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851 親父とグミからの贈り物

 親父とグミに案内され、道路公団本部に到着した。


 親父がデザインしたのかやたらと格好良い建物で驚いた。バスの教習所でもあるので少し複雑な道路と信号機などが見え、ここだけ現代日本って感じなんだが?


 そして大型バスがズラッと10台並んでいる。



「どう?すごいでしょ!」

「ここだけ別世界じゃねえか!!」

「教習所までくっつけちまったしな。でも運転免許所が無いとゴーレムの操縦が出来ないってルールにしないと、事故が多発しちまうだろ」

「!!」


 驚いた。流石は街奉行だ・・・。

 バスの教習所じゃなく、ゴーレム自動車の教習所だったのか。


 俺もゴーレムを速度制限するとかぼんやり考えてはいたんだけど、親父は明確にゴーレム自動車の運転免許証を民衆に取得させる方向で動いていたんだな。


「そこまで考えていたとは流石だな!確かに車タイプのゴーレムはロボットタイプより危険だもんな~」

「ロボットタイプも免許証が必要ってことにした方がいいと思うぞ?交通ルールも知らんで好き勝手行動してたら絶対いつか事故を起こす」

「もちろんそれがいいってのは分かるが、取り締まりが大変じゃないか?歩いてるゴーレムを停止させて、免許証を所持しているか確認しなきゃ意味無いしさ」

「すでに治安部隊と話し合ってる最中だ。街の出入り口なんかで検問するって話と、無免許は牢獄にぶち込むとか色々な」

「マジか!親父を街奉行にして正解だった!もうそういうの全部任せるから好きなようにやってくれ!」

「俺はミスフィート軍での実績が無いのにやたらと身分が高いからな。内政を頑張って皆に認めてもらう必要があるんだよ。まあ、大体全部お前のせいだ!」


 おおう・・・。

 俺の親父ってだけで侍大将にしたのはちょっと強引だったもんなあ~。


「アイヤー!身分不相応が悩みだったとは・・・。でも安心しろ!今から大型バスを各地に届けてくるから、親父の評価が爆上がりするぞ!」

「まあ、そうだと良いのだがな・・・」



 そんな会話をしながらバスの前に移動した。



「知ってる光景だから気付かなかったけど、よく見たらタイヤが黒いじゃん!」

「ああ、あの群青色のタイヤって違和感ありすぎだろ。だからシドに黒いタイヤを注文したんだ。簡単に作ってくれたぞ?」

「アイツはアイツで天才なんだよ。たぶん商業界で天下獲るぜ?」

「ミスフィート軍の御用商人ってだけで、もうすでに最強だろ」

「えーと、向かって左から7台でいいか?」

「一度も事故ってないからどれも一緒だ。でもちょっと待ってろ」


「小烏丸ーーーーー!こっち来て!」


 ん?バスの後ろでグミが手を振ってる。


 すたすたすたすた


「おお!鉱石トロッコ風荷台付きだったのか!」

「なんと冷蔵機能付きだ!コイツがありゃバスが満員でも魚を運べるぞ」

「しかもこの荷台ね、いっぱい連結できるんだよ!」


 ガシャン


 グミが荷台を押して、バスの後ろに付いていた荷台に連結した。

 しかもちゃんと蓋が閉められるようだ。冷蔵機能付きって言ってたもんな。


「めっちゃ便利じゃん!」

「京の都みたいなゴミゴミした都会だと危ないが、田舎の真っ直ぐな道路なら3台くらい連結して走っても問題無いだろう」


 即席の適当な荷台でこういう使い方してたことはあるけど・・・ん?


 ブニブニ


「ちゃんとしたタイヤ付きじゃねえか!しかも荷台専用のヤツか!」

「うむ。これもシドに作らせた」

「それだけじゃないよ!こっちこっち!」


 グミが後ろにある物置の扉を開けた。

 そして中に入っていき、タイヤを転がしながら出てきた。


「お?バイクよりも細いタイヤだな。・・・あ、これってもしや!」

「馬車の車輪だよ!タイヤ付き!」

「こいつはシドがすでに量産していたのを買ってきただけだがな」

「へーーーーー!既存の馬車の車輪ごと交換する感じか」

「そう難しくないだろうから、やろうと思えば素人でも交換できるぞ。シドは『雪丸屋でタイヤ交換しない場合は、馬車が壊れても自己責任です』と言っていたが」

「素人の下手な取り付けで脱輪して事故ったのを雪丸屋のタイヤのせいにされちゃかなわんし、まあ当然だろう」

「全部持ってっていいよ!」

「ありがてえ!これはみんな喜ぶぞ!」



 物置の中に馬車の車輪がごっそり積んであったので、遠慮なく全部頂いた。


 機関車はあっても何だかんだで馬車はまだ現役だし、今回バスが貰えない城主達は馬車生活が続くわけだから、こんなの絶対喜ばれるに決まってるのだ。



「二人とも本当にありがとう!全部の城に配達しに行かなきゃならなくなったが、親父とグミが皆の為に用意してくれたってしっかり伝えとくからな!」

「頼んだぞ!あと、今回バスがあたらなかった城主達に、運転手が育つまでもう少し待っていてほしいと伝えといてくれ」

「運転手候補がなかなか見つからないんだよね~」

「真面目で誠実って条件があるもんな。わかった、それも伝えとく。よし、配達頑張ってくるわ!親父、明日の朝メタルヒーロー集会だからな」

「そういやなんか言ってたな!わかった」

「がんばってねーーーーー!」



 バスを7台回収し、緊張でプルプルしている運転手集団と手を繋ぎ、まずはカーラの居城に転移した。



「キターーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



 俺が状況を確認するより先にカーラの歓声が聞こえた。



「お嬢様、バスをお届けに参りました!」

「うむ、ご苦労!」


 どうやらステファンとロンドも大型バスを楽しみにしていたようで、カーラのすぐ後ろで目をキラキラさせている。


「受け渡しは城門前でいいよな?」

「うん、そこでお願い。ところで運転手って選べるの?」

「いや、事前にどの国の城主に仕えたいか立候補したりして決めたそうだ。結構すんなり決まったみたいなんで、すなわち摂津担当の運転手はこの国とカーラに好感を抱いてるってわけだ」


 運転手Aが、緊張と恥ずかしさの入り混じった顔をしながら一歩前に出た。


「おお!アタシに仕えたいだなんて見所あるじゃない!」


 バンバン


「は、はい!頑張ります!」


 カーラに肩を叩かれた運転手もなんだか嬉しそうだ。

 憧れの武将だったのかもしれん。でも俺の嫁だからな?



 城門前に移動し、アスファルト風道路の上に大型バスを出した。



「やったーーーーー!アタシのバスだーーーーーーーーーー!」

「すごい!新品のバスだ!」

「これは嬉しいですね!」



 ドアを開けると、三人がワーっと中に入っていった。


 たぶん車内も俺のバスとそう変わらんと思うが、自分達のバスってだけでやっぱ嬉しいのだろう。新品だしな!


 満足したようで、三人がバスから出てきた。



「もう最高!」

「実はな、親父からのプレゼントはこれだけじゃないぞ!」

「え?他にもあるの!?」


 アイテムボックスから鉱石トロッコ風の荷台を3台出して、ガシャンガシャンと大型バスの後ろに連結させた。


「なんと冷蔵機能付きの荷台だぞ!これで魚の輸送もバッチリだろ」


「「おおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーー!!」」


「冷蔵機能付きの荷台とか凄すぎ!港直送の新鮮な魚が食べられる♪」

「しかも見てみろ、タイヤ付きなんだぞ!」


 三人がタイヤをブニブニ触って、『おーーーっ!』と歓声をあげた。


「待て、喜ぶのはまだ早い!親父とグミはもう一つお土産を用意してくれたんだ」

「え?まだあるの!?」


 馬車2台分の車輪を積み上げた。


「・・・タイヤ?」

「馬車のな」


「「!!」」


 三人が馬車のタイヤをブニブニ触って確かめている。


「お義父さん大好きすぎる!グミもありがとーーーーー!」

「馬車の乗り心地が格段に良くなりますよ!」

「これも有難いですね!」

「馬車の車輪の交換を手伝ってやりたいとこだが、バスの配達が忙しいんで俺はちょっと無理だ。カーラの方で何とか頑張ってくれ」

「それくらいこっちでやるからいいよ!小烏丸はバスの配達頑張って!」

「車輪が外れないよう、しっかり取り付けるんだぞ?」



 よし、これで摂津はOKと。

 次はリタ&リナの城に配達だーーーーー!

 

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