835 丹波の国で異常発生
大勢のギャラリーが見ている所でパンチラサービスしてしまった事に気付いたルルとマリアナが大騒ぎし、仕方なくメルティー様が戻の場所に降ろした。
さて、魔法少女のお披露目会も終わったし、全員城に送り返すか・・・。
いや待て。魔法少女達は大満足でも、チャミィとメメが少し寂しそうだ。
せっかく面白いアイテムを手に入れたのだから、それもお披露目しよう!
「実はですね、チャミィとメメもすごく面白いアイテムをゲットしたんですよ!」
「ほう?」
「どんなアイテムだ?」
「じゃあメメ、ハリセンで清光さんと虎徹さんの頭をペチッとやってくれ!」
「ん!」
「ハリセンでペチッとやられるのか。コテツ、しゃがむぞ」
「おう!」
メメが前に出てからくるっと振り返り、清光さんと虎徹さんの頭にハリセンを振り下ろした。
ズガン!
バキバキバキバキッ!
「うおッ!!」
「ちょっと待て!オレの頭砕け散ってねえか!?」
まさかの致命的な音に、二人は慌てた。
「うわははははは!大丈夫ですよ。過激な音が出るハリセンなんです」
「音だけアイテムかよ!」
「マジで驚いたんだけど!!」
「にゃははははははは!ウチも一発殴ってほしいっス!」
「ん!」
ちゅどーーーーーーーーーーん!
「「アーーーーッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!」」
「これは面白い!大当たりだろ!」
「いいなこれ!正直オレも欲しいくらいだぞ!」
「まだです!チャミィ、後ろのお姉ちゃん達の頭をピコっとやっておしまい!」
「うん!!」
ギャラリーの女の子達がしゃがんでくれたので、チャミィが一人ずつ順番に頭をピコピコ叩いていった。いや、ピコピコは鳴らないのだが。
むぎゅっ
ポヨッ
クルックー
ぴゅるっ
ぼよん
にゃー
「こっちはかわいい音だ!」
「あーーーっはっはっはっはっは!」
「私はこっちの方が好きかも!」
「たまに動物の鳴き声が聞こえません?」
「わたしも動物だった!」
「面白いねーーーーー!これも大当たりだよ♪」
みんな盛り上がって面白いと言ってくれたので、チャミィとメメも満面の笑みになった。でもお世辞でも何でもなく本当に面白いからな~。
「おっと、遊び過ぎてもう夕食の時間になっちまった。今日のガチャはこれくらいにして流星城に帰るぞーーー」
「そうね。じゃあ続きは明日ってことで!」
「「アイアイサーーーーーーーーーー!!」」
こうして子供チームのガチャ大会初日は無事終了した。
ただ魔石が貯まり過ぎているので、明日は朝からガチャ大会をするらしい。
服や家具を沢山ゲットできるといいな!
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今日は子供チームが朝からガチャ大会なのだが、俺は近江の遠足があるので、残念ながら結果発表だけ聞くことになる。
ただパメラの運が低下中だったので、『ノーマルガチャで赤カプセルが出るまでぶん回して運を回復させろ』とだけ言っておいた。
そして狩りに行きたくなったら連絡をくれとも言っておいたが、どれほど魔石が貯まっているのか知らないので、連絡は来ないかもしれんな。
あと魔法少女の衣装とメルティー様の制服は、和泉が強化してくれることになっているので、いつもの服に戻ってしまったのが残念だった。
まあ強化が無くても、ルルとマリアナはいつもの格好に戻ってそうだけどな。
というわけで後ろ髪を引かれる思いで俺は遠足に向かったが、結局これといったイベントも発生せず、パメラから連絡も来ないまま一日が終わった。
子供がいっぱいでワチャワチャ騒いでる感じだろうから、全ての魔石を使い切るまで思った以上に時間が掛かったのだろう。
ガチャ部屋に迎えに行くとみんな笑顔で、強化が必要な服やアイテムがメチャメチャあると言われたのだが、俺は忙しくてちょっと無理だから和泉に頼んでくれとスルーパスした。
料理班の主力が他の城に引き抜かれて人材不足という話だったが、和泉が服の強化に掛かり切りになっても、一瞬料理の質が落ちるくらいで、一人も料理人がいないような事態にはならないからそこは大丈夫だ。
そして次の日、子供チームをダンジョンに放流してから、丹波に向かうためにシャイナと合流しようと玉座の間に転移し、彼女が来るのを待っていた。
ドドドドドドドド
『いや、ちょっと!自分で歩けるから!はーなーせー!』
騒がしい声が聞こえたと思ったら、両手でシャイナを持ち上げたゴマちゃんが入口から姿を現した。
そのまま俺の前までやって来て、シャイナを手渡された。
「丹波に行くんだろ?持ってきてやったぜ!」
「お、おう。わざわざ持ってきてくれて感謝するぞ」
「一体なんなのさ!もう!」
シャイナはプンプンだが、ゴマちゃんはスッキリした顔をしている。たぶん自分がやられた仕返しをしようと思っていて、いい標的を発見したのだろう。
・・・うん。これは絶対流行る!
「次は丹波だから堺ダンジョンに行く必要無いな。ゴーレム場から飛び立とう」
「あ、そっか!丹波ってお隣さんじゃん」
「え?すぐ到着するの?」
「いや、丹波ってかなりデカい国だから、普通に半日コースかな?ミスフィート領を除いても播磨、但馬、丹後、若狭の四つの国と隣接してるんで、チェリンとカトレアの二人に守らせているんだ」
あれ?近江とも隣接してるんだっけ?まあ細かいことはいいか。
「その中でもやはり西が危険なんで、二人がいる場所も丹波の西側に建てた城だ。もう二つくらい城を建てるって話だが、まだ工事に着手していないハズ」
「ほうほうほう」
「重要拠点だね!たぶん他の国こそミスフィート軍を警戒してると思うけど」
「まあな。ミスフィート軍というより聖帝軍を警戒してただろうから、国境をガチガチに守ってると思う。派手にドンパチやったばかりで危険過ぎるから、ちょっかい出してくるってのも考えにくいが、警戒するに越したことはない」
総勢10万とか噂されていた聖帝軍を近畿から一掃した大大名とか、俺なら絶対に触れたくないけどね。
でも美濃に攻め込もうと企んでる近江大名みたいなものいるわけだから、皆ビビってるだろと楽観視など出来ないのだ。
一番怖いのは信長包囲網みたいな状態になることなんだが、ミスフィート軍は大人しい方だと思うし、将軍家の生き残りも手厚く保護してるのだから、そういうのは無いと思いたい。
そもそも織田軍じゃなくてミスフィート軍ですし!
ゴマちゃんは普通に仕事中なので、シャイナだけ連れてゴーレム場に移動した。
「よし、準備OKだな?初めてのフライトでは全員ロケットスタート決めてるんで、当然今回も派手にぶっ飛ぶからな」
「すごく怖いんだけど!」
「俺も怖いから安心しろ!んじゃ行くぜ。舌噛まないようにな」
「う、うん!」
ドシューーーーーーーーーー!
「どっひゃあああああーーーーーーーーーーーーーーー!!」
舌噛むからと言っておるのに思いっきり悲鳴をあげたシャイナだったが、舌は大丈夫だったみたいで、大興奮しながら空の旅を楽しんでいる。
京の都がある山城の国も丹波の国も聖帝領だったわけだが、ちゃんと国境の壁があったので、空からでも丹波の国に入ったのが分かった。
少し進んだ場所にそこそこ大きな街があったが、そこを過ぎると途端にド田舎になって、道と線路だけがどこまでも続いている感じになった。
「丹波ってマジでなんもねーな」
「でもちゃんと線路を敷いたんだね!」
「いや、敷いてる途中だと思うから、このまま進めば先頭にいるドワーフ達に追いつくかもだ。見つけたら聖水と食い物を差し入れしてやろう」
「聖水は絶対喜んでくれるよ」
「ちょっと待て。アレをみろ!!」
「ん?」
間違いなくチェリンとカトレアの指示で線路と道路が並んでどこまでも続いているから、俺としてもすごく助かっているのだが、その道路を走ってる馬車を狙ってると思われる野盗の集団を見つけた。
「アイツら間違いなく馬車を狙ってるだろ!」
「上からだと丸見えだね!でもどうするの?」
「ぶっ潰す!俺一人でやるからシャイナは見物しててくれ」
「一人じゃ危ないよ!」
「妊婦さんに戦闘なんかさせられるかよ。まあ大丈夫だ。最近ちょっとパワーアップしたんで、一度本気で暴れてみたかったんだよ」
「うぇえええ!?また強くなったの!?」
「近江での修行の成果を見せてやる。きっと驚くぜ?」
20人くらいか?まあいけるだろ。
偶然ミスフィート軍の軍師が上から見てるなんて、運の無いヤツらだ。
もう丹波は俺達の国なんだ。これ以上好きにはさせねえ。
―――――赤い流星、参る!




