
「そうか、みんな喜んでくれてよかったよ。でもって今日も現れた理由はだな、一つ目の人食い鬼のことを教えてもらった後どうなったか教えてやろうと思ってな」
「人食い鬼?」
「もしかして探しに行ったとか!?」
「正解だ!すんごい山奥まで探しに行ったんだぞ!」
「「おおおおおおおおおおーーーーーーーーーー!!」」
「人食い鬼だが・・・なんと本当にいやがった!」
それを聞き、街の住人達が大きく目を開いた。
「え?冗談じゃなくて本当に??」
「あの山ってそんなに危険だったのか!!」
「というわけで、人食い鬼があの山に本当にいた証拠を見せてやろう!今からそこに出すけど、もう死んでるから逃げなくても大丈夫だ」
道のど真ん中に出すのもどうかと思ったので、道路脇の方に移動して、サイクロプスとオーガの死体を並べた。
「「ブホッッ!!」」
そして予め用意してあった立札を地面に突き刺した。
『あまり山奥に入ると人食い鬼が出るぞ!』と書いてある立札だ。
「みんな逃げて!私が時間を稼ぐから!」
「いやいやいやいや、もう死んでるって最初に言ったじゃろがい」
「弟達が助かって、あの人達が死んでいいなんてことないもん!」
「だから話を聞きなさいってば!俺とお嬢で倒したヤツだから、もうとっくに死んでるんだって!」
「え?死んでるのこれ?」
キレイに倒したのは失敗だったか!
しかしさっきから、どこかで聞いたようなセリフが・・・。
街の住人達が、人食い鬼の周囲に群がった。
「あの山って本当に危険だったのか!!」
「ウチのじーさん、山でこんなのと出会ったのか!よく逃げ切れたな・・・」
「なんて恐ろしい風貌なんだ!」
「人食い鬼って街に入って来ない?大丈夫なの?」
「絶対大丈夫とは言えませんが、かなり奥深くまで入らないと出会えませんでしたから、街まで攻めて来ることは無いと思いますわ。もしそんな事態になってもミスフィート軍が総出で討伐しますので、そこは安心して下さいまし!」
しかし実際に人食い鬼がいたわけだから、山奥まで入らないよう住民達に知らせておく必要があったのですよ。
とりあえず人食い鬼は此処にしばらく放置しておき、住民達に認知してもらった方がいいだろう。今日一日大騒ぎになると思うけどしょうがあるまい。
俺の用事が終わったら回収しに来よう。
・・・盗まれないよな?




