848 くノ一
ぺたぺたぺたぺた
忍者村で出会ったピンク色のくノ一だが、近寄って来るなり宇宙刑事シャアリバーンのピカピカなボディーをペタペタ触り始めた。
「いや、どう見ても怪しいピカピカなんだからもう少し警戒しようよ?」
「自分で怪しいとか言うのもどうかと思いますわよ?」
ぺたぺたぺたぺた
「冷んやりしてる!なにこれーーーーー!!鉄人間!?」
「変装してるだけでござる。でも中の人が正体を現しても変装してるでござる」
「二段階変装!?やるね!!」
やるねって・・・。あ、そうか!忍者って情報収集する時なんか変装してるだろうから、変装くらい常識なのかもしれない。
「あれ?お人形がいなくなった」
「消えちゃった」
あ、くノ一と会話してる間にガチョピンの活動限界になったか。
「どれ、もっかい出してやるか」
ガチョピンを出して、子供達の方へ歩かせた。
「「わあああああああああーーーーーーーーーー!」」
「その緑のお人形はなに!?」
「俺ほどの正義の味方になると、お人形を出すことが出来るのだ」
もう一体ガチョピンを出してくノ一の目の前に浮かべた。
「「ぶッ!」」
「空中に浮いてるんだけど!!」
「その人形、飛ぶのか!!」
くノ一に捕らえられたので、ガチョピンをイヤイヤさせた。
「アハハハハハハハハハ!暴れてるーーーーー!」
お嬢が羨ましそうな顔をしていたので、ガチョピンをいっぱい出して、お嬢と平蔵とニンニンの前に浮かべ、残りは子供達の前に浮かべてやった。
「ツルツルしていますわね!」
「なんて精巧な作りの人形なんだ・・・」
「謎生物でござるな!」
ニンニンの前に浮かんでるガチョピンを、チビ結界に変化させてみる。
「ふぉあっ!?突然四角い箱になったでござる!」
「その箱、上に乗ったり出来るんだぞ?」
「なんと!?」
ニンニンがジャンプしてチビ結界に飛び乗った。
「乗れたでござる!これは使えるでござるな~!」
「お?一瞬で活用法を理解するとはやるじゃねえか」
ニンニンの斜め上に向かってチビ結界を四つポンポンポンっと並べてやった。
すかさずニンニンが高いチビ結界に飛び移っていく。
「これは面白いでござる!!」
「でも時間が経つと勝手に消えるんで、色が薄くなったら降りた方がいいぞ」
「そうでござったか!」
「平蔵様!この赤いピカピカは何者なの!?意味不明なんだけど!」
「それは皆と合流してから説明する。本人は正義の味方と言っておるが、儂もまだよく分かってない。だが重要人物なのは確かだ。失礼の無いようにな!」
「なんて呼べばいい?」
「シャアリバーンだ。ピカピカ呼びでも構わんぞ」
「じゃあピカピカで!」
「キミの名は?」
「桜!」
彼女が木の枝で地面に『桜』と書いた。
「桜か~。良い名前だな!」
・・・いやちょっと待て。この世界にも桜ってあるの?
「桜って、桜の木の『桜』で合ってるよな?」
「うん」
「へーーーーー!伊賀って桜があるのか!」
「ん?桜ならこの山にも生えてるよ?」
「え?そうなの?実はこの山に来たの初めてなんだよ」
「魔物だらけだしね~」
「おい、そろそろ行くぞ!」
おっと、中央広場に向かってる途中だった。
というわけで、桜にボディーをペタペタ触られながら中央広場に移動した。
「うおおおおおーーーーー!くノ一がいっぱいおりますぞ!!」
男忍者はほとんどが青系の忍装束なんだけど、くノ一は何だかすごくオシャレで、桜みたいにピンクピンクした人もいれば、黒とオレンジ色を組み合わせた妖艶な人とかもいたりで、もうとにかく華やかなのだ。
しかも腕や太ももを出してるなんてのはもう普通って感じで、ニンニンが言っていたようにエロエロ天国であります!
普段からこんな村の中にいたら、そりゃ体操服の女の子くらいじゃビクともしませんわな・・・。
「ちょっと見て!変なのがいる!!」
「なに!?そのピカピカ人間!!」
「いや、そもそも人間なの?」
ワーーーーー
ぺたぺたぺたぺた ぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺた ぺたぺたぺたぺた
広場にいたくノ一が集まってきて、メッチャ触られまくってるんですけど!
「「あーーーーーっ!へんなのがいるーーーーー!!」」
ワーーーーー
ぺたぺたぺたぺた ぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺた ぺたぺたぺたぺた
今度は幼女くノ一がわーっと集まってきて、揉みくちゃ状態である。
「カッチカチなんだけど!」
「鋼鉄の身体って凄くない!?」
「冷んやりしてる!」
「あははははは!おもしろーーーーーい!」
「モテモテでござるな!」
「いや、なにこれ!?くノ一の皆さん好奇心旺盛すぎません?」
「失敗しましたわ!まさかピカピカだったばかりに大人気になるなんて!」
「一歩も動けないんですけど!!」
平蔵に助けを求めようとしたが、平蔵は平蔵で若い忍者達に広場に集合させるよう命令を出したりしていて忙しそうだった。
「ニンニン、この包囲網を抜け出す策は無いか?」
「飽きたら勝手に離れていくでござる」
「くッ!正義のヒーローだったばかりに、こんなことになるとは・・・」
ワーワーワー
ぺたぺたぺたぺた ぺたぺたぺたぺた
ぺたぺたぺたぺた ぺたぺたぺたぺた
結局、新たに増えたくノ一や子供達にもペタペタ触られまくり、村にいた忍者が集結して平蔵が説明を始めるまで解放されなかった。
「・・・というわけで、儂はミスフィート軍との交流を深める方向で動こうと思っておる。この同盟が締結されればレザルド軍などもはや敵ではない!」
俺もお嬢も、伊賀忍達にミスフィート軍の重臣だということを隠すつもりはないので、親睦を深める為に忍者村に訪れたということにしたのだ。
まだミスフィートさんと伊賀大名に話を通してないわけだから、俺、お嬢、平蔵、ニンニンで勝手に話を進めてる状態ではあるんだけどさ。
だって、忍者ですよ?
こんなおもしろ集団、仲良くしたいに決まってるじゃないですか。
平蔵やニンニンからしても、ミスフィート軍を味方につけるまたとないチャンスが来たと思ったから、俺達をここに連れて来てくれたんだと思う。
「大丈夫なの?」
黒髪でエロい黒の忍装束を着たお姉さんが、俺達を見た。
「賭け・・・ではあるな。少なくともこの二人とは偶然の出会いだったのだ。連れて来る前に話をしたが、レザルド軍のような話の通じぬ頭の悪い奴らとは違う」
「まあ確かにミスフィート軍は、大和の住人達からの評判は良かったけどさ」
「それだけで聖帝軍より遥かに信用できるでござるな」
数歩前に出ると、忍者達が俺に視線を向けた。
「同盟が締結されるかどうかは正直まだ分からない。ミスフィート様と伊賀大名の両者とも今日の出来事を知らないのだからな。まあそれはともかく、俺とお嬢が伊賀忍達と仲良くしたいと思ってるのは確かだ」
それを聞いて、お嬢も前に出て大きく頷いた。
「話を進めるのはもう少し先になると思う。今日はただ親睦を深める為に来たと思ってくれ。皆が喜ぶに違いない手土産も持参したぞ!」
アイテムボックスからカニを取り出し、さっきのエッチなお姉さんに手渡した。
「でかっっ!?え?なにこれ!?」
地面にブルーシートを敷き、海産物を山盛りにした。
「「ぶはッッッ!!」」
「こんな山の中にいたんじゃ海産物に飢えてただろ?まあこれらはダンジョンの魔物なんだが、マジで美味いから遠慮なく食べ尽くしてくれ!」
超ビッグサイズの海産物の山に、忍者達が全員フリーズしている。
「だから、どこから出したんだよ!!」
「このピカピカ、やっぱり意味不明でござる・・・」
俺くらいの正義の味方になると、海産物が大量に出てくるのだ。
しかしこの姿だと、口が塞がっているせいで何も食えないんだよな~。
子供忍者達が喜んでる姿でも見ながら、ほっこり耐え忍ぶか・・・。




